フラッシュバックの対処法|泣く辛い、思い出すとの違い

PTSD (Post-Traumatic Stress Disorder)は、トラウマ的な出来事の後に発症する心理障害であり、再体験症状が特徴的な症状の1つです。PTSDは、他にも過覚醒症状、回避行動、否定的な自己像などの症状を伴うことがあり、その症状が継続していることがPTSDの診断基準になります。

PTSDの再体験・侵入症状

PTSDの再体験症状には、トラウマ体験を再体験する突然の回想になります。また、トラウマ体験を想起させる物や状況に対して、不安や恐怖を感じます。さらに、トラウマ体験を再体験するための視覚的・聴覚的・身体的な感覚、感情が生じます。

再体験症状は、トラウマ体験を思い出すために、突然に現れる感情(不安や恐怖、怒りなど)や思考、イメージ、映像、身体反応(胸が詰まる、息切れ、震える、痛みなど)を指します。これらの症状は、トラウマ体験を再現するように感じることがあり、それらを避けるために回避行動を取ることがあります。

フラッシュバックとは

トラウマのフラッシュバックとは、トラウマ体験を記憶した際に、その体験を再体験することを指します。これは、突然の視覚的・聴覚的・身体的な回想によって引き起こされ、強烈な感情、記憶などとともに起こることがあり、現実から逃避するような脱現実的な状態に陥ってしまうことがあります。フラッシュバックは、トラウマ体験を引き起こす特定のトリガー(人間、場所、景色、音、匂いなど)によって引き起こされます。また、トラウマのフラッシュバックは、トラウマを抱える人にとって非常に困難な経験であり、彼らはまるでトラウマが再発生しているかのような感覚を持つことがあります。

フラッシュバックと思い出すことの違い

トラウマのフラッシュバックは、トラウマ的な経験がトリガーとなり、突然の不安や恐怖、恐怖的な記憶などの感情的な反応を引き起こすことです。フラッシュバックはリアルタイムのように感じられ、現実と同じ状況にいるかのように感じられます。

一方、記憶を思い出すことは、意図的に過去の記憶を思い出すことを指します。これは選択的に行われますし、感情的な反応は弱いものです。

トラウマの過呼吸

過呼吸は、トラウマの後遺症の1つであり、トラウマ体験後の引き起こされる呼吸困難や息切れの症状を指します。これは、トラウマ体験時に生じたストレスや不安が、体内のストレス反応を引き起こし、呼吸に影響を与えるために起こる可能性があります。

トラウマのフラッシュバックの体験談

衝撃的な出来事は、人間の心理に深い痕跡を残す。それは一瞬にして録音機のようにすべてを吸収し、瞬間的に心の中へ閉じ込めてしまう。それらの出来事は、視覚的なものだけでなく、聴覚や嗅覚の情報も鮮明に記憶に残り、その力強さは時間が経つにつれて衰えることがない。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)のフラッシュバックは、まさにこれらの記憶が突如として蘇る現象で、その時感じた恐怖や不安が現実に存在するかのように体験者に襲いかかる。それは瞬間的に当時の世界観を再現し、その世界観に完全に引きずり込まれてしまう体験である。それはあたかも時間と空間が歪み、突然過去の出来事が現実のように感じられる体験といえる。

フラッシュバックの中に取り込まれた瞬間、人はその空間に飲み込まれ、その世界の中でしか物事を見ることができなくなる。その結果、恐怖と混乱が交錯し、パニック状態に陥ってしまう。これは極度の不安感と無力感を伴うとともに、自己が実体を失ったかのような感覚をもたらす。

フラッシュバックから逃れて現実世界に戻る

しかし、このフラッシュバックから逃れるために、人は様々な対処法を模索する。その一つが、外の世界に目を向け、安心できるものを探し求めることだ。それは自然の景色であったり、馴染みのある景色だったりする。また、身体を動かすことによって現実感を取り戻す試みもある。これらの行為は、パニック状態から抜け出し、現実の世界へと戻るための努力といえる。

