すぐ泣いてしまう人の心理ストレスの原因・HSP・対処法

苦難・絶望

「すぐ泣いてしまう人」とは、少し言われただけで泣く、傷つく人のことです。このような特徴を持つ人は、子どもの頃からトラウマの犠牲者に多く、足元がグラグラする不安定な人生を歩んでいることが多いです。彼らは、感情的に敏感で、些細なことでも涙が出てしまうことがあります。このページでは、少し言われただけですぐ泣いてしまう人たちのことについて詳しく説明しています。

すぐ泣いてしまう人の病気

すぐ泣いてしまう人の病気として、精神障害によるものが考えられます。例えば、うつ病やパニック障害、統合失調症などの精神障害は、すぐに泣いてしまう感情を引き起こす可能性があります。また、身体的な病気、過剰なストレスや不安などの生活環境、PTSDなどの精神疾患もすぐに泣きやすい症状を引き起こす可能性があります。

泣くことの神経学的な意味

泣いてしまうときの涙には、感情が高まっているときや過度に緊張しているときに凍りついて、その凍りつきの状態が緩んでくるときに、涙が出てくるという特徴があります。この「凍りつく」とは、神経学的には交感神経と副交感神経が高度に同時に働いている状態を指します。

人の身体が凍りついているときは、過剰なストレスに曝され、強い感情を抱く防衛的な状態になっています。例えば、命の危険を感じた場合、戦うことも逃げることもできず、その場で固まってフリーズすることが凍りつく状態です。簡単に言えば、恐怖や不快なことで体が固まってしまう状態を指します。

凍りついている人に対しては、体を休ませたりリラックスさせたりするブレーキの役割を担うのが副交感神経の働きです。泣いて涙を流すことも、副交感神経の働きによって起こります。泣くことで、身体が緩まり、心のバランスが取り戻され、ストレスが緩和されるという効果があります。

泣くことは、感情的に悲しみやストレスの限界に達して耐え難いために行われる生物学的なメカニズムです。しかし、身体的には、泣くことで副交感神経が優位になり、リラックスモードに変わり、ストレス解消や生き残るために意味があります。

泣くことは、ストレスや緊張、不安、恐怖などの感情を解消するために利用されます。泣いている間には、ストレスホルモンが低下し、エンドルフィンが上昇することがあります。これらの生化学的な変化は、リラックス感を引き起こします。また、泣くことは、自分自身の感情や要求を認識することを助けることがあります。泣いている間に、自分自身の情緒や考えを見つめ直すことができます。

さらに、泣くことは、他者との親密性を高めることができます。泣いている間に、他者にサポートを求めたり、他者との関係を強めることができます。このように、泣くことは人間の心理的・生理的側面において多くのメリットがあるとされます。

泣いてしまう人のパターン

「すぐ泣いてしまう人」のパターンは、複雑であり、様々な要因によって引き起こされることがあります。ストレスや不安、悲しみや不満、自己評価の低さなどが、すぐに泣きたくなる感情を引き起こす可能性があります。また、環境や社会的な圧力も影響を与えることがあります。

一般的に、すぐ泣いてしまう人は、感受性が高いため、神経が繊細に反応して、体が凍りつきやすく、そこから自分自身を立て直して回復することができる人が多いです。しかし、時にはすぐ泣いてしまうことが、自分自身や周囲の人々にとって不利に働くことがあります。

一つ目は、人間関係でストレスをためすぎて泣いてしまうパターンがあります。例えば、真面目すぎて頑張りすぎたり、一人で何でも抱え込んでしまう人は、誰かに助けを求めたり、自分の気持ちを表に出すことが苦手だったりします。そのため、辛くなっても平気なフリをして、人前では気丈に振る舞ってしまうので、他人からはまだ余裕があるように誤解されやすく、どんどん自分の負担を増やすことになります。そして、ストレスがたまりすぎてキャパオーバーとなり、パンクしてしまい、泣いてしまうことがあります。

二つ目のパターンは、困難な状況から一瞬解放されて泣いてしまうパターンです。例えば、困難な状況に陥っている人が、落ち着ける時間になると、気持ちがホッとすると同時に、思っていた以上に疲れている自分に気づいて涙が溢れることがあります。また、困難な課題に取り組んでいるときに、ホッとして緊張が緩んだ瞬間に涙が出ることもあります。このような場合、涙が流れ出ること自体は健康的な反応であり、心身の疲れを解消することができます。

