夜中に何度も目が覚めるのはなぜ?|中途覚醒の原因とストレス・トラウマの影響

睡眠障害、中途覚醒 トラウマ反応・身体症状

夜中に何度も目が覚める。眠りが浅く、少しの物音でも意識が戻ってしまう。何時間も布団に入っていたはずなのに、朝になると身体が重く、まったく休めた感じがしない。

寝つくことはできても、午前2時や3時になると突然目が覚め、そのまま考え事が始まってしまう。もう一度眠ろうとしても頭が冴え、ようやく眠れた頃には朝を迎えている。

こうした状態は「中途覚醒」と呼ばれ、不眠症に見られる代表的な症状の一つです。

中途覚醒には、加齢、睡眠環境、ストレス、うつ病、睡眠時無呼吸症候群、身体疾患など、さまざまな原因が関わっています。そのなかでも、長いあいだ強い緊張や恐怖にさらされてきた人の場合、身体が十分に警戒を解けないまま夜を迎えていることがあります。

昼間は何とか仕事をこなし、人と関わり、周囲の期待に応えている。それでも身体の内側では緊張が続き、夜になっても安心して休む状態へ切り替わりにくい。

トラウマを背景にもつ人にとって、中途覚醒は、過去の危険に備えてきた警戒の習慣と結びついている場合があります。

眠っているはずなのに、身体のどこかがまだ起きている。

その感覚を理解するうえで重要なのが、神経系がまだ「一日を終えられていない」という心理的な状態です。

中途覚醒とは?夜中に何度も目が覚める睡眠障害

中途覚醒とは、眠りについてから朝までのあいだに何度も目が覚めたり、一度目覚めると再び眠ることが難しくなったりする状態です。

睡眠中には誰でも短い覚醒が生じることがあります。そのため、夜中に目が覚めたというだけで、睡眠障害と判断されるわけではありません。

問題になるのは、目覚める回数が多い、再入眠に時間がかかる、朝になっても睡眠による休養感が得られないなどの状態が続き、日中の生活に支障が生じている場合です。

厚生労働省のe-ヘルスネットでも、中途覚醒は不眠症の代表的な症状として位置づけられています。

睡眠の問題には、主に次のような違いがあります。

  • 入眠困難: 布団に入ってもなかなか眠れない
  • 中途覚醒: 夜中に何度も目が覚め、再び眠ることが難しい
  • 早朝覚醒: 予定より早く目覚め、その後眠れなくなる
  • 休養感の低下: 睡眠時間を確保していても、十分に休めた感じがしない

これらの症状は重なって現れることもあります。

中途覚醒が続くと、睡眠時間だけでなく、眠りに対する安心感そのものが失われていくことがあります。

今夜も目が覚めるのではないか。明日も疲れたまま仕事へ行かなければならないのか。そう考えるうちに、眠ることが休息ではなく、うまくこなさなければならない課題になってしまうのです。

眠っているのに休めていない|神経が「終わっていない一日」を抱えている

睡眠は、心と身体の疲労を回復させるために重要な時間です。

日中に経験した出来事や感情の記憶にも、睡眠中の脳の働きが関わっています。

しかし、強いストレスや緊張が続いていると、横になっても気持ちが落ち着かず、考え事や身体の警戒が残ることがあります。

仕事で言われた一言が頭から離れない。相手の不機嫌な表情を思い出し、自分が何か悪いことをしたのではないかと考え続ける。昼間は我慢していた怒りや不安が、夜になってから浮かび上がってくる。

身体は布団の中にいても、心はまだ昼間の出来事に関わり続けているのです。

この状態を心理的に表現するなら、神経が「終わっていない一日」を抱えたまま夜を迎えていると言えるでしょう。

本来なら仕事が終わり、誰かとのやり取りが終われば、少しずつ緊張も和らいでいきます。

ところが、周囲の反応に敏感で、いつも相手の気持ちを読みながら生活している人は、仕事や会話が終わったあとも、その場面を頭の中で繰り返してしまうことがあります。

あのとき違う言い方をすればよかった。明日はどのように接すればよいのだろう。相手はまだ怒っているかもしれない。

こうした反すうが続くほど、身体は休息へ向かいにくくなります。

ただし、中途覚醒そのものが、必ずしも感情の処理不足によって起こるわけではありません。睡眠を妨げる仕組みにはさまざまなものがあり、慢性的な緊張や考え事は、その一つとして理解することができます。

