依存症になりやすい人の特徴|アルコール・薬物・ギャンブル

精神疾患

トラウマを持つ人々は、その影響で心の平安を失ったり、突然の虚無感を感じたり、心の崩壊を恐れることがあります。このような感情や不安を緩和し、自分自身を守るための逃避手段として、アルコール、薬物、ギャンブル、食事、恋愛、ショッピングなどのさまざまなものに依存することがあります。これは、彼らが心の内での葛藤や痛みから逃れるための方法として取り入れてしまうことが多いのです。

居場所の探求:空虚感と純粋な渇望の間で

子どもの頃から自分の居場所を探し求め、さまざまな場所を彷徨ってきた人たちは、深い空虚感を胸の奥底に秘めて日々を過ごしてきました。彼らが持つ強烈な寂しさは、時折、その空虚を埋め尽くすための欲求として現れ、過度な行動や物質的なものに手を伸ばしてしまうこともあるのです。このような行動の背後には、真心からの愛情や、安心できる「場所」への深い渇望が潜んでいます。しかし、これらの情熱的な願望や感情は、多くの場合、他人にはうまく伝わらず、彼らは孤独を深く感じながら、「自分は何かを間違っているのでは?」という不安や疑問に悩まされる日々を送っているのです。

心の奥深くに潜む闇:依存症の根底にあるもの

依存症に苦しむ人々の背後には、しばしば自己のアイデンティティが希薄であるという深い心理的な問題が隠れています。これらの人々は、集団の中で自分がうまく馴染めないという感覚を抱え、孤立感や排除感を感じることが多いのです。このような感覚は、自己認識の不確かさを引き起こし、それがさらなる心の苦悩を生み出す原因となります。

さらに、これらの人々は人間関係において深刻な失望や裏切りを経験することがよくあります。友人、家族、恋人などの重要な関係からの拒絶や裏切りは、彼らに深い心の傷を残します。これらの傷は、彼らが日常生活を送る上での障害となり、精神的なストレスや体の深部に緊張を引き起こす原因となります。この種の緊張は、しばしば外からは見えにくいものです。これは、依存症を持つ人々にとって見えない闘いとなり、彼らは日々、この緊張と戦っています。

幼少期のトラウマと大人における依存症の関連性

幼い頃からトラウマを経験した人、特にそのような不安や脅威を何度も繰り返し経験した人は、大人になった時に依存症を発症するリスクが高くなると言われています。これは、そのような痛みや恐怖、不安を緩和するための手段として、アルコール、薬物、食事、恋愛などに依存してしまう可能性が高まるからです。

例えば、幼い頃、親との複雑な関係やその中でのトラウマ体験が原因となり、自律神経が乱れることが起きます。その結果、さまざまな身体的、精神的な症状が現れるようになります。突然の不安感から体が震える、あるいは過度の恐れを感じて心臓が高鳴る。また、体が極度に冷えて一日中動けなくなることもあれば、心が落ち着かずにザワザワと不安定になったり、その他の日常の作業が手につかないほど辛くなることも。これらの症状は日常生活に大きな支障をもたらしています。

その痛みや不安を緩和するための手段として、食べ物、アルコール、薬物、あるいは性に対する過度な依存が見られるようになります。特に過食に関しては、一度食べ始めると止められない状態が続き、自分の行動をコントロールすることが非常に難しくなってしまいます。

トラウマのトリガーと短期の安堵がもたらす依存症

トラウマのトリガーが近くに存在する環境では、人は非常に繊細な状態になりがちです。具体的には、覚醒度や気分が安定しないで急激に変動することが多いです。たとえば、一瞬の出来事や特定の言葉、音、匂いなどがトラウマを引き起こすトリガーとなり、それによって突然、不安や恐怖が高まることがあります。

このような状態が続くと、人は何らかの方法でその不快な感情や緊張を軽減しようとします。その結果、依存症に陥る可能性が高くなるのです。アルコールや薬物、ギャンブル、食事、または他の何らかの行動に対して過度に依存するようになり、その依存行動自体が新たな問題を引き起こすこともあります。

依存症は、その瞬間の痛みを和らげる一時的な解決策に過ぎないため、根本的な問題解決にはなりません。むしろ、依存症が進行すると、トラウマの原因となる状況や感情に対処する能力がさらに低下してしまいます。短期的な安堵感を求める行動が、長期的には自分自身をより脆弱な状態にしてしまうという悪循環に陥りやすいのです

薬物依存の特徴と後遺症

薬物依存の人々は、周囲の世界や周囲の人々との一体感を求めて薬を使用することが多いです。この薬の効果が一時的に体に現れた後、効果が切れると体調が悪化し、心は不安定になります。この状態が非常に不快であり、再び安定した気分になるためには薬が必要だと感じるようになります。その結果、「今すぐ薬を使わなければならない」という恐怖に駆られるようになります。一人で静かにいるのは耐え難く、その不快な感覚から逃れるために薬物への依存が深まってしまいます。やがて、その人は日常的に、またほとんど休みなく薬を使用するようになります。

