蛙化現象

異性に好意を持たれると気持ち悪くなるという蛙化現象を繰り返す女性が近年増えています。若い女性を中心に蛙化現象という言葉が広がっています。蛙化現象は、新しい出会いがあり、片思いをした相手とロマンティックな夜を過ごしたあと、相手が興味をもってくれたのにも関わらず、それ以上関係を続けられず、気持ち悪いと思ってしまう現象です。

蛙化現象

蛙化現象の症状

彼らは、片思いをしている時は楽しいですが、両想いになると、相手のことが気持ち悪く見えます。相手に好意を持たれると王子様だった人が、蛙のように気持ち悪く見えて、生理的な嫌悪感が沸いてきます。

蛙化現象の症状は、
①異性から好意を示されると生理的に嫌悪感を感じます。
②異性からの好意に繊細に体が反応します。
③自分を恋愛対象として見られるのが不快に感じます。
④異性に愛されるのが怖くて、その関係を遮断して異性を遠ざけます。
⑤モテようと近づいて、男女の友情や異性との話がしたいと思います。
⑥恋愛できるのは、自分から告白した男性にかぎります。
⑦相手から告白されたら、そこで関係が終わってしまいます。

蛙化現象の人の脳

彼らは、脅威に備えた生き方をしており、脳の防衛的な部分の働きが強く、異性が自分に近づいてくることを脅威に感じています。女性であれば、男性がガツガツと向かってくることが脅威になります。異性から性的な目で見られていると感じると、狙われると思って、危険を感じ、正常に対処できなくなります。

異性との関係は、刺激が強く、戦うか逃げるかという情動的な部分が刺激されたり、フラッシュバックして過去の嫌な感覚になったり、体が凍りついたりして、気持ち悪くなって、不快でしかありません。異性との距離が縮まった時は、その異性を遠ざけたいという防衛本能が現れて、相手と距離を取り、相手を馬鹿にしたり、軽蔑したりすることによって、情緒的に引きこもることで落ち着きを取り戻します。

彼らは、昔からの本当に親しい友人にしか心を開けられず、リラックスすることができません。自分から相手の懐に入っていくことは問題ありませんが、相手が自分に勝手に入ってくると、私は許可していないと辛辣な気持ちになり、拒絶反応を示してしまいます。

蛇に睨まれた蛙

蛙化現象は、片思いの相手が王子様のように見えていたけど、両想いになったときから、相手が蛙にしか見れなくなります。この蛙化現象は、両想いになった瞬間に、異性が蛙になったのではなく、異性が蛇になり、自分が蛇に睨まれた蛙になって、その恐怖から、石みたいに固まってしまうことで起こってるかもしれません。

異性とのデートは、緊張して落ち着かなくなり、足がすくんだり、固まったりするようなトラウマ反応が出て、自分で対処できないことが問題になり、そこから逃げるしか手段がないのかもしれません。

親子関係

蛙化現象の人は、両親とは親子関係が良好とは言えず、母子関係にこじれてきました。人によって、幼い頃に性的虐待を受けた人もいて、父親が気持ち悪く仕方ないかもしれません。親に一瞬愛されながらも、その期待を裏切られて、嫌がらせをされたり、無視されたりして、心が繋がりそうになるときに、怖いを思いしてきました。また、家族の幸せを願ってきたのに、その家族が自分に酷いことをしてきました。物質的には裕福な家庭であったかもしれないけど、感情的に貧しい子どもでした。

外面良く成長した後、異性から切望されることが、子どもの頃に親に切望されながも、親の気分次第で土足で人の心を踏みにじってきたり、殴られたり、怒られたり、酷いことを言われたりしたトラウマがあるかもしれません。また、今まで愛情を欲してきたけど、それが叶わなかった悲しみや孤独が思い起こされるので、そのような異性との緊密な関係を切り離すことで自分を守ろうとします。

蛙化現象の人のトラウマ

大きなトラウマを経験してしまうと、トラウマ防衛が組織されて、自分を表現することができなくなります。そして、外の世界との関係は全て遮断されます。異性との恋愛関係においても、無意識の力が抵抗します。彼らは、用心深い性格になり、脅威を遠ざけようとする原始的な防衛システムの支配下にいます。

ラプンツェルの魔女

蛙化現象の女性は、塔に閉じ込められたラプンツェルのようであり、彼らの内的な世界には残忍な魔女がいます。彼らが、夢をみて、希望を持ち、誰かを愛し始めて、現実の世界に根を下ろしたときに、魔女は現れて、不快な感覚にさせたり、恐怖で動けなくさせます。魔女は、新しい可能性を持つときに現れて、彼らが繋がりを求める過程を攻撃してきます。

魔女は、頭の中の思考の一部として働きかけてくることもあり、日常を過ごす私に対して、この世に希望を持たせないようにさせます。例えば、魔女は、無意識のなかでこのような声で働きかけてきます。「自分の身を危険に曝すな、お前は本当に彼のことを望んでいるわけではない、どうせ好きになっても失望するだけさ。」と言ったりします。魔女は完全主義であり、彼らに自分が思っていたほど、実際はいい人じゃなかったと思わせて、惑わします。

