パニック障害とは、突然発生する恐怖や不安、息切れ、心拍数の増加、汗、めまいなどの症状を伴って起こる、一過性の重度の恐怖症状です。これは、実際に脅威が存在しないにも関わらず、場面や状況からの不安や恐怖が引き起こされることがあります。パニック障害は、適切な治療を受けない場合、重度の恐怖や不安とともに、日常生活に支障をきたすこともあります。
パニック発作を簡単に説明すると
パニック発作を起こしやすい人は、トラウマの病歴があったり、家族から脅かされる経験が繰り返されたり、日常生活の中で長期的なストレスや不安にさらされたりしていることがよくあります。彼らの神経系は過敏であり、一見些細な刺激からでも危険や潜在的な脅威を即座に検出する傾向があり、身体の過剰反応を引き起こします。トラウマ体験から自然に回復することができない人は、トラウマショックを受けた時の状態に閉じ込められており、交感神経と副交感神経を過活動状態に保ち、不適切な行動やパニック発作を引き起こします。
例えば、不快な状況や刺激に直面すると、背側迷走神経と交感神経が急速に活性化し、筋肉が緊張し、頭の中が情報で溢れます。これは情報過多とストレスにつながり、それを処理する能力を超えるとパニック発作を引き起こす可能性があります。体が麻痺し、顔、喉、胸、背中がきつく感じられ、呼吸が困難になります。呼吸に努力しているにもかかわらず、彼らの呼吸はますます困難になり、負のスパイラルにつながります。そのような状況では、彼らはその場から逃げることができないと感じ、身体を動かせずパニック発作につながるかもしれません。
パニック障害になりやすい人の特徴
パニック障害は、多くの場合、複数の原因が絡み合って引き起こされます。パニック障害になりやすい人は、安心感がない人やストレスを多く感じる人、自分の感情や行動に自信がない人、楽観的ではない悲観的な考え方を持つ人、家族や仲間からの圧力や負担を感じやすい人、過去のトラウマや負傷的な経験を持つ人、家族内でのメンタルヘルスの問題などがパニック障害になりやすいと考えられています。また、過度の仕事や生活のストレス、不眠症や適切ではない食生活などのライフスタイルの乱れもパニック障害を引き起こす可能性があります。さらに、遺伝的要因や生活環境などの要因もパニック障害のリスクを高めることがあります。
家族の問題が原因
家族内での発生するトラブルや問題、不和、虐待など、緊張が強く、ストレスフルな環境に長期的にさらされることが、パニック障害の原因となることがあります。また、親や家族から厳しい期待や執拗な評価を受けることも、自己評価の低下や自信喪失につながり、パニック障害を引き起こす原因となることがあります。家族内のコミュニケーションの乏しさや、発言することを恐れる環境なども、不安感を高め、パニック障害を引き起こす要因となることがあります。
神経発達阻害
発達早期のトラウマ体験や小児期の逆境体験により、神経発達阻害が起きて、それが原因でパニック障害になりやすい人がいます。これは、自律神経系のバランスが異常になっていることによって引き起こされます。正常に発達する脳は、身体的な刺激やストレスなどを処理するための正常な反応を生み出すことができますが、神経発達が阻害されている場合、身体的な刺激やストレスなどを適切に処理することが困難で、生理反応が過剰になります。これがパニック障害になりやすい原因の一つと考えられます。
迷走神経反射
パニック障害になりやすい人は、迷走神経反射に対して敏感な傾向があります。迷走神経は、脳からの信号を下肢や胸部などの身体に送るための神経系です。迷走神経反射は、危険な状況において、即座に身体を防御するために起こる身体的な反応です。このような反応は、一般的には敵対的な環境や威嚇的な状況などに対する自然な応答として知られています。
しかし、パニック障害になりやすい人は、本来危険でない場面でも、潜在的な脅威を感じて、迷走神経反射を引き起こしやすい傾向があります。彼らは、不安や恐怖を強く感じることによって、迷走神経反射を引き起こしますが、これによって、身体的な痛みや息苦しさ、貧血、徐脈、寒気などを感じ取ってしまい、ますます不安や恐怖を強く感じることがあります。このような状況は、パニック障害の発症の原因となり、彼らの人生に大きな影響を与えることがあります。
交感神経の過剰な活性化
パニック障害になりやすい人は、交感神経の過剰な活性化に対して敏感な傾向があります。交感神経は、ストレスや危険な状況などに対する身体的な応答を引き起こす神経系です。このような状況において、交感神経は身体にエネルギーを供給し、警戒や防御のために身体を活性化させます。
しかし、パニック障害になりやすい人は、子どもの頃から安全基地がないことが多く、些細なことでも危険を感じて、交感神経の活性化が過剰に起こり、ブレーキが効かないという特性を持っていることがあります。このような状況では、彼らは身体的な反応を強く感じ、不安や恐怖をますます強く感じて、感情に圧倒されたり、情報処理が追いつかなくなったりします。このような傾向は、ストレスや危険な状況に適応することを困難にするため、パニック障害の発症リスクを高めることがあります。