三つ目のパターンは、危機的な状況に追いつめられて泣いてしまうパターンです。例えば、相手がキレると恐怖体験になり、相手に対する恐怖心から泣いてしまうことがあります。さらに、戦慄の恐怖に体が凍りついて、怖いけど逃げられないので、涙が出てきます。また、親から怒られた時に怖くて泣いてしまうこともあります。このような状況下では、自分自身を守るために涙が出ることがありますが、不安や恐怖といった負の感情が支配的になり、心身に悪影響を与える可能性があります。

四つ目のパターンは、感受性が豊かで、すぐに感情移入しやすく泣いてしまうパターンです。例えば、大切な人や身近な人との別れの時に悲しくなり涙が出てきます。別れの対象となった人と関わった時間を振り返った時に、いろんな感情が込み上げてきて、気持ちを抑えきれずに涙を流すことがあります。また、人の優しさに触れたときに、嬉しさで感極まり涙が出てきます。さらに、人が人に優しくする姿を見たり、優しいエピソードを知ったときに、感動して涙することがあります。このような状況下では、涙は良い意味での感情の表出であり、心身に良い影響を与えることがあります。人の優しさに触れることで、好転的な感情が生まれ、それが安心感に繋がり、心の緊張が解れて、心の老廃物を排出し浄化するように、涙が出やすくなると言われています。

泣いてしまう人の心の中の声

すぐ泣いてしまう人は、困難な役割を終えて、落ち着く時間になると、思った以上に疲れている自分に気づき、自分と向き合うことがあります。このような場合、自分を客観視したり、自分に寄り添ったりすることがあります。例えば、自分を客観視する場合、身体的な部分を心配して、「何をやっているんだ?」「何でそんなに頑張るの?」「限界を超えているよ、もう無理だよ、休もう」と自分自身に問いかけます。一方、自分に寄り添おうとする場合、精神的な部分を心配して、「誰も理解してくれない、助けてくれない」「他人に自分の気持ちを理解されたくない」「自分の気持ちを見透かされたくない」といった感情が出てくることがあります。

すぐ泣いてしまう人の特徴

すぐ泣いてしまう人は、攻撃的なエネルギーを表現することが難しく、自分を責めることが多いです。このような人は、過酷な現実に直面しても、自分自身を保つために、脱身体化した自己慰撫的な空想世界に耽ることがあります。これにより、自分の体が疲れていることに気づかずに過ごすこともあります。現実の問題に直面すると、困難な状況に陥ってしまい、自分が抱える負荷やストレスが増大し、心身ともに疲弊してしまいます。その結果、疲れ切った状態で泣いてしまうことがあります。

また、すぐ泣いてしまう人は、自分自身に対して厳しい傾向があります。自分を責めたり、自分自身にストレスを与えることが多く、心身のバランスを崩す原因となっています。それに対し、他人とのコミュニケーションにおいても、自分の感情や意見をうまく表現できずに、ストレスを感じることがあります。

すぐ泣いてしまう人は、毎日がつらく、悩みが絶えない生活を送っています。そのため、頭の中で考え事が絶えず、思い悩むことが多く、疲れやストレスがたまります。悩みが一つある場合でも、その悩みを解決するために考え事をしますが、いくら考えても自分が納得する答えに辿り着くことができず、ぐるぐると同じことを考え続けます。さらに、いくつかの解決策を考えついても、その先のことを考えると不安になり、結局何も行動を起こせずに諦めてしまいます。彼らは、自分自身の選択に自信が持てずにいるため、有効な手段があってもその答えを選ぶことができず、自分が望む未来に進む足がかりを失ってしまいます。このような状況で、彼らは憂鬱に囚われてしまって、一人で涙に暮れて過ごし、泣くことで自分を保ちます。

HSPは涙もろい

繊細な人ほど、他者の反応を気にしすぎてしまいます。他人に自分の弱い姿を見せてしまうと、嫌われてしまうかもと深読みして、誰にも助けを求めたり弱音を吐いたりできず、ストレスが蓄積されます。また、その度に、感情が大きく乱されて、心身共に疲弊し、窮地に追いやられて、身動きが取れなくなり泣いてしまいます。他者からは、ただすぐに泣いてしまう人に見えるかもしれませんが、実際には、その人の心の中では複雑な感情が渦巻き、深刻な心境になるまで追い詰められてしまい、泣いてしまう人もいます。

