家に帰るとスイッチが切れる理由:体が怠い病気とトラウマの関連性

心の病気

トラウマを抱えた人々の中には、仕事や活動を通じて気晴らしをすることで心地良さを感じる人々がいます。彼らは仕事や身体活動に没頭することで、心の中にある雑念や苦しみから一時的に解放されるからです。その結果、過度に仕事を頑張りすぎてしまう場合もあります。

しかし、一日の終わりに家に帰ると、彼らはスイッチが切れたかのようにぐったりして、何もやる気がおきないモードに切り替わることがあります。

トラウマと発達障害を持つ人々のエネルギーの振り子

トラウマや発達障害を持つ人々の中には、仕事や職務など特定の役割に強く自己のアイデンティティを結びつけている人々がいます。これらの人々は、自分の価値観や目標を仕事に重ね、その領域で力を尽くすことを選びます。言い換えれば、彼らは仕事を通じて自己認識を追求し、任務に対して全力投球の姿勢を見せることが一般的です。

しかし、仕事の困難さやプレッシャーを受け続けると、大きなエネルギーと労力を必要とします。その結果、職場から離れて家庭に帰ると、彼らはしばしば強烈な倦怠感や脱力感に見舞われるかもしれません。この深い疲労感から、日常生活の基本的なタスクさえも困難に感じさせるかもしれません。

このような現象は、彼らが「過覚醒」と「低覚醒」の二つの状態を行き来している可能性があります。過覚醒状態は仕事中に見られ、彼らは自分の全エネルギーを使って仕事に集中します。一方、家庭に帰ると彼らは低覚醒の解離状態に移行し、エネルギーが枯渇し、何もする気力がなくなるかもしれません。

ストレスとトラウマへの身体の反応とその管理

ストレスやトラウマは、身体的な反応を誘発する可能性があり、これが「過覚醒」と「低覚醒」の状態につながります。具体的には、ストレスやトラウマが頻繁に体験されると、自己防衛の一部として、体と心は「戦闘または逃走」モードに移行し、これが過覚醒の状態を生み出します。

一方、過度のストレスが持続すると、体はストレスからの逃避として低覚醒状態、つまり解離状態に移行することがあります。これは一種の自己防衛メカニズムであり、身体的および心理的ストレスからの一時的な休息を提供します。

これを避けるためには、自分自身の健康とウェルビーイングを第一に考えることが重要です。適切な休息、栄養、運動、睡眠、そしてストレスマネジメントの技術を利用することが推奨されます。また、自分の限界を認識し、適度な休息を取ることも重要です。 必要な場合には、専門家の助けを求めることを遠慮しないでください。

トラウマのエネルギーの枯渇と虚無感のサイクル

トラウマを持つ人々は、好奇心が高まったり、明確な目的や役割(例えば仕事、子育て、学業、社会活動など)が存在するときには、思考や行動が活性化します。このような状況では、生活に対する意欲やエネルギーが見られ、彼らは日々の挑戦に積極的に立ち向かうことができます。

しかし、逆に長時間の労働や混雑した電車に乗るといった疲労感が蓄積すると、彼らはエネルギーを枯渇させ、何もする気力が残らなくなることがあります。家に帰っても、体力が完全になくなり、行動するためのエネルギーが不足しているため、何もすることができず、自分の生活に取り組む能力が著しく低下します。

さらに、自分自身が現実から切り離され、生活の目的や役割を失ってしまうと、彼らは慢性的な虚無感に陥り、精神的な安定感を失うことがあります。この慢性的な虚無感は、時には自分自身の価値観や存在の基軸を見失い、エネルギーが完全に尽きたかのような状態に陥ることがあります。つまり、自分が誰であるか、何を達成しようとしているのかといった自己の基本的な認識が曖昧になります。結果として、彼らは半分眠ったような状態になり、最終的には日常生活を維持する能力を損ないます。

複雑なトラウマを持つ人々は、自分自身の精神的なバランスを維持するための一連の挑戦に直面しています。彼らは生活の目的や役割を通じてエネルギーを得る一方で、ストレスが高まったり、それらの目的や役割が失われたりすると、エネルギーが枯渇し、一種の無感情な状態に陥る可能性があります。このような状況は、日々の生活や仕事に集中し、有意義な人間関係を維持し、自己ケアを行うことを困難にする可能性があります。

したがって、複雑なトラウマを持つ人々の挑戦は、ストレスの蓄積、エネルギーの枯渇、虚無感の増大といった連続的なサイクルに直面することです。彼らが抱えるトラウマは彼らのエネルギーレベル、意識レベル、生活の目的感を影響させ、日常生活の質と能力に大きな影響を及ぼす可能性があります。

エネルギーの回復と自己成長の道

トラウマを抱える人々が、エネルギーの枯渇と虚無感から抜け出すためには、意識的なエネルギー回復のプロセスが必要です。この回復は、単なる身体的な休息にとどまらず、精神的なリフレッシュや感情の解放も含まれます。心と体をリセットし、再び活力を取り戻すためには、自己認識を深め、自分の限界を尊重することが大切です。

まず、日々のルーティンに小さなリセットの時間を組み込むことが効果的です。これは深呼吸、短い瞑想、あるいは心地よい散歩といった方法で行えます。これらのシンプルな行為によって、エネルギーのバランスが整えられ、心と体のつながりが回復します。

さらに、トラウマを持つ人々は、自分の内面と向き合い、感情の整理を行う時間を確保することが必要です。感情の蓋をしてしまうことで、ストレスや不安がさらに蓄積され、エネルギーの回復を妨げることがあります。自分の感情を言葉にして表現する、またはアートや音楽を通じて表現することで、内面の浄化が進みます。

自己認識と人間関係の再構築

トラウマを乗り越える過程では、自己認識の強化が重要な要素となります。エネルギーの回復と共に、自分の欲求や価値観、限界を明確にし、自分自身をより深く理解することができるようになります。この自己理解を深めることにより、自己肯定感が高まり、他者との健全な関係を築くための基盤が整います。

また、自己認識が進むにつれて、人間関係に対するアプローチも変わっていきます。トラウマを抱える人々は、エネルギーを節約するために、人間関係を整理することが必要です。エネルギーを奪う関係や、不健全な相互依存の関係を見直し、自分自身にとって価値ある人間関係を育てていくことが、エネルギーのバランスを保つ鍵となります。

トラウマを抱える人々にとっての未来の展望

トラウマからの回復は、直線的な道のりではありませんが、持続的な努力によって自分の内なる力を取り戻し、自己成長を遂げることができます。この成長の過程は、エネルギーの調整とバランスを取りながら、自分自身の限界を理解し、他者との関係性を改善するプロセスです。

未来への展望として、トラウマを乗り越えた人々は、人生における挑戦を前向きに捉え、エネルギーを効率的に使いながら新たな目標に向かって進むことができるでしょう。彼らは自己成長を遂げただけでなく、その過程で他者に対しても新しい理解と共感を持つようになります。

このようにして、トラウマを抱える人々は、自らのエネルギーを取り戻し、生活の質を高め、未来に向かって進んでいく力を得るのです。そして彼らの旅は、単なる回復の道ではなく、より豊かで充実した人生への一歩となるのです。

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トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-07-04
論考 井上陽平

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