職場でのパーソナリティ障害との接し方|境界性・自己愛性パーソナリティ障害を理解する

職場でのパーソナリティ障害との接し方 人格傾向・パーソナリティ

昨日までは親しく話していた同僚が、ちょっとした注意をきっかけに態度を変え、突然距離を置くようになる。上司から仕事の修正を求められただけなのに、ひどく傷ついた様子を見せたり、反対に激しく反発したりする。職場では、こうした感情の揺れや対人関係の変化によって、本人も周囲も疲れ切ってしまうことがあります。

相手の機嫌を損ねないように言葉を選び、何か問題が起きるたびに関係を修復しようとする。最初は気遣いのつもりだったものが、次第に相手の反応を先回りして考える習慣になり、仕事そのものより人間関係に多くのエネルギーを使うようになる場合もあります。

こうした背景には、境界性パーソナリティ障害や自己愛性パーソナリティ障害に関連する心理的な特徴が見られることもあります。しかし、感情的な言動や人間関係の衝突だけで、相手に診断名を当てはめることはできません。

過労、ハラスメント、発達特性、うつ状態、家庭の問題、職場の評価制度など、対人関係を不安定にする要因はさまざまです。

大切なのは、相手がどのような心理状態にあるのかを理解しながら、仕事上の責任や人との距離を明確にすることです。相手への理解を深めることと、自分の心身や職場の安全を守ることは、どちらも必要になります。

境界性パーソナリティ障害の人が職場で抱えやすい不安

境界性パーソナリティ障害(BPD)では、感情や自己評価が大きく揺れ、親しい人との関係が不安定になりやすいことがあります。

例えば、上司から仕事を任されたことを、自分が信頼されている証拠として受け止め、強い安心感を抱くことがあります。ところが、その上司から少し厳しい指摘を受けたり、予定していた面談が延期されたりすると、急に「嫌われたのではないか」「もう必要とされていないのではないか」と感じる場合があります。

周囲から見れば、仕事上の注意や予定変更にすぎない出来事でも、本人の内側では、自分の存在を否定されたような強い恐怖が動き出していることがあります。

その結果、相手へ何度も確認したり、怒りをぶつけたり、突然関係を断とうとしたりする場合があります。安心したくて近づいた相手に傷つけられることが怖くなり、今度は自分から突き放してしまうのです。

こうした関係の揺れには、相手を信頼したい気持ちと、見捨てられることへの恐怖が同時に存在している場合があります。

また、職場では、自分の働きぶりや価値を周囲の反応から確かめようとすることがあります。上司から褒められると安心できても、反応が薄かったり、別の同僚が評価されたりすると、強い不安や劣等感を感じることもあるでしょう。

こうした不安が続くと、仕事の内容そのものよりも、周囲からどう思われているかが気になるようになります。

境界性パーソナリティ障害(BPD)とは|原因・症状・恋愛と対人関係では、見捨てられ不安や感情の揺れ、親密な関係で生じる苦しさについて詳しく扱っています。

自己愛性パーソナリティ障害の人が職場で抱えやすい傷つき

自己愛性パーソナリティ障害(NPD)では、自分の価値や能力をどのように感じているかが、周囲からの評価によって大きく揺れることがあります。

仕事で成果を上げ、自信に満ちた態度を見せていても、上司から修正を求められたり、同僚のほうが高く評価されたりすると、強い恥や劣等感を感じる場合があります。

本人にとって、仕事上の失敗が単なる改善点として受け止められず、自分自身の価値が失われるような経験になってしまうことがあるのです。

その苦しさをうまく扱えないときには、自分の正しさを強く主張したり、相手の能力を低く評価したり、失敗の責任を外へ向けたりすることがあります。

例えば、上司から資料の修正を求められたとき、「自分の仕事が理解されていない」「上司の判断がおかしい」と感じ、激しく反発する場合があります。指摘された内容を検討する前に、批判した相手への怒りが大きくなってしまうのです。

一方で、自己愛性パーソナリティ障害の人が、必ずしも目立つ態度や高圧的な言動を示すわけではありません。失敗や批判を強く恐れ、人との比較を避けながら、自分の傷つきやすさを隠して生活している場合もあります。

自己愛性パーソナリティ障害について研究しているRonningstamとWeinberg(2023)は、自己評価の脆さに加え、他者との関係や感情調整の難しさに注目しています。表面的な自信や強い態度の奥で、本人がどのような自己評価の揺れを経験しているのかを理解することが重要になります。