トラウマ体験
トラウマ的な体験は、虐待や性暴力、学校のいじめ、事件、事故、医療の処置、自然災害など様々ありますが、多くの人々にとって心に深い影響を与えます。特に、パニック障害になりやすい人は、凍りつきや虚脱性の不動状態を経験し、トラウマになっていることが多いです。これらのトラウマ的な経験は、過去に起こった不安または恐怖を引き起こすイベントや状況である可能性があります。これらのトラウマ的な記憶は、現在でも強い感情を引き起こすことがあり、パニック障害になりやすい人にとっては特に困難な状況になることがあります。
トラウマのショックが根付く
パニック障害を起こしやすい人は、過去に強い外傷体験やショックを経験している可能性があり、永続的な影響を残し、不安や恐れ、怒りが高まった状態のままになる可能性があります。これらの経験は、パニック発作を引き起こす可能性のある恐怖、ストレス、不安の持続的な状態につながる可能性があります。激しいショックを経験した人は、感情を調整するのが難しく、絶え間ない心配、不安、緊張感を経験するのが一般的です。さらに、トラウマ的な出来事の記憶は根付き、常に個人の心に残り、過度で圧倒的な恐怖と不安につながる可能性があります。トラウマ体験の病歴があると、パニック障害の発症に対する脆弱性が高まる可能性があり、そのような状態の管理と克服において専門家の助けを求めることが重要になります。
強い不安や恐怖症
パニック障害になりやすい人は、不安や恐怖心が強い傾向があります。彼らは、日常生活の中での様々な状況に対して、不適切な程度の反応を示すことがあります。例えば、緊張や不安を引き起こす状況、話題、または場所に遭遇すると、強い不安感を覚えることがあります。彼らは、自分自身の感情や行動がコントロール不能になるのではないかと恐れていることもあります。
パニック障害になりやすい人は、閉所恐怖症や他の恐怖症を抱えている傾向があります。閉所恐怖症とは、閉所空間にいることによって引き起こされる恐怖心を指します。彼らは、狭い場所、混雑した場所、または出口が近づいていないような場所にいることによって、不安や恐怖を強く感じます。他の恐怖症と同様に、これらの恐怖心は、彼らの人生に大きな影響を与えることがあります。彼らは、これらの恐怖から逃れるために、避けようとするか、回避する傾向があります。これらの恐怖や不安は、後にパニック障害を引き起こす原因となります。
感情に圧倒される
人々は異なる感情的な特性を持っています。しかし、パニック障害になりやすい人は、強い感情を持つ傾向があります。これらの感情は、怒り、恐怖、嫉妬などを引き起こすことがあります。これらの感情は、突然発生することもあり、または予期せぬ状況に遭遇したときに、特に強くなることがあります。これらの強い感情は、パニック発作の引き金となることがあり、パニック障害になりやすい人にとっては、特に困難な状況になることがあります。
空腹や低血糖、不眠
パニック障害になりやすい人は、体内の状態によって感じやすい不安や恐怖を引き起こすことがあります。特に、空腹や低血糖、不眠の状態は、身体と精神のバランスを崩すことがあり、不安や恐怖感を引き起こす可能性があります。この状態は、神経系や脳内の化学的な反応の変化によっても引き起こされる場合があります。
慢性疲労と疼痛
疲れや痛みが蓄積されていることがパニック障害を引き起こす原因となる可能性があります。長期的に過度の疲れや痛みを負担し続けると、体と心の緊張が高まり、不安や恐怖といった強い感情が生じることがあります。これらは、体と心の免疫力を弱め、ストレスや不安感を引き起こすことがあり、最終的にはパニック障害の原因となる可能性があります。
パニック障害の改善には
このような状況を改善するためには、適度な休息と適切な心理療法や身体療法、カウンセリングなどを受けることが大切です。パニック障害を改善するためには、危機的な場面において、恐怖に凍りつくのではなく、怒りの感情をうまく使って、交感神経の活性化をコントロールすることができるようになることが重要な一歩となることがあります。また、恐怖や怒りの感情を管理したり、トラウマ的な記憶を処理することができるようになることが、パニック障害の改善に向けた努力の一つとなります。
さらに、ストレスの管理や改善、健康的な生活習慣の維持、エクササイズ、正常な睡眠と食生活、サポートグループへの参加などが有効です。また、適切な薬物療法も選択することができます。これらの方法を組み合わせることで、パニック障害を改善することが望まれます。ただし、各個人によって最適な治療法は異なるため、専門家とのカウンセリングを通じて最適な方法を決定することが大切です。
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トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-2-6
論考 井上陽平
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