死にたいほどの苦痛を感じている人の病気|希死念慮・自殺企図

苦難・絶望

死にたいほどの苦痛とは、非常に強い身体や精神上の痛みを感じていて、死を選ぶことを考えるほどのような状態を指します。これほどの苦痛は、医師の治療や薬物療法などが効果的でない場合もあります。このような状況に陥った場合は、適切な専門家(精神科医、カウンセラーなど)に相談することを強く推奨します。

死にたいほどの苦痛を感じている人の特徴

死にたいほどの苦痛を感じている人の特徴は次のようなものがあります。

  • 強い身体的または精神的な痛みを抱えていること。
  • 大切な人を喪失し、どれだけ努力しても、決してもう一度振り返ってくれないという苦痛。
  • 日常生活に対する興味喪失や、以前楽しんでいたことが楽しめなくなって、無機質になっていく。
  • 仕事や家庭などの責任を果たせないと感じること。
  • 自分自身や他人に対する攻撃的な言動や言葉。
  • 喫煙やアルコール、薬物の不適切な使用。
  • 長期的トラウマによる不安や悲しみ、抑うつ、解離、パニック発作などの精神的な問題。

これらの特徴はすべての人には当てはまらないこともありますが、これらの症状が長期間続いている場合は、専門家に相談することが重要です。

困難な状況にいて冷静な考えができない

死にたい人の多くは、非常に困難な状況にいて、問題に対して冷静な考えができない状況にあります。彼らは深刻な自己否定的な考えや抑うつ、人生のストレッサー、過去のトラウマ、解離などの要因の複雑な影響を受けている可能性があります。死にたい人は、生活に対する希望や見通しがなく、苦しい状況から逃れたいという強い願望を持っていることがあります。

深刻な感情状態

死にたい人は通常、深刻な気分の落ち込み、絶望、無力感、孤独感、焦燥感、不安、怒り、自己叱責などの感情を抱いていることがあります。死にたい人は、通常の喜びや希望などのポジティブな感情に対する敏感性が低くなっていることがあります。これらの感情は深刻なストレス、不適切な対処法、トラウマ、解離、疾患などの原因によって引き起こされます。

消極的な考え方

死にたい人は、普段から消極的な思考パターン(例えば、自分が失敗したと感じること、自分自身や他の人々に対する否定的な考え方)を持っていることがあります。また、死にたい人は、自分が他人にとって負担であること、他人によって理解されないこと、他人から拒絶されることなどを確信していることがあります。さらに、自分の悲しみや苦しみが永遠に続くという考え、死が解決する唯一の方法として見なされることもあります。これらの要因から、死にたい人は、消極的な考え方に囚われがちであり、自殺に向かう動機を引き起こすことがあります。

妄想観念

妄想は、彼らの気分を悪化させ、彼らを現実との間から遠ざけます。妄想は、彼らが自分自身や他人に対して不安や恐怖を感じることを引き起こし、正確な判断力を損なうことがあります。さらに、妄想は、彼らが他人から理解されないと感じることを強調することもあり、彼らと他人の関係を悪化させることがあります。これらの妄想観念は、抑うつ、パニック障害、解離、統合失調症などの精神疾患、トラウマ、薬物依存などの原因によって引き起こされます。

世界を救うために自らを殺そうとする行為

死にたい人は、自分自身や周囲に対して重大な負担を感じ、自分が生きることで罪を犯すから、この世界を「救う」ために自殺を選択することがあります。彼らは、自分の内から沸き起こる攻撃性、敵意な感情、不穏な行動に苦しんでおり、自殺は、絶望感、罪悪感、無価値感、そして自分の内的経験から逃れて、楽になりたいという願望の一因となる可能性があります。しかし、これは、現実には問題を解決することはできません。自殺は、家族や友人に深いトラウマを残すこともあります。正確な判断力を損なっているため、死にたい人は、自分自身や他人にとって最善の選択肢ではないことに気付いていない場合があります。