職場では、能力や立場、昇進、周囲との比較が日常的に行われるため、こうした自己評価の問題が表面化しやすい場合があります。

自己愛性パーソナリティ障害の特徴とは|男性・女性の行動パターンと心理では、賞賛への欲求や批判への敏感さ、他者との関係で生じる葛藤について詳しく解説しています。

トラウマや幼少期の経験が、職場での反応に重なるとき

境界性パーソナリティ障害や自己愛性パーソナリティ障害の形成には、気質や発達環境、対人関係の経験など、複数の要因が関係すると考えられています。

幼少期から強い批判を受けたり、親の機嫌によって扱いが変わったりしてきた人は、他人の評価に敏感になることがあります。

例えば、家庭で失敗するたびに厳しく責められていた場合、大人になってからも、仕事のミスを指摘されると強い緊張が生じることがあります。現在の上司は業務上の修正を求めているだけでも、本人には、かつて親から責められたときの恐怖や恥が重なって感じられるのです。

また、親しい人から突然拒絶された経験が繰り返されていると、職場で少し距離を置かれただけでも、見捨てられるような感覚が強まる場合があります。

ただし、トラウマを経験した人が必ずパーソナリティ障害になるわけではなく、パーソナリティ障害の背景に必ずトラウマがあるとも限りません。

現在の反応を理解するためには、過去の経験だけでなく、本人の気質や生活状況、職場で実際に何が起きているのかを合わせて見る必要があります。

注意されると怒る・泣く・黙り込む|強いストレスと身体の反応

職場で注意を受けたとき、突然涙が出たり、激しい怒りが込み上げたり、言葉が出なくなったりすることがあります。

本人は落ち着いて対応したいと思っていても、身体の緊張が一気に高まり、目の前の出来事を冷静に整理することが難しくなる場合があります。

例えば、上司から「この部分を直してください」と言われた瞬間、胸が締めつけられ、頭の中が真っ白になる。それまで考えていたことが分からなくなり、自分が仕事を続けていけるのかという不安まで膨らむことがあります。

反対に、激しく反発してしまう場合もあります。自分が否定されたと感じると、その傷つきに耐えられず、相手の言葉や態度を強く攻撃してしまうのです。

こうした反応には、ストレスによる自律神経系の変化や、過去の対人経験から形成された感情の扱い方が関係している場合があります。

しかし、怒りや涙、沈黙といった反応だけで、特定のパーソナリティ障害があると判断することはできません。

重要なのは、本人がどのような言葉を脅威として受け取り、その直後にどのような感情や身体の変化が起きるのかを理解することです。

注意されると泣いてしまう・落ち込んでしまう理由では、批判を受けたときに自己否定や強い身体反応が生じる仕組みについて詳しく解説しています。

スプリッティングとは?味方だった同僚が突然敵になる心理

境界性パーソナリティ障害の心理を理解するうえで、精神分析では「スプリッティング(分裂)」という概念が用いられることがあります。

これは、相手の良い面と悪い面を同時に受け止めることが難しくなり、あるときには理想的な存在として感じていた人を、別のときにはひどく傷つける存在として捉えてしまうような心理の動きです。

例えば、仕事の悩みを聞いてくれた上司を、誰よりも信頼できる存在として感じていたとします。しかし、その上司が忙しくて相談に応じられなかったり、仕事上の間違いを指摘したりすると、今度は「自分を見捨てた」「最初から信用できない人だった」と感じることがあります。

相手にも良いところと限界があり、親切なときも厳しいときもある。そのような複雑さを保つことが難しくなると、人間関係は極端な評価の間で揺れやすくなります。

職場では、こうした変化が同僚同士の対立へ発展する場合があります。以前は親しくしていた相手を急に避けたり、別の同僚へ不満を訴えたりすることで、周囲まで対立に巻き込まれることもあります。

ここで周囲が「どちらが正しいのか」を急いで決めようとすると、関係がさらにこじれる場合があります。

例えば、「かなり傷ついたのですね。ただ、上司が実際に何を伝えたのか、そこは分けて確認しましょう」と対応することで、本人の感情を受け止めながら、出来事そのものへ注意を戻しやすくなります。