彼らの内的な世界には、魔女のような悪魔的人物像がいて、異性との恋愛で傷つく前に関係を切り離してしまおうとします。魔女は、酷く傷ついて無力な存在にならないように見張っていて、本人を迫害するだけでなく、世話をする役割もあって、外の世界の人々の関係からトラウマのトリガーが引かれないように守っています。しかし、自分のある部分がこのように人間関係を抑制していくと、次第に孤独感に悩まされます。

子ども時代のトラウマ

蛙化現象の人は、両想いになって、希望を持ち、感情的にオープンになったときに、傷つきやすくなります。別の言い方では、恋人に依存しようと無防備になったときにとてつもない恐怖や恥を感じてしまいます。また、異性に依存することは自分の傷つきやすさを曝すことなのでどうしても抵抗が出ます。それらは両親を求めることの耐えられない心の痛みと結びつき、子どもの頃に親を求める気持ちと、裏切られた気持ちに傷つきます。彼らは、子ども時代に親子関係で失敗しており、再び繋がりを求めて傷つくのが怖くて、関係を分断させます。

子どもの頃から、とても辛く、苦しい毎日を送るようになると、空想の世界でごまかすようになります。彼らは、外の世界は耐え難いけど、自分の世界に引きこもることで、楽しみを得てきました。外の世界と繋がるよりも、脱身体化して、感覚を麻痺させて、解離した世界観を持ちます。しかし、外の世界の人と両想いで恋愛していくというのは、今をしっかり感じることになります。蛙化現象の女性は、今まで麻痺させてきたものを感じることになり、それが怖くてたまりません。

トラウマと吐き気

人間へのトラウマ(恐怖心)がある人は、いざ人間との距離が近づくと、体の中のトラウマが出てきます。異性が自分に近づいてくると、胸がムカムカ、ザワザワして居心地が悪くなり、吐き気や気持ち悪さ、寒気など不快な感覚が出てきて、相手のことが怖くなる人もいます。そして、トラウマ的な恐怖を思い出すと、毒を無理やり口の中に入れられてそれを吐き出したいという気分に駆られ、内臓が勝手に動き出して、体の中のものを吐き出したくなり、気持ち悪さが出ます。

心と身体の分離と内なる葛藤

複雑にトラウマがある人は、脅かされることが繰り返されると、神経が痛み、脱身体化していきます。日常を過ごす私は、傷つかなさと偽りの姿で、この社会に適応します。しかし、自分の意識から切り離された身体のパーツは、しんどい、苦しい、怖いと言ってすすり泣いているかもしれません。また、めんどくさい、嫌い、痛い、来ないで、気づかせないでほしい、近づかないでと言っているかもしれません。そして、人が近づいてくると拒絶する反応が現れます。

無意識下の戦うか逃げるか

複雑にトラウマがある人は、内的な世界に、戦ったりするパーツや逃げたりするパーツを切り離しています。無意識下で、戦うパーツの影響により、自分の腕を試すため、好きな人のことを追いかけてたくなり、自分から告白したり、自分から相手に近づくことは全く問題がありません。一方、相手から告白されたり、相手がガツガツ近づいてくると、無意識下で逃げるパーツの影響を受けることになり、拒否する自分が出てきて、脅威から遠ざかろうとします。

蛙化現象は現代病

現代の若い人は、スマホやテレビ、ゲーム、音楽を中心にした便利な社会にいるので、動かなくても生活が出来ます。また、子どもの頃から、塾通いをして、家の中ではテレビを見たり、ゲームばかりしてきました。大人になると、デスクワーク中心の仕事で、座ったままの時間が長いと、体が固まっていき、筋肉量は下がって、心拍数や血圧も低下します。さらに、美容のためにダイエットをしていくと、筋肉量がどんどん下がり、手足が冷え、基礎体温が低い若い女性が増えています。

人間らしい身体性が失われると、自律神経系や免疫系に問題が出て、生理不順などの原因不明の身体症状が現れてきます。そして、心身のバランスが崩れていくと、強い感情を体験したり、内なる葛藤に耐えることが難しくなり、悪いものに脅かされやすい状態になります。

免疫系が異常になると、自分自身の体を誤って攻撃するようになります。また、外の世界の異質なものや危険な要素となるものに対しても、積極的に攻撃を加えるようになります。異性の恋人に対して、無防備な部分をさらけ出すことが、危険な要素と見なされ、内側から攻撃されてしまいます。

蛙化現象の人の特徴

蛙化現象の人は、相手を気持ち悪いと思ってしまって、生理的な嫌悪感が沸きます。そうした人の特徴をここでは載せます。

性行為への嫌悪感

蛙化現象の人は、潔癖で強迫的なところがあり、自分の無垢さを保護しようとして、現実から孤立していきます。異性から、性的な対象として見られることが気持ち悪くなり、体が凍りついて、思考がネガティブなほうにいきます。

