人と関わりたくない心の病気|関わるとしんどくなる

対人関係

人と関わりたくない人は、その背後に複雑な心理が存在することが多く、そのパターンは様々ですが、一般的には心身の状態が悪く、人と接することで極度に疲労を感じることが多いとされています。人と楽しい時間を過ごすことがストレスになってしまい、自分自身のことに精一杯で、会話に気を遣うよりも一人で家で過ごすことが楽に感じるのです。また、人と関わりたくない人は、自信に欠けていることが多く、自分のことを他人に知られたくないと感じています。自分にはダメなところがあることに自覚しており、自分の存在が恥ずかしいと感じている場合があります。

人と関わりたくない病気

人と関わりたくない心理状態としては、社交不安障害、孤独症、抑うつ症状、回避性パーソナリティ障害などが挙げられます。社交不安障害は、社会的な場面や人とのコミュニケーションにおいて、不安や恐怖を感じ、避けたがる傾向があることを特徴としています。孤独症は、他人との関係を持つことに抵抗感や距離感を持ち、社交的な機会を避けることが特徴です。抑うつ症状は、長期的に悲しみや落ち込み、人間関係に対して興味喪失や疎遠感を感じることが特徴です。回避性パーソナリティ障害は、他者の拒絶や批判に対する感受性が鋭く、極度に内向的な性格のため、社会的な状況や他人と接することを回避し、撤退する長期的なパターンが特徴です。

対人恐怖と対人疲労

人と関わりたくない人には、人が怖くてしょうがない場合と、人は嫌いではないが、相手のことを考えすぎてしまい疲れてしまう場合があります。どちらの場合も、これまでの人間関係の中で、人に裏切られたり傷つけられたり、意図せずに人を傷つけてしまったなどの出来事が関係していることがあります。

人が怖くてしょうがない場合は、新しい人間関係を築こうとする気持ちになれず、現状から抜け出せない状況に陥ります。これは、過去に何らかの出来事が原因で、人に対して不信感や不安を抱くようになった結果と考えられます。このような場合、人との距離を保つことが安心となり、新しい関係性を築くことに抵抗を感じることがあります。

一方、人は嫌いではないが、相手のことを考え過ぎてしまって疲れてしまう場合は、本心は人と円滑に交流したいと思っていたり、孤立したくない思いを持っていることが多いです。しかし、相手の反応や自分自身の表現がうまくいかないことにより、疲れを感じてしまうことがあります。この場合、自己表現やコミュニケーションスキルを磨くことで、より円滑な人間関係を築くことができるようになるかもしれません。

複雑なトラウマの影響から

人と関わりたくない人は、どこかで外傷体験を受けており、足元がグラグラする不安定な人生を過ごしている人が多いです。また、親から条件付きの愛情しかもらえず、親に操作されながら育ってきたり、大人のふりをしながら育ってきたことがあります。そのため、子どもの頃から、他人の顔色を伺ったり、いろんなことを先読みして他人に合わせることで、脅威となる対象から自分を守って生きてきたという背景があります。この防衛反応が無意識のうちに働いて、人と関わるときに影響を及ぼしてしまう可能性があります。

複数のトラウマを抱えている人は、強い刺激にさらされると、身体が凍りついたり崩れ落ちたりするため、現実の様々な困難に立ち向かうことが困難になることがあります。周りの人がうまくやっているのに、自分だけ上手く対処できないと感じて、悲しみや失望を感じることもあります。また、崩れ落ちるトラウマの影響を受けている人は、身体が脆弱になっているため、自分を守るために頭の中で過剰な情報処理をして、状況把握に努めることがあります。

複雑なトラウマを抱えている人にとって、人と関わることは一つのミッションになります。このミッションをクリアするために、無意識のうちに多くのアンテナを作動させ、必要な情報収集や分析を行って、その時の状況に合った最適な対応方法を模索してしまいます。そのため、頭の中で情報が溢れすぎてオーバーヒート状態になり、疲弊してしまうことがあります。また、人と関わる際には、警戒心が過剰になり、頭のセンサーが働いて、対象の人物だけでなく、取り巻く環境に対しても、頭の中で情報処理を続けてしまうことがあります。

対人関係で起きていること

人と関わりたくない人は、人から傷つけられるという恐怖心が強く、相手に危害を加えられないように相手の期待に応えようとしてしまうことがあります。特に繊細な人ほど、周囲の状況や人の表情、仕草、言葉などに敏感に反応し、人間関係を良好に保とうと努力しますが、その過程で自己犠牲になってしまったり、相手の反応に過剰に気を遣い、心身の疲労を招いてしまうことがあります。