スプリッティングは精神分析的な理解の一つであり、こうした言動があるからといってBPDと診断できるわけではありません。

噂・威圧・無視・排除が起きたときは、行動そのものを扱う

職場で誰かが根拠のない噂を広げたり、同僚を無視したり、威圧的な言葉を繰り返したりする場合、その背景にどのような心理があるのか気になるかもしれません。

しかし、こうした問題を特定のパーソナリティ障害の特徴として説明してしまうと、職場で実際に起きている行為への対応が曖昧になる場合があります。

例えば、ある同僚が自分への不満を周囲に広めているとき、「あの人は自己愛性パーソナリティ障害だから仕方がない」と考えても、状況は改善しません。

必要なのは、いつ、誰に、どのような言葉が伝えられ、仕事や人間関係にどのような影響が生じているのかを確認することです。

本人が強い不安や怒りを抱えていたとしても、他人の尊厳を傷つけたり、職場の安全を損なったりする行為については、組織として対応する必要があります。

一方で、相手の言動をすべて病気のせいにすると、ハラスメントや不適切な業務指示、職場の権力関係といった問題が見えにくくなることもあります。

心理的な背景を理解することと、具体的な行為に責任を求めることは、分けて考える必要があります。

競争心が強い・転職を繰り返すのはパーソナリティ障害なのか

他人より高く評価されたい、仕事で成果を出したい、昇進したいという気持ちは、職場では自然に生じるものです。

また、転職が多いことにも、待遇の問題、職場環境との不一致、家庭の事情、体調、将来の希望など、さまざまな理由があります。

ただし、職場を変えるたびに同じような対人関係の衝突を繰り返し、そのたびに深く傷ついたり、強い怒りを抱えたりする場合には、自分の対人関係のパターンを振り返ることが役立つかもしれません。

仕事を始めた頃には上司を理想的な存在として信頼していたのに、何度か注意されるうちに強い失望を感じ、職場全体を否定したくなる。あるいは、周囲から高く評価されているときには自信を保てても、成果が認められなくなると、自分の価値まで失われたように感じることがあります。

そのような状態では、仕事上の問題と自分の価値が密接に結びつき、失敗や対立を必要以上に大きく受け止めてしまう場合があります。

大切なのは、我慢して同じ職場に居続けることよりも、何が自分を傷つけ、どのような環境や関わり方であれば安定して働けるのかを理解することです。

職場での接し方①|注意や指摘は人格ではなく行動に向ける

感情や自己評価が揺れやすい人に仕事上の注意を伝えるときには、何を修正してほしいのかを具体的に説明することが大切です。

例えば、「あなたは仕事が雑だ」「いつも責任感がない」と伝えると、本人は自分の人格全体を否定されたように感じる場合があります。

それよりも、「昨日の資料には数値の誤りがありました。取引先へ提出する前に、この部分を修正してください」と伝えるほうが、何をすればよいのか明確になります。

このとき、必要以上に相手を褒めたり、傷つけないように曖昧な言い方を続けたりする必要もありません。

仕事の事実、期待する行動、期限を落ち着いて伝えることで、本人は自分が何を求められているのか把握しやすくなります。

また、周囲の人がいる前で強く叱責するより、必要に応じて個別に伝えるほうが、羞恥や防衛的な反応を強めにくい場合があります。

職場での接し方②|感情を受け止めながら、要求には境界線を引く

相手が強く傷ついていたり、怒っていたりするときには、その感情を短く受け止めることが役立つ場合があります。

「急に予定が変わって、不安になったのですね」「自分の仕事が評価されなかったように感じて、悔しかったのですね」

そのように伝えることで、本人は少なくとも自分の気持ちが理解されたと感じられるかもしれません。

しかし、感情を受け止めることと、相手の要求をすべて受け入れることは別です。

例えば、面談の予定を何度も変更するよう求められたり、業務時間外にも頻繁に連絡を受けたりする場合には、「話したいことは分かりました。続きは明日の面談で確認しましょう」と伝えることができます。