内的な迫害者の自己懲罰

死にたい人にとって、内的な迫害者 (自己内に存在する内面的な迫害者) の存在は重要な影響を及ぼすことがあります。内的な迫害者とは、醜い考えを持ち、強烈な怒りを抱き、自分自身に対して厳格な要求や批判をしている内面的な声を指します。また、彼らは世界や人間を恨み、長期的な攻撃的・貶め的な行動や言動によって、自分や自分の親しい人を巻き込んで、周りを不幸にします。このような人格構造を持つ人は、恐ろしい内的な迫害者に対抗することが困難であるために絶望しています。また、自尊心や自己像に損傷をもたらし、精神的な苦痛や不安などの感情的な困難を引き起こすことがあり、自殺の意志を生み出す原因になることがあります。自殺は、内的な迫害者への服従であり解放であると感じます。

死生観

一般的に、自殺する人は死や生命に対する悲観的な見方を持っていることがあります。彼らは生命の意味や働きを失ったと感じ、自分自身や他人に対する期待感や責任感から解放されることを望むことがあります。この感情は、自殺の意志を引き起こす原因となります。一方で、死の近さを感じた経験がある人には、独特の安堵感や解放感が見受けられることがあります。多くの人が恐れる死が、彼らにとってはむしろ穏やかな夢のような場所となります。その瞬間、感情や痛み、苦しみが一切消え去り、何もかもが静かになる。この経験をした人々は、死が最終的な救済であると感じることがあります。さらに、目に見えないものに対する憧れを持つ人々は、あの世において魂の家族と再会し、楽しいひとときを過ごすことがあります。通常の人々とは異なる死生観を持っているため、彼らにとって死が救いとなることもあるのです。

大切な人を喪失するとき

死にたいと感じる人にとって、大切な人(両親、恋人、配偶者、子どもなど)を失いかける状況で、どれだけ努力しても振り向いてもらえないという痛みが深刻な影響を与えることが多いです。大切な人から拒絶や見捨てられる経験は、孤独感や絶望感を引き起こします。加えて、大切な人を失い、以前の生活に戻れなくなると、感情が消え去り、存在意義が失われ、無機質な状態に陥りがちです。このような状況で自分と向き合っても、虚しさが募るばかりで、精神的苦痛や不安などの感情的な困難が生じ、自殺願望の原因となることがあります。

大切な人に苦痛を与えたい

死にたいと感じる人にとって、大切な人(自殺が両親や恋人、配偶者、子どもなど)に大きな苦痛をもたらすことを恐れていますが、無機質な感情のない自分は、家族などの大切な人に苦痛を与えることを望んでいます。自殺は、絶望の淵に追いやられた人が、大切な人への復讐のために起こすことがあります。 また、情緒が不安定な人が、大切な人への愛情を空想している限りは問題ありませんが、その空想が破られると、どちらの自分かわからなくなり、自殺に至ることがあります。

耐えがたい身体、感情を排除する

複雑なトラウマを持ち、身体的、感情的な苦痛から逃れられない状況で過去の辛い記憶に苦しみ、体調不良やフラッシュバックによって動けなくなると、人は限界を感じ、絶望します。死にたいと感じる人は、自殺行為によって攻撃される身体を、耐えがたい痛みや恐怖、怒り、不満、憎しみ、暴力的な欲求、無力感、不快さ、気持ち悪さ、恥じらい、汚れ、孤独、絶望と同一視しています。自殺は、これらの耐えがたい感情を排除し、完璧で理想的なものと結びつくことを目指す自己破壊的な行為と言えます。

解離症状

自殺と解離症状は密接な関係があります。解離症状は、人との関係や社会的な繋がりを失ったり、現実から遠ざかったり、感情的、身体的な感覚を遮断させたりすることを指します。慢性的な自殺を望む人の多くは、高度な解離によって人格構造に分裂が生じていると言われています。彼らは、日常生活を正常に見せかけて過ごす姿がありますが、暴言や暴力に対して恐怖を感じて凍りつき、頭が真っ白になり、行動や感情をコントロールできずに他人に影響を与えてしまいます。トラウマや解離のせいで、他の人たちと同じようなことができないため、常に困難な状況に置かれやすく、解離感や孤独感、社会的孤立感を強く感じています。

うつ病

自殺とうつは密接な関係があります。うつ病は自殺の主要なリスク要因の1つであり、自殺を引き起こす可能性が高い疾患の1つです。自殺の意志を持つ人の多くがうつ病を患っていることが知られています。うつ病の人は、頭の中では思考が絶え間なく巡り、いくら考えても自分が納得する答えが見つからず、悩みや混乱が増すことがあります。さらに、いくつかの解決策が思いついても、その先のことを考えると悲劇的な結末になり、そんな自分自身を責め、自己否定が強くなっています。