繊細な人は、情報処理が追いつかずストレスになることが多く、心の容量が限界を超えると心がパンクしてしまい、感情が大きく揺さぶられます。その状態で心身が疲れ切っていると、自分が限界を超えたことに気づきます。そして、その姿はまるで使い物にならないボロ雑巾のように見え、哀れな気持ちになり涙を流すことがあります。繊細な人は、自分の感受性が強く、情報を処理する能力が高いため、他の人よりも深く感じることがあります。しかし、その分ストレスもたまりやすく、心身共に疲れ切った状態に陥りやすいといえます。

すぐに泣いてしまう人は、人一倍敏感なHSP(High Sensitive Person)の特性を持っているとも言えます。HSPの人は、自分より人の気持ちに敏感すぎて、相手のご機嫌を取ろうとします。また、状況を把握しようとして、先回りの行動が多く、自分の中でやらなければならないことがたくさんあると無意識に思い込んでしまい、目標を立てます。目的に達するためには、相当無理をしなければいけず、達成できたとしても疲労感を感じ、涙が出てきます。また、一生懸命頑張っているのに、不器用でできない自分に泣いたり、自己批判して、なぜ上手くいかないのかと思って泣くこともあります。

泣いてしまう人の親子関係

すぐ泣いてしまう人は、自分が泣いている理由が分からず、何のために頑張っているのかも分からない場合があります。自分のために努力していると自覚していても、その努力が本当に自分のためなのかどうか自信を持てないことがあります。彼らは子どもの頃から機能不全家庭で育ち、親のご機嫌を取るために、良い子を演じて頑張っていたことがあります。しかし、親の期待に応えるために行っていることが本当に自分が望むことであるかどうかは分からなくなります。親から理不尽な仕打ちを受けながらも、一生懸命やっている自分は、本当の自分ではないような気持ちになります。しかし、親の気持ちに応えるしかないので、自分のために努力していると自分に言い聞かせなければならないことがあります。

このような過去の経験が自分自身に染み付いてしまっているため、大人になってからも自分自身の気持ちを抑え込んでしまったり、無理をして頑張ってしまったりすることがあります。そして、複雑な葛藤を抱えたまま、どうしようもない状況に陥ったときに、途方に暮れて涙が出てくることがあります。

泣くことの効果・対処法

涙を流している(泣いている)時は、副交感神経が働き、リラックス効果があります。涙を流すことにより、ガチガチに凍りついた心の緊張が、ゆっくり解かれる効果が期待できます。また、涙が頬の皮膚表面を流れる時には、涙の生温かさを直に感じることができ、泣いていることを自覚することができます。泣きたくても泣けなかった自分が、涙を流して泣けていることを知り、ホッと安心できます。心が少し軽くなり、新たに考えたり、受け止めることもしやすくなり、自分を立て直して回復に繋がりやすくなります。

泣くことは、恥ずかしい、情けないと思われることがあり、根性無しや弱虫と決めつけられがちですが、決して悪いことばかりではありません。実際、泣くことは自分の感情をコントロールするためには不可欠なことです。泣くことで、頑張りすぎて止まれなくなった心を一旦休ませることができたり、自分の気持ちに気づくきっかけとなり、心の回復に役立つこともあります。普段から人に気を使いすぎたり、自分に厳しくて頑張りすぎた結果、心身ともに疲れきった時には、防衛的なサインとして涙が出ることもあるかもしれません。

涙を流すことがリラックス効果をもたらす理由として、涙を流すことがストレスホルモンであるコルチゾールやアドレナリンを排出し、代わりにオキシトシンが分泌されるからです。オキシトシンは、ストレスや不安を軽減し、幸福感や信頼感をもたらすホルモンであり、副交感神経を刺激する働きがあります。また、涙にはストレス物質を含んでいることが研究によって示されており、涙を流すことによって、身体に蓄積されたストレスや感情的な負荷を軽減することができるとされています。

涙を流すことで自分自身を認め、自分自身の気持ちや状態を受け入れることができるという意味でも、涙を流すことは重要です。涙は、自分自身を見つめ直すためのチャンスでもあり、泣きながら自分自身と向き合うことで、自己認識や自己理解を深めることができます。また、周囲の人々とのつながりを強めることもできます。涙は、共感や理解、支援を受けるきっかけとなり、人々の心を繋げる役割も果たしています。すぐ泣いてしまう感情が頻繁に出現する場合は、医師や心理カウンセラーに相談することで原因を特定し、適切な治療を受けることが重要です。

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トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-01-13
論考 井上陽平

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