相手が怒っているからといって、その場で決定を変えたり、仕事上のルールを曖昧にしたりすると、今後も同じような問題が繰り返される場合があります。

感情は尊重しながら、できることとできないことを明確にする。その一貫した対応が、関係の安定につながります。

職場での接し方③|役割と責任、連絡方法を明確にする

職場で人間関係のトラブルが続くときには、業務の役割や責任が曖昧になっていることがあります。

「誰が判断するのか」「どこまで自分が対応するのか」「問題が起きたら誰に相談するのか」が明確でないと、仕事上の行き違いが対人関係の不満へ発展しやすくなります。

そのため、担当する業務や期限、報告方法、判断を求める場面などを具体的に共有しておくことが大切です。

例えば、「この件はあなたが資料を作成し、最終的な判断は上司が行います。判断に迷ったときには、金曜日の会議で確認しましょう」と伝えておけば、責任の範囲が分かりやすくなります。

また、重要なやり取りを口頭だけで済ませず、メールや共有資料に残すことも、後から生じる誤解を減らすために役立ちます。

これは、特定の診断を持つ人だけへの対応ではありません。職場全体の仕事の進め方を明確にすることが、不要な緊張や対立を減らすことにつながります。

職場での接し方④|上司・同僚・部下で対応を分ける

同じような言動であっても、相手が上司なのか、同僚なのか、部下なのかによって、必要な対応は変わります。

上司との関係では、仕事上の評価や指示を相手が握っているため、不安や緊張が強まりやすくなります。威圧的な言動や不適切な指示が続く場合には、自分だけで関係を修復しようとせず、事実を記録して人事や相談窓口へつなぐことが重要です。

同僚との関係では、相手の感情に巻き込まれて、仲裁役や相談相手を引き受けすぎることがあります。話を聞くことはできても、他人同士の問題をすべて解決する責任までは負わないようにします。

部下との関係では、本人の不安や困りごとを丁寧に聞きながら、業務上の基準を一定に保つことが大切です。感情的な反応があったからといって評価を大きく変えるのではなく、具体的な成果や行動をもとに、必要な支援と改善点を伝えていきます。

関係の立場によって対応方法を調整することは、相手を特別扱いすることではなく、それぞれが持つ責任や権限に合わせて、適切な距離を保つための方法です。

職場での接し方⑤|一人で抱え込まず、第三者を交える

相手の機嫌を損ねないように気を配り、何か問題が起きるたびに自分が間に入る。そのような役割を続けていると、いつの間にか相手の感情を落ち着かせることが、自分の仕事の一部になってしまう場合があります。

最初は相手を助けたい気持ちから始まったとしても、自分の生活や仕事にまで負担が広がっているときには、関係を見直す必要があります。

業務上の対立が繰り返される場合には、上司や人事、産業保健スタッフなど、第三者が状況を確認できるようにすることが重要です。

その際には、相手の性格や病名を説明するよりも、いつ、どのような出来事があり、仕事へどのような影響が出ているのかを整理します。

また、業務時間外の連絡、私的な相談、仕事とは関係のない要求についても、どこまで対応するのかを明確にしておきます。

人との関係に距離を置きたくなるとき|消耗しないつながりを選び直すという回復では、相手を大切にしながら、自分の生活を守るための距離の取り方について扱っています。

自傷の訴えや脅迫、ハラスメントがある場合の対応

職場で自傷や自殺をほのめかす言動があった場合には、本人の安全を確認し、必要に応じて医療機関や職場の緊急対応へつなぐことが重要です。

一方で、威圧や脅迫、暴力、ハラスメントがある場合には、心理的な背景を理解することと、組織として安全を確保することを分けて考える必要があります。

例えば、怒りの高まりによって同僚が脅迫されている場合、周囲が本人をなだめ続けるだけでは、問題の解決につながりません。事実を確認し、接触の調整や相談体制を整え、必要な対応を組織として判断することが求められます。

WHOの職場メンタルヘルス指針(2022)でも、個人の心理的な支援だけでなく、職場環境の調整や管理職への支援、必要な配慮を組み合わせることが重視されています。

本人の病名を周囲に広めたり、診断名を理由に不利益な扱いをしたりすることにも注意が必要です。必要な情報はプライバシーに配慮しながら扱い、誰もが安全に働ける環境を整えていくことが大切になります。