アルコール依存症の症状や特徴

トラウマを経験した人々は、その痛みや不安を緩和する方法としてアルコールに頼ることが多くなり、これがアルコール依存症のリスクを増大させる要因となります。特に、トラウマを持つ人は、普通の人よりもアルコールを摂取することが多い傾向があり、また、より高い濃度のアルコールを好むことがしばしば観察されます。これは、アルコールがもたらす「科学的解離」という状態を通じて、トラウマから来る心の痛みや苦しみを一時的に和らげる効果があるためです。科学的解離とは、現実からの一時的な切り離しや自我の分離を意味するもので、この状態になることで、トラウマの影響を一時的に忘れることができるのです。

ギャンブルや性依存の原因を幼少期から

トラウマを経験した人は、現実の生活さえ、恐怖がつきまとう感覚があることがあります。その根源は、幼少期に経験した恐ろしい出来事や強烈な憎しみ、そしてそれらの経験から自分を否定し、自らを過度に責め続ける感情にあるかもしれません。これらの心の苦しみから逃れるため、強烈な刺激や一時的な快感を求めて行動することがあります。例えば、ギャンブルに手を出すこと。その危険性や問題点を理解しているにもかかわらず、ギャンブルに深入りしてしまいます。さらに、深い寂しさや空虚感を感じると、その感情を紛らわせるために、特定の関係を築かないまま、多くの人々と性的な関係を持ってしまうこともあります。これは、短期的な慰めや安堵を求める結果として現れる行動です。

共依存者の行動パターン

孤独を感じるとき、その感じ方やその気持ちとどう向き合うかは、人それぞれで大きく異なります。特に、過去のトラウマが原因で心が不安定になっている人や、自分の本当に望むものが何なのか理解できない人は、孤独感を特に強く感じることがあります。このような状態のとき、一人で家にいるのは非常に困難で、その感覚から逃れるために人との交流を求めて常に誰かと接触を持ちたがります。具体的には、すぐに知人に連絡をとったり、特に目的がなくても外を出歩いたり、他の人と会って会話を楽しむことで気を紛らわせようとすることが多いです。この行動の背後には、心の不安や孤独感を少しでも和らげたいという強い願望があります。そして、何か外部のものや活動に頼ることで、自らの精神的な不安定さを落ち着かせようとする試みが見られるのです。

共依存者の恋愛と承認欲求

人間関係や恋愛において、常に不安や生きづらさを感じることがあります。この感覚は、自分の中に深い空虚感や「自分には何もない」という思いが根底にあるかもしれません。その結果、他人の愛情や評価に依存してしまうことが多く、自分の価値を他人の視点でしか確認できないと感じます。だからこそ、誰かに自分の価値を認めてもらいたい、という強い欲求が生まれ、そのために一生懸命努力を重ねることがあります。その努力は、自分自身を他人に認めてもらうためのものとなり、それが自分の存在意義や価値を感じる源となることもあります。

トラウマを持つ人は、その経験により心の平安を失い、突然の虚無感や恐れを感じることがあります。これに対する緩和策として、アルコールや薬物、ギャンブルなどの物質や行為に依存することがしばしば見られます。幼少期の体験や親との複雑な関係が原因で、自律神経が乱れたり、さまざまな身体的・精神的な症状が引き起こされることがある。その痛みや不安を和らげる手段として、さまざまなものに依存する傾向が見られますが、これは短期的な解決策に過ぎず、長期的には自分をより脆弱な状態にしてしまうことが多い。

まとめ

トラウマを持つ人々は、過去の経験から心の平安を失い、心の崩壊を恐れたり、虚無感を感じることがあります。これを逃避する手段として、アルコールや薬物、ギャンブルといったものへの依存行動が見られることがある。特に、子どもの頃に居場所を探し続ける経験をした人々は、その背後に深い空虚感や寂しさ、真心からの愛情や安定した「場所」への渇望があります。しかし、これらの感情は他者に伝わりにくく、彼らは自らの行動や存在意義についての疑問や不安に悩むことが多いです。

さらに、幼少期のトラウマが大人の依存症と関連していることが知られています。親との複雑な関係やトラウマ体験からくる自律神経の乱れや身体的、精神的な症状が現れることがあり、それらの痛みや不安を緩和するために過度な依存行動が現れることがあるのです。さらに、トラウマのトリガーが存在する環境では、人々の感情が急激に変動し、依存行動への逃避が強まる可能性があります。

そのため、依存症の克服方法としては、トラウマや依存症の背景を理解し、自分の感情や行動に向き合うことが重要です。専門の治療やカウンセリングを通じて、自らの内側に目を向けることが大切です。自分のトラウマや痛みに直面することは勇気がいるかもしれませんが、それによって自分の心の傷を癒やし、新しい自分を築き上げるための手助けとなるでしょう。

また、サポートグループや経験者の交流も非常に有効です。同じ経験を持つ人々との交流は、孤独感を減少させ、共感や理解を得ることができます。その中で、他者の成功体験や克服の過程を知ることで、自分自身の治療や回復へのモチベーションを高めることができるでしょう。

最後に、自分を大切にし、無理をせず、自分のペースで進むことが重要です。必要に応じて、休息を取ることも忘れずに。一日一日を大切にし、自分のための時間を作りながら、より健やかな未来へと歩んでください。

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トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-08-26
論考 井上陽平

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