そうして、心に安らぎをもたらす何かを見つけた時、それはまるで闇を払う明かりのように感じられる。それは現実世界に生還するための一筋の光であり、安らぎと希望をもたらす。この一筋の光、フラッシュバックから逃れ、再び現実世界へ戻る道しるべとなる。それはまるで暗闇に迷い込んだ旅人がたどり着く灯火のように、心に光をもたらす。その温かさは慈悲のように、時に厳しく、時に優しく、自分を励まし、自分を現実へと引き戻す力となる。

フラッシュバックからの回復の旅路

しかし、その道は決して容易なものではない。無数の感情が渦巻き、記憶の海に押し寄せる波は容赦なく自分を揺さぶる。それに対抗するためには、全身全霊を使って現実へと引き戻さねばならない。動けそうな体を動かし、身体の感覚を鈍らせず、現実の世界に存在していることを自分自身に思い出させる。

安心するものに触れること、自然を感じること、これらは自分がまだ生きて、現実世界にいるという確証となる。その確証は、フラッシュバックという混乱から逃れ、現実の世界へと繋がる錨となる。そして、その一歩一歩が自分自身を再構築し、再び生きる力を取り戻す旅路となる。

フラッシュバックからの回復は一夜にして達成されるものではなく、一日一日、一歩一歩という小さな進歩が積み重なることで実現される。それはまるで小さな光が集まり、やがて大きな光となって闇を払うように、日々の努力が集まり、最終的には自分自身の回復に繋がる。

その旅路は厳しいものであるかもしれない。しかし、その先にある現実世界という安らぎへと向かって、それぞれの人が自分自身の方法で戦っていく。そしてその光は、自分だけでなく、周囲の人々にも希望をもたらし、他の人々の闘いにも光を投げかける。それはまるで、フラッシュバックの闇から出てきた一筋の光が、他の人々の心にも光をもたらすように。

フラッシュバックの対処法

トラウマは、適切な治療を受けることにより、フラッシュバックをコントロールすることができます。トラウマのフラッシュバックに対処する方法として以下があります。

  • 心理カウンセリングやトラウマ療法など、専門家と一緒に問題を解決することが有効です。適切な治療を受けることが大切であり、治療者と協力することで、フラッシュバックをより適切に対処することができます。
  • 呼吸法や自律訓練法、ストレッチ、リラクセーション、ヨガ、散歩、運動など、身体的なリラックス技法を使用して、ストレスやパニックを緩和し、安心感を得ることができます。
  • 瞑想やマインドフルネス、音楽など、内面を落ち着かせることで、自分自身をコントロールすることができます。
  • 自分自身が安全な場所にいるかどうかを確認し、安全な場所を見つける。
  • 健康な生活習慣を維持するために、例えば、健康的な食生活、十分な睡眠、アルコールやタバコの使用を控えること。
  • 友達や家族、サポートグループなど、周りの人とコミュニケーションをとることで、ストレスを軽減することができます。また、信頼できる支援者に話すことで、情報を共有し、安心感を得ることができます。
  • フラッシュバックを引き起こすトリガーとなる環境や場所を避けることができる場合は、避けること。また、トリガーを回避する方法を練ること。

これらの方法を組み合わせることで、トラウマのフラッシュバックを防ぐことができます。また、適切な治療を受け続けることも大切です。

周りの人がすべき対処方法

トラウマのフラッシュバックが起こった場合に、周りの人がすべき対処方法は次の通りです。

  • トラウマのフラッシュバックは、被害者が過去のトラウマ体験を再体験していることを理解することが大切です。
  • 被害者が安全な環境にいることを確認することが大切です。周りを見回り、トリガーとなるものがないようにすること。
  • 被害者が感情を話すことができるように、気持ちに寄り添いならが、無評価に話を聴くこと。また、被害者が心を落ち着かせるために支援すること。
  • 被害者が適切な治療を受けることができるよう、専門家の支援を提供すること。

これらの方法により、トラウマのフラッシュバックが起こった場合においても、被害者が安全で安心な状況を得られるよう支援することができます。また、周りの人もそのサポートをすることが重要です。

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トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2021-01-31
論考 井上陽平