女性の場合は、男性から分かりやすい欲望の対象になっていること嫌で逃げ出したくなります。男性との性行為を想像すると、ひっくり返った蛙のような格好を取ることが無様に感じます。上から男性が覆いかぶさってくることが気持ち悪すぎます。男性から性欲を向けられることが気持ち悪いと感じます。性的な行為をすると、純粋な自分ではなくなり、汚れてしまう人間になりたくないと思います。

また、無意識下では、自分が女王蜂のようで、色んな男に狙われていると思っています。実際に、性行為に及ぶと最初のうちは激しい嫌悪感が出てきます。異性に自分をさらけ出して、無防備な状態でいることが、とてつもない恐怖を感じます。

恋愛経験が少ない

恋愛経験が少なく、思春期の頃は、アニメやゲームの世界にはまり、現実の世界とは距離を置いてきました。恋愛を経験すると、異性から好奇の目で見られることが生々しく感じて、ショックを受けることになります。今までの異性に対するイメージや思い込みが壊されて、好きだったはずの相手が嫌悪する対象になります。

基本的信頼がない

幼いうちから、親子関係で失敗していて、基本的信頼感を獲得できず、人間不信がベースにあります。普段から、不安や緊張、警戒心が強く、防衛的な脳が働いて、脅威を遠ざけようとする生き方になっています。頭の中では白黒思考をして、アセスメントしています。

凍りついた身体

ショックを受けやすく、人一倍敏感で、脅威がないかどうかを探りながら生活しています。彼らは、凍りついた体を持ち、その中には、戦ったり、逃げたり、怯えているパーツを閉じ込めており、莫大なトラウマのエネルギーを抱えています。環境の変化に弱く、自律神経系の調整不全に陥り、気分の波が激しくなります。恋人との関係に期待するよりも、いつも最悪の事態を想定して、不幸な自分や不安の塊にしがみついているほうが自分が変化していかないので、安心します。

自意識過剰と人の評価が怖い

自意識が過剰になり、人から評価されることが怖く、人の目が気になり、自分に自信がありません。恋愛関係になっても、恋人からどう思われているか、どう評価されるかがしんどくて、居心地が良くありません。自分を守るために、マイナスな可能性ばかりに注意が向き、お互いを評価し合ってカップルでいることが気持ち悪く思います。

脱錯覚

付き合う前は、相手を理想で固めていますが、恋人関係になることにより、錯覚に基づく関係から現実の関係に引き戻されます。もともと理想が高すぎるために、現実に切り替わるときの幻滅に耐えられません。普段から、頭の中で、異性のことを良いか悪いかで評価しており、異性のちょっとした欠点を見つけてしまうと、悪く受け取り、評価を大きく下げます。

自己肯定感が低い

自己肯定感が低く、どうしてもネガティブなほうに目がいって、前に進むことができません。自分が完璧でないといけなくて、相手を幸せにできない、失敗できない、申し訳ない、罪悪感が強いです。相手から好意を向けられると、自分は人から愛される人間ではないと思っているので、どうしたらいいか分からなくなり、逃げてしまいます。

そして、こんな自分を好きになるなんて、ろくでもない人間に決まっていると、相手を価値下げします。また、異性に褒められたとしても、素直に受け取って喜ぶことができず、何か別の思惑があるに違いないと思い込んだり、どうで体目当てなんだろうと下心を疑います。

自他の境界がない

自分と他人の境界線があまり無く、相手の感情や思考がどんどん混ざってきます。好奇心が刺激される相手には、相手の都合などおかまいなしに、積極的に働きかけて、追いかけていきます。一方、人から悪意を向けられたり、非難されたり、拒絶されたりするなど、ネガティブな感情を向けれることが苦手で、相手が自分に深く入ってくると、怖くなります。

トラウマのメカニズム

片思いのときは、自分にどれだけの力があるかを試すために、積極的に働きかけて、自分から追いかけたくなります。しかし、両想いになると、拒否したくなる自分が出てきて、胸がムカムカ、ザワザワして、気持ち悪くなります。

価値観が違う

蛙化現象の人は、現実よりも空想に浸り、美しい面に価値を置いています。一方、現実世界によく適応した人とは価値観が合いません。

恐怖症

恋愛が少しでも上手くいかなくなったらと思って恐怖を感じています。彼らは、幸せになることが怖いとか、拒絶されるのが怖いとか、異性に依存してしまうのがたまらなく怖いと感じています。

不安や緊張感

異性といるとき、緊張が強くて、気持ちをうまく伝えられません。不安が大きくなりすぎて、それから逃げたくなります。

欲求不満への耐性が低い

蛙化現象の人は、フラストレーションへの耐性が低くなっています。恋人は、欲望をもたらす対象でありますが、一方で、欲求不満をもたらす対象でもあります。恋人という動かしがたい他者との関係において、欲求不満を感じて、関係を続けていくことが難しくなります。

孤独や絶望に

異性と親密な関係を構築するよりも、ある部分が人と繋がることを抑制しているため、孤立していきます。人生が後向きになり、異性と親密になろうと行動してもうまくいかず、不安や焦り、自責になります。

トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2021-03-17
論考 井上陽平

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