なぜ眠りが浅くなるのか|過覚醒とストレスの関係

中途覚醒や慢性的な不眠を理解するうえで重要なのが、過覚醒(hyperarousal)という考え方です。

過覚醒とは、身体や思考、感情の活動が高まり、休息する場面でも十分に鎮まりにくくなっている状態を指します。

日中から周囲の物音に敏感で、誰かに急に声をかけられると身体が跳ね上がる。夜になっても肩や背中に力が入り、布団の中で無意識に歯を食いしばっている。

こうした状態では、寝ついたあとも睡眠が不安定になり、夜間の覚醒が長引くことがあります。

香港で慢性不眠症の成人43人を対象に行われたYungらの質的研究(2016年)では、グループインタビューと睡眠体験日誌を通して、不眠を抱える人が夜をどのように経験しているのかが調べられました。

参加者の語りからは、睡眠についての考え方、眠れないときに取る行動、認知的・感情的・身体的な覚醒、不眠に伴う感情体験というテーマが見いだされています。

睡眠の苦しさには、実際の睡眠時間や覚醒回数だけでなく、「眠れないことをどう受け止めているか」が深く関わっていたのです。

夜中に目が覚めた瞬間、「また眠れなかった」と焦り、残りの睡眠時間を計算し始める。翌日の仕事への影響を考えるほど、身体が緊張し、目が冴えていく。

そうした経験が繰り返されると、眠ることへの不安が、中途覚醒を長引かせる要因になることがあります。

また、トラウマを背景にもつ人では、日常の刺激に対する警戒が強くなりやすく、眠りの浅さや悪夢と結びつく場合があります。

過覚醒とは|PTSDで起きる「身体が先に緊張へ切り替わる」反応では、危険が去ったあとも身体が警戒を続ける仕組みについて詳しく解説しています。

トラウマを経験した人にとって、眠ることは無防備になること

眠るという行為には、周囲への注意を緩め、意識を手放し、身体を環境に委ねるという側面があります。

安心できる環境で過ごしてきた人にとって、眠ることは自然な休息の時間です。しかし、幼少期から危険や恐怖にさらされてきた人にとっては、眠っているあいだの無防備さが、不安と結びついている場合があります。

夜中に親が怒鳴り込んできた。眠っているところを突然起こされ、責められた。家族の争いや暴力が夜に起きるため、物音がするたびに身構えていた。

そうした経験があると、暗闇や静けさ、眠りにつく直前の感覚が、過去の危険と結びつくことがあります。

大人になり、以前とは違う環境で暮らしていても、夜になると理由の分からない緊張が強まる。誰もいない部屋で眠ろうとすると、かえって不安になる。

頭では今の生活が安全だと理解していても、身体は過去に身につけた警戒を続けていることがあります。

Kanadyらが2018年に発表した研究では、PTSDと不眠を抱える成人45人について、睡眠への恐怖とPTSD症状の関係が調べられました。

その結果、睡眠への恐怖が強い人ほど、PTSD症状や過度の警戒、悪夢の頻度も強い傾向が見られました。また、不眠症に対する認知行動療法を受けた人では、睡眠への恐怖も軽減していました。

ただし、この研究では、睡眠への恐怖が中途覚醒の多さと直接結びつくという単純な関係は確認されていません。

それでも、PTSDを抱える人にとって、眠ること自体が不安や警戒の対象になる場合があることは、臨床上重要な問題です。

眠ることが怖いという感覚には、眠っている間に何かが起きるかもしれないという不安や、周囲の状況を確認できなくなることへの恐怖が関わっている場合があります。

休むためには警戒を緩める必要があるのに、警戒を緩めることそのものが怖い。

この矛盾が、夜の休息を難しくしていることがあります。

中途覚醒の正体|身体が安全を確認し続けているとき

夜中に何度も目が覚める人のなかには、目覚めた瞬間から身体が緊張している人がいます。

突然胸が苦しくなり、心臓が速く打っている。夢の内容は覚えていないのに、何か怖いことが起きたような感覚が残っている。周囲を確かめ、何も起きていないことを確認してから、ようやく少し落ち着く。