相手の望む自分に合わせるために、頭の中でいろいろなことを考え、模索しますが、いつもうまくいかない結末になってしまい、身動きが取れなくなって憂鬱に陥ってしまうことがあります。人との関わりが終わると、相手の期待に応えようとした分だけ疲れがたまり、しんどくなることがあります。

人と関わりたくない人は、人と関わる前に相手が何を求めているかを先回りして考え、相手の反応を予測しようとすることがあります。しかし、このような彼らは人の気持ちに敏感すぎて、相手のご機嫌を取ろうとして考えを張り巡らすことが多く、そのために人との関わりがしんどく感じられて、一線を引きたくなることがあります。そして、人と会いたくない、1人になりたいという気持ちが高まることがあります。頭の中にゴチャゴチャした情報があると、それを消去して何も考えずに過ごしたいと思い、人のいないところに行きたくなることがあります。

苦手な人との関係性

人と関わりたくない人は、好きな人や信頼できる人、仲の良い人との関係には問題がないが、苦手な人との関係に悩んでいます。特に苦手と感じる人は、距離を置こうとしているのに、それに気づかずにガツガツと詰め寄ってくる人や、すぐに怒鳴ったりする人です。苦手な人と過ごす時間は、警戒心が過剰になり、過緊張状態で、頭の中の思考が混乱してしまいます。心に余裕がなくなり、些細なことで感情があふれ出たり、頭の中の情報処理が過剰になって疲れてしまうことがあります。

苦手な人から逃れられない状況が続くと、冷や汗をかいたり、動悸が高まったり、体が凍りついたり、崩れ落ちたりして、大量のエネルギーを消耗してしまいます。人から注目されることが苦手な人は、他人が自分にどう感じて接しているのかを気にしすぎて不安になり、悪い方向に考えてしまい、疲れてしまうこともあります。また、人から怒られることが苦手な人は、誰かの怒鳴り声に反応して、とても怖くなり、その人と関わることができなくなってしまいます。周りの人たちに比べて、上手に対応できない自分に腹を立て、自分を責めることも多いです。

苦手な人との関わり方は

人と関わりたくない人が、苦手な人と接すると、自己意識が過剰になり、抵抗感が強くなります。そのため、苦手な人とは極力距離を置きたいと思い、一線を引こうとします。苦手な人との関わり方は、人によってさまざまですが、自分に負担の少ない方法を探しましょう。苦手な人との関係は程々にし、自分をしっかり保てるように心掛け、自分から人を選んで付き合うようにしましょう。

苦手な人に対しては、プライベートな場面では一切関わりを持たないようにすることが良いでしょう。しかし、ビジネスや学校などの公的な場でのやりとりは、避けて通ることはできません。トラブルが起こらないように、面倒な人に対しては丁寧に接することが大切です。また、どんな人にも必ず良いところがあると考え、相手の良い面を見つけ出し、相手の興味のある話題を見つけ出して話題を振ってみましょう。そして、相手が関心を持った内容について話し、場をうまく切り抜けることが重要です。

無理をしない、嫌われる勇気

無理に相手に合わせようとせず、しっかりと一人で休むことが大切です。相手に合わせ過ぎると体がもたないので、「嫌われてもいいや」と思うことが必要です。人と関わる場合は、自分が疲れないように、どの程度の距離感を保てば良いか考えましょう。また、相手の顔色を伺ってしまう癖を治すか、一人の時間を有意義に過ごすことも重要です。

人と関わりたくない人の治療

人と関わりたくない人の治療には、精神科医やカウンセラーによる心理療法が有効です。心理療法の中でも、認知行動療法やトラウマへのアプローチが有効だと考えられています。認知行動療法は、不安や恐怖を引き起こす考え方や行動パターンを変えることで、不安を克服する方法です。一方、トラウマへのアプローチは、恐怖や不安を引き起こす刺激に対して、自分の体の反応を感じながら、恐怖や不安を克服する方法です。

社交不安症の治療には、グループ療法や社会スキルトレーニングが有効です。グループ療法では、他の患者と一緒に社会的な場面や人とのコミュニケーションについて学ぶことができます。社会スキルトレーニングでは、人とのコミュニケーションや交流のスキルを学ぶことができます。また、抑うつ症状には、心理療法だけでなく、薬物療法も効果があります。症状に応じて適切な治療法を選択することが重要です。治療には個人差があり、適切な診断と治療を専門家に相談することが必要です。

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トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-01-08
論考 井上陽平

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