過覚醒

自殺リスクは、過覚醒(例えば、不眠症やストレス)によって高まることがあります。過覚醒は、精神的な不安や抑うつ、イライラなどの負の感情を引き起こすことがあります。さらに、過覚醒のときは、気持ちが落ち着かず、物事を客観的に見れなくなり、リスクを考えずに無計画な行動を起こすので、自分自身や他の人々への負担を引き起こすことがあり、社会的な孤立感や自己否定的な考え方を引き起こすことがあります。これらは、自殺リスクを高める要因となります。

低覚醒

自殺リスクは、低覚醒(例えば、抑うつ感や不安症)によって高まることがあります。低覚醒は、不安や抑うつ、意欲の欠如などの負の感情を引き起こすことがあります。さらに、低覚醒は、仕事や学業などの日常生活に対する興味喪失や社会的な孤立感を引き起こすことがあります。これらは、自殺リスクを高める要因となります。

自殺を決断するとき

人生の中で自殺を決意した人は、その準備を始めます。苦悩と不安が襲いかかる時、周囲には自分自身がいつか自殺するかもしれないという悲しいサインを示します。弱弱しい声で救いの手を求め、支えを求めます。ところが、大切な人との関係が失われ、失望に沈んだとき、自殺の決心が固まります。身辺の整理を冷静に進め、周囲からの全てのサインを隠します。死の時が来ると、心の中のすべての色が消え、死ぬことが怖いという感情がなくなります。妙に落ち着き、すべてが無機質になっていき、生から脱却するという自己陶酔に浸ります。

自殺の危険度が高い

死に至ることは、苦痛からの解放となります。死への恐怖の抑制が外れ、頭の中は死で一色に染まり、死ぬことしか考えられなくなります。無機質でありながら、過剰な覚醒状態に陥り、早く死んでしまいたいと求め始めます。自殺を考える時、人生に対する絶望があり、周りが見えず、何も聞こえず、何も考えられず、極度の混乱が襲います。 救いが見つからず、何もかもが苦しく感じられる時、心は楽に死にたい、消えたいという願いに支配されます。意識が狭窄し、記憶が曖昧になる中、その場にいられず、無意識に行動して、危険な状態に陥ります。

自殺を止める保護的な声

現世で達成すべき目的や、未練を抱えたまま自らの命を絶ってしまうと、死後の世界は苦悩に満ちたものとなるでしょう。私たちがこの世で成し遂げたいことを果たし、幸せを追求し、エネルギー的な軽やかさを手に入れることが、より良い選択になり、死を自然な形で迎えることで、死後の世界は平和に満ちたものになります。

自殺の念が頭をよぎる時、内なる声(良心)は私たちに、人生の価値を見出し、希望を抱く機会を与えてくれます。その声は、生きる喜びや、この世でなし遂げたい目標、そして愛する人たちとの絆を大切にすることを思い出させてくれるかもしれません。 そして、自殺の念を振り払い、生きる意義を見出すことで、私たちはより充実した人生を歩むことができます。

死にたいと言う人へのサポートの仕方

死にたいと言われている人へのサポートには以下のようなアプローチが考えられます。

  1. その人の感情や思いに真摯に耳を傾けましょう。否定的な意見や批判は避けましょう。
  2. その人の気持ちや立場に対する理解を示しましょう。
  3. その人が聞いて理解されていると感じる安全で協力的な環境を作るようにしましょう。
  4. その人に対して絶対的な信頼を置きましょう。これは、彼らが自分の感情や考えを表現できる安全な場所を作ることに役立ちます。
  5. その人を友達として支えましょう。彼らがひとりぼっちでないことを実感させましょう。
  6. 心理カウンセリングや支援グループなど、彼らが適切な支援を受けられる場所やリソースを教えましょう。

これらのアプローチを実践することで、死にたいという人に対して有効なサポートを提供することができます。また、自殺の危険性が高いと判断された場合は、適切な専門家の支援を介入することが大切です。専門家の助けを求め、全国自殺予防ライフラインなどのリソースを提供するように彼らを励まします。自殺の脅迫や自殺未遂を真剣に受け止め、すぐに助けを求めることも重要です。

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トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-1-31
論考 井上陽平

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