こうした覚醒には、ストレスや悪夢、PTSDに関連する警戒反応が関わっている場合があります。

とくに長年、周囲の気配を察知しながら生きてきた人は、静かな場所でも身体が緊張しやすいことがあります。

眠っている間も見張りを続けているように感じられ、少しの刺激で目が覚める。その体験は、本人にとって、身体がまだ危険に備えているように感じられることがあります。

ただ、すべての中途覚醒が安全確認のために起こるわけではありません。

睡眠時無呼吸症候群、夜間頻尿、痛み、むずむず脚症候群、飲酒や薬の影響、更年期に伴う身体の変化なども、夜間の覚醒を引き起こします。

いびきが大きい、呼吸が止まると指摘される、息苦しくて飛び起きる、日中に強い眠気があるといった場合には、睡眠時無呼吸症候群などの評価が必要です。

また、中途覚醒が続く背景に、うつ病や不安症などが関わっている場合もあります。

身体が何に反応して目覚めているのかを見極めることが、適切な対処につながります。

夜は本来、回復と再生の時間

夜は、日中の役割を終え、心と身体が休息へ向かう時間です。

しかし、長年にわたって緊張した生活を続けてきた人は、夜になっても気持ちを切り替えることが難しい場合があります。

朝から周囲に気を配り、仕事では期待に応え、家に帰ってからも家族の様子を見ながら過ごす。

一日が終わる頃には疲れ切っているのに、身体の緊張だけが残っている。

こうした生活が続くと、日中の活動を終えることと、心身が休息へ切り替わることのあいだに、大きな隔たりが生まれることがあります。

本来なら、疲れた身体を休ませる時間であるはずの夜が、日中に感じきれなかった感情や不安に触れる時間になってしまうのです。

そのため、眠りを改善するには、夜の過ごし方だけでなく、日中にどのような緊張を抱え、どこまで自分の身体を休ませることができているかを考えることも重要になります。

過緊張の人はなぜ休めないのか|力を抜けない心理と身体の仕組みでは、休んでいるつもりでも身体の緊張が続いてしまう心理について詳しく扱っています。

中途覚醒を減らすために夜にできること

中途覚醒が続くと、「今夜こそ眠らなければ」と考えるようになります。

しかし、眠ろうと努力するほど、かえって緊張が高まることがあります。睡眠は自分の意思だけで直接起こせるものではなく、眠りに入りやすい条件を整えることが大切です。

眠る前に「一日を終える時間」をつくる

日中の活動からそのまま布団に入ると、仕事や人間関係で生じた緊張が残っていることがあります。

そのため、眠る前に少し時間を取り、今日の活動から距離を置くことが役立つ場合があります。

部屋の明かりを落とし、スマートフォンや仕事の連絡から離れる。明日考えればよいことを簡単に書き出し、今夜はそれ以上考え続ける必要がないようにする。

こうした行動は、今日の役割を終えたという区切りをつけるきっかけになります。

呼吸や身体の感覚を無理のない範囲で確かめる

横になったとき、背中や肩にどのくらい力が入っているのかを確かめてみることもできます。

呼吸を無理に深くする必要はありません。息を吸ったとき、背中や胸がわずかに動く感覚を確かめ、吐く息に合わせて身体の重さを感じてみる。

背骨に沿って呼吸が通るような感覚をイメージすることで、身体が落ち着く場合もあります。

ただし、トラウマや解離がある人では、呼吸や身体の内側に注意を向けることで不安が強まることもあります。その場合は、枕の感触や布団の温かさ、部屋の様子など、外側の落ち着ける感覚を確かめる方法もあります。