本人が回復するために|感情と行動の間に余裕を作る

境界性パーソナリティ障害や自己愛性パーソナリティ障害を抱える人にとって、回復は感情の揺れを完全になくすことだけを意味するものではありません。

自分が傷ついたとき、どのような考えが浮かび、身体がどのように反応し、その後どのような行動を取りやすいのかを理解することが大切になります。

例えば、上司から指摘されたときに強い怒りが込み上げたとしても、すぐに言い返したり、退職を決めたりする前に、自分の状態を振り返ることができます。

胸が苦しくなっていないか。身体が固まっていないか。指摘された内容そのものがつらいのか、それとも、自分が価値のない人間だと感じることが苦しいのか。

そうした違いが少しずつ分かるようになると、感情に圧倒されたまま行動することが減り、自分の気持ちを言葉で伝えやすくなる場合があります。

また、自分が相手をどう感じているのかだけでなく、相手にはどのような事情や考えがあるのかを想像することも、対人関係を安定させる助けになります。

治療では、感情調整や対人関係、自己評価などを扱う心理療法が用いられます。境界性パーソナリティ障害に対しては、弁証法的行動療法(DBT)、メンタライゼーションに基づく治療(MBT)、スキーマ療法などが知られています。

米国精神医学会が2024年に公表した治療指針でも、本人の状態と希望を踏まえた治療計画を作り、症状の中心的な問題に取り組む構造化された心理療法を行うことが推奨されています。

自己愛性パーソナリティ障害についても、自己評価の揺れや恥、対人関係の困難を理解しながら、長期的な心理療法を通じて変化を目指すことがあります。

自分の傷つきやすさを知りながら、相手の立場や気持ちにも目を向けられるようになることが、仕事や人間関係の安定につながります。

職場で安定した人間関係を築くために

職場で感情の揺れが大きい人や、批判に強く反応する人と関わっていると、相手を傷つけないようにすることばかり考え、自分の気持ちが後回しになることがあります。

相手が落ち込んでいるときには励まし、怒っているときにはなだめ、関係が悪くなれば自分から修復しようとする。そうした努力を続けているうちに、仕事へ向けるはずだったエネルギーが、相手の感情を管理することへ費やされてしまう場合があります。

しかし、人間関係を安定させるためには、一人が相手の感情を引き受け続けるよりも、それぞれの責任や役割を明確にすることが必要です。

感情を理解しようとすること。業務上の事実を確認すること。できることとできないことを伝えること。そして、必要なときには第三者の支援を受けること。

こうした関わりを続けることで、相手の機嫌に振り回される関係から、仕事上の協力を保てる関係へと変えていくことができます。

本人にとっても、周囲にとっても、安心できる職場とは、誰かが我慢して問題を抱え込む場所ではなく、それぞれの感情や限界を尊重しながら、責任を分け合える場所です。

当相談室でのカウンセリングについて

こころのえ相談室では、職場での人間関係の悩み、批判への敏感さ、強い自己否定、見捨てられ不安、過剰適応、自己愛の傷つき、幼少期のトラウマなどについて、ご相談をお受けしています。

上司や同僚との関係で疲れ切っている、自分の感情が抑えられない、人から注意されると強く傷つく、相手の反応に振り回されてしまうといった問題について、現在の生活状況を整理しながら心理的な支援を進めていきます。

相手との関係をどう調整すればよいのか、自分の感情や境界線をどう守ればよいのかについても、一人ひとりの状況に合わせて考えていきます。

参考文献

  1. Keepers, G. A., et al.(2024). The American Psychiatric Association Practice Guideline for the Treatment of Patients With Borderline Personality Disorder. American Journal of Psychiatry, 181(11), 1024–1028.
  2. Ronningstam, E., & Weinberg, I.(2023). Narcissistic Personality Disorder: Patterns, Processes, and Indicators of Change in Long-Term Psychotherapy. Journal of Personality Disorders, 37(3), 337–357.
  3. National Institute for Health and Care Excellence(NICE). Borderline Personality Disorder: Recognition and Management(CG78).
  4. World Health Organization(2022). WHO Guidelines on Mental Health at Work.

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井上 陽平

井上陽平(公認心理師・臨床心理学修士)。
トラウマ・解離・PTSD・愛着障害を専門とする心理カウンセラー。
児童養護施設、情緒障害児施設、精神科クリニックでの臨床経験を積み、
心身反応(フリーズ・過覚醒・離人感)への介入や、
複雑性トラウマ、対人関係、境界線の問題に重点的に取り組む。

研究テーマは「複雑性トラウマの身体反応」「解離と自己構造」「愛着スタイル」「虐待と対人関係のパターン」。現在は「こころのえ相談室」にてトラウマ専門のカウンセリングを提供。書籍の企画・執筆に関するご依頼も承っております。

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