大切なのは、正しい呼吸をすることより、自分が落ち着ける感覚を見つけることです。

夜中に目が覚めても、睡眠を取り戻そうと焦らない

夜中に目が覚めたとき、何時なのかを何度も確認したり、残りの睡眠時間を計算したりすると、眠れないことへの焦りが強まる場合があります。

目が覚めても、すぐに眠ろうとせず、一度落ち着いて過ごすことが役立つ場合があります。

眠気が戻らず、長く目が冴えているようなら、いったん寝床を離れ、明るすぎない場所で静かな活動をして、眠くなってから戻る方法もあります。

これは不眠症に対する認知行動療法でも用いられる考え方です。

「寝床にいるのに眠れない」という経験を繰り返すほど、布団そのものが緊張を引き起こす場所になってしまうことがあります。

眠ることを無理に操作しようとするより、寝床と眠りの関係を少しずつ整えていくことが大切です。

日中の過ごし方が、夜の中途覚醒に影響することもある

中途覚醒は夜に現れますが、その背景にある緊張や生活リズムは、日中の過ごし方と関わっています。

特に、トラウマを背景にもつ人や、周囲の期待に応えるために自分を後回しにしてきた人は、一日のなかで緊張を緩める時間を十分に持てていないことがあります。

疲れていても次の予定へ進み、不快感を感じてもそのまま仕事を続ける。誰かに何かを頼まれれば、自分の身体の状態を確かめる前に引き受けてしまう。

こうした生活では、一日が終わる頃に、身体へ大きな負担が残っていることがあります。

そこで役立つのが、日中に小さな区切りをつくることです。

一つの作業を終えたら、椅子に座り直して背中や足の感覚を確かめる。会話のあとに肩へ力が入っていることに気づいたら、少し姿勢を変える。緊張が強い日には、予定のあいだに短い休息を入れる。

こうした行動は、必ずしも中途覚醒を直接減らすと証明された方法ではありませんが、日中の過緊張や疲労を調整する助けになります。

また、睡眠医学の観点からは、朝に光を浴びること、起床時刻をできるだけ一定にすること、日中に無理のない身体活動を行うこと、夕方以降のカフェインや就寝前の飲酒を見直すことなども、睡眠を整えるために重要です。

夜の眠りを改善するには、日中から身体が休息へ向かえる条件を少しずつ整えていくことが役立ちます。

中途覚醒・睡眠障害のセルフチェック

夜中に何度も目が覚める状態が続いている場合、次のような変化が起きていないかを振り返ることができます。

  • 寝る直前まで、肩や背中、腹部に力が入っている
  • 布団に入ると、仕事や人間関係の考え事が増える
  • 夜中に目が覚めると、再び眠るまで時間がかかる
  • 少しの物音や人の気配で目が覚めやすい
  • 夢が生々しく、目覚めたあとも感情が強く残る
  • 朝起きたときから疲労感があり、十分に休めた感じがしない
  • 眠れなかった翌日の仕事や生活が心配で、夜になると緊張する
  • 日中も気を張っており、安心して休める時間が少ない

これらは診断基準ではなく、睡眠と日常の緊張状態を振り返るための項目です。

当てはまる項目が多い場合には、睡眠の問題だけでなく、日中のストレスや身体の緊張、生活環境なども含めて見直すことが役立ちます。

ただし、症状が続いている場合には、トラウマやストレス以外の原因についても確認することが重要です。

中途覚醒が続くときは、睡眠障害としての治療も大切

中途覚醒が長く続く場合、生活習慣を整えるだけでは十分に改善しないことがあります。

とくに、週に何度も眠れない夜が続き、疲労や集中力の低下、気分の落ち込みなど、日中の生活に影響が出ている場合には、睡眠障害としての評価が必要です。

慢性的な不眠症に対しては、不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)が有効な治療法として推奨されています。

CBT-Iでは、睡眠に対する過度な心配や、寝床で眠れない状態が続くことによって生じる悪循環に働きかけ、睡眠と覚醒のリズムを整えていきます。

2023年に改訂された欧州の不眠症診療ガイドラインでも、成人の慢性不眠症に対する第一選択の治療としてCBT-Iが推奨されています。

また、PTSDや複雑性PTSDを背景にもつ場合には、悪夢や夜間の警戒、過去の恐怖が睡眠にどのように関わっているのかを理解しながら、必要な治療を組み合わせていくことが大切になります。

心理的な安心を育てることと、睡眠障害に対する医学的な治療は、互いに補い合うものです。

睡眠障害の症状と原因|心身に及ぼすトラウマの影響でも、不眠と心身のストレスの関係について詳しく解説しています。

無理に眠ろうとしなくていい|身体が休息を取り戻すために

中途覚醒が続いていると、眠ることそのものが負担になる場合があります。

布団に入る前から、今夜も眠れないのではないかと考える。目が覚めた瞬間に時計を確認し、あと何時間しか眠れないと焦り始める。

そうした状態では、本来は休息のための場所である寝室が、緊張や不安を感じる場所になってしまうことがあります。

眠りを取り戻していくうえで重要なのは、眠ることを自分に強制し続けるより、安心して休める条件を整えていくことです。

トラウマを経験した人にとっては、夜になって周囲への警戒を下げることに、不安が伴う場合があります。

長いあいだ、誰かの機嫌を読み、突然の出来事に備え、気を抜くことを許されなかった。そのような生活を送ってきた身体は、今日という一日が終わっても、すぐに警戒を緩められるとは限りません。

だからこそ、夜の眠りだけを変えようとするよりも、日中の生活で少しずつ緊張を減らし、自分の身体を休ませる経験を重ねていくことが大切になります。

誰かの期待に応え続けなくてもよい時間を持つ。疲れたときには、無理をせず休む。仕事や人間関係で起きたことを、夜まで一人で抱え続けない。

そうした経験を通して、身体が以前よりも安心して過ごせるようになることがあります。

「今日はここまででいい」「もう、今夜は何かに備え続けなくてもいい」。

そのような区切りを、言葉だけでなく生活のなかで経験していくことが、長年の警戒を和らげる助けになるのかもしれません。

まとめ|夜中に何度も目が覚める背景には、休めない心と身体がある

中途覚醒は、夜中に何度も目が覚めたり、再び眠ることが難しくなったりする睡眠の問題です。

その原因には、加齢、ストレス、睡眠環境、身体疾患、睡眠時無呼吸症候群、うつ病、薬や飲酒の影響など、さまざまな要因が関わっています。

また、トラウマや慢性的なストレスを背景にもつ人では、長年の警戒や過覚醒が、眠りの浅さや夜間の不安と結びついていることがあります。

日中は普通に生活していても、身体の内側では緊張が続いている。仕事を終え、家へ帰り、布団に入っても、誰かの言葉や表情を思い出し、まだ何かに備えている。

そのような状態では、夜が来たからといって、すぐに休息へ切り替わることは難しい場合があります。

中途覚醒を改善するには、睡眠環境や生活リズムを整え、必要に応じて医学的な評価や治療を受けることが重要です。同時に、日中にどのような緊張を抱え、なぜ身体が休息へ向かいにくくなっているのかを理解することも、回復を支える視点になります。

眠れない夜の背後には、長いあいだ自分を守るために働き続けてきた身体があるのかもしれません。

その身体が安心して休めるようになるには、夜の数時間だけでなく、日中の暮らしや人間関係のなかにも、力を抜ける時間が必要になることがあります。

身体が「今日は終わった」と感じられる時間を、少しずつ生活のなかに取り戻していく。

その積み重ねが、眠りを再び休息の時間へと近づけていくのです。


参考文献

  1. Yung, K.-P., Chung, K.-F., Ho, F. Y.-Y., Yeung, W.-F., & Ng, T. H.-Y. (2016). The Experience of Chronic Insomnia in Chinese Adults: A Study Using Focus Groups and Insomnia Experience Diaries. Behavioral Sleep Medicine, 14(4), 406–428.
  2. Kanady, J. C., Talbot, L. S., Maguen, S., et al. (2018). Cognitive Behavioral Therapy for Insomnia Reduces Fear of Sleep in Individuals With Posttraumatic Stress Disorder. Journal of Clinical Sleep Medicine, 14(7), 1193–1203.
  3. Riemann, D., et al. (2023). The European Insomnia Guideline: An update on the diagnosis and treatment of insomnia 2023. Journal of Sleep Research.
  4. 厚生労働省 e-ヘルスネット.不眠症.
  5. 日本睡眠学会.睡眠障害の治療.

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井上 陽平

井上陽平(公認心理師・臨床心理学修士)。
トラウマ・解離・PTSD・愛着障害を専門とする心理カウンセラー。
児童養護施設、情緒障害児施設、精神科クリニックでの臨床経験を積み、
心身反応(フリーズ・過覚醒・離人感)への介入や、
複雑性トラウマ、対人関係、境界線の問題に重点的に取り組む。

研究テーマは「複雑性トラウマの身体反応」「解離と自己構造」「愛着スタイル」「虐待と対人関係のパターン」。現在は「こころのえ相談室」にてトラウマ専門のカウンセリングを提供。書籍の企画・執筆に関するご依頼も承っております。

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