毒親の母がしんどい病気|母親の特徴・対処法

心の病気

「毒親」の存在は深刻な問題として多くの人々の心に影を落としています。彼らは、自らの内なる問題や過去の傷を抱え、それを子どもに向けて攻撃的、虐待的、あるいは冷酷な態度として表現してしまいます。このような親の行動や態度は、子どもたちの感性や心の形成期に大きな影を投げかけます。子どもは自らの存在や価値を疑い、その結果として罪悪感に苛まれ、感情的な問題に悩まされることが増えます。

毒親の影の下で:親の二重性と子供たちの心

毒親とは、子どもの成長や心の健康よりも、自らの欲望や要求を優先してしまいます。彼らは子どもに対し、自分の期待や願望を強く押し付け、その結果として子供は自分の存在価値を親の期待を満たすことに見出すようになりがちです。このような状況は、本来子どもが親を頼る立場であるにも関わらず、親子の役割が逆転し、子供が親の心の支えとなってしまうことが多くなります。

毒親の二面性は非常に深刻な場合が多く、子どもたちに大きな影響を与えます。一方で外界に対しては、理想的な親、優れた人格者として振る舞います。この”外面の良さ”は、多くの人に信頼され、尊敬されることで実際の問題点を煙に巻くことがあります。しかし、家庭内では全く違った顔を見せ、怒りや不安を用いて家族を支配するのです。

子どもたちはこの”鬼の形相”に震え上がります。自分自身の感情や考え、願いや夢を抑え込むようになり、親の期待に応えようと、身も心も消耗しながら努力を続けます。このような重圧は、子どもの精神的成長や自我の形成を妨げ、将来的には自己批判や劣等感、自己の価値を認められない気持ち、罪悪感といったネガティブな感情を持続的に抱え込む原因となることが多いのです。

毒親の背後に隠れる心の傷: トラウマが次世代への影響

毒親と呼ばれる親たちの行動や態度の背後には、しばしば彼ら自身が経験した過去の辛い体験や未癒合の心の傷が潜んでいます。多くの場合、彼らは自らの子ども時代に体験した心の痛みや辛さを、意識的であれ無意識的であれ、繰り返してしまうことがあります。このような毒親が子育てを進める中で、彼らの抱える心の傷が治癒されないままでいると、その傷やトラウマは次の世代、すなわち彼らの子どもたちにも伝えられてしまう可能性が高まります。

この悪循環は、子どもが親の痛みを引き継ぎ、成長する過程で同じような心の傷を持つ人との関係を繰り返し、さらにその子どもたちがまた同じ痛みを経験するという連鎖として続いていくことも考えられます。この連鎖を断ち切るためには、毒親自身が自らの心の傷や過去のトラウマと真摯に向き合い、それを理解し、癒す作業が必要です。

母親の気分と家庭環境:子どもの平和への奮闘

家庭内の雰囲気が母親の機嫌によって左右される場合、その影響は子どもにも大きく及びます。母親の気分が不安定なとき、家全体が険悪な空気に包まれ、子どもはその重圧を感じ取ります。このような状況下で、子どもは自分なりの方法で平和な環境を取り戻そうと努力します。具体的には、母親の機嫌を直接的または間接的によくする行動—たとえば、家事を手伝ったり、好きな食べ物を作ってあげたり、話題を変えて明るい雰囲気を作ったり、母親の愚痴の聞き役に徹したりします。

母親の機嫌が不安定であることが家庭環境に影響を及ぼし、その対応には子ども自身が多大なエネルギーを使います。特に、子どもはあらゆる事態を前もって想定し、それに対する対策を綿密に検討します。具体的には、今起こっている出来事を過去の経験と照らし合わせ、次に何が起こる可能性があるのかを考え、それに備えるというプロセスを絶えず繰り返しています。

このような状態で生活するためには、子どもは全方位に神経を張り巡らせ、情報収集に励むことが求められます。つまり、母親の行動や発言、その日の状況など、どんな小さな手がかりも見逃さないようにしています。その上で、何が「安心材料」になりうるのかを探し、それを利用して少しでも自分自身の安全と安心を確保しようと努力します。

その結果、母親が寝静まると、一日中続いていた緊張がようやく緩む瞬間が訪れます。しかし、その緩和と同時に、精神的な疲労感が一気に押し寄せてくるのです。このような日々が続くことで、子ども自身の心身は消耗していきます。

子どもがこのように行動する背景には、家庭を安全で平和な場所に保ちたい、という強い願望があります。家はもともと安心と安全の象徴であるべき場所であり、子どもはその基本的なニーズを満たすために何が必要かを直感的に感じ取ります。母親の気分が安定していれば、家庭内の雰囲気も落ち着き、子どもは安心感を得られるというわけです。

毒親育ちが直面する感情の矛盾:愛情の瞬間と心の重荷

毒親育ちの子どもが直面する問題は、しばしば一見単純でない複雑な状況にあります。その中でも特に、親から受けた稀な”愛情の瞬間”が、親子関係をさらに錯綜させる要因となっています。これらの”良い瞬間”があるため、親からの切り離しは感情的に非常に困難なものとなります。

一方で、特に毒母の近くにいると、その怒りや非理性的な行動によって心が沈み、不安定になることも多いです。怒りが突如として爆発する母親の前では、子どもは自分自身で何かを決定することまで恐れてしまう場合があります。つまり、その”良い瞬間”によって生じる複雑な感情と、母親の怒りや不安定さによる心の重荷とが交錯し、子ども自身がどのように対処すれば良いのかを見失いがちです。

不安定な母親との日々:子どもが抱える”地雷”回避

母親の気分が不安定で、何が「地雷」になるのか予測が難しい家庭環境では、子どもはその地雷を避けようと日々緊張感を持って生活します。それが、お金の話かもしれないし、学校の成績かもしれないし、家事の分担かもしれません。問題は、これらの「地雷」が常に変わる可能性があり、子どもは絶えずアラートを維持しなければならない点です。

このような状況は、「一難去ってまた一難」という言葉が象徴するように、子どもにとっては非常に厳しいものです。一つの問題が解決したと思ったら、次の問題がすぐに待ち構えている。この繰り返しによって、子どもは心身ともに疲弊してしまいます。

たとえば、ある日は母親が仕事のストレスでイライラしていて、その影響で家庭内がピリピリするかもしれません。子どもはその状況を何とか収めようと努力しますが、次の日には母親が健康問題や近隣とのトラブルで気を使っているかもしれません。これがループしていると、子どもはいつ安心してリラックスできるのか分からなくなり、長期的にはストレスや緊張、疲れが積み重なっていくのです。

毒親の影響:子どもが抱える無力感と自己肯定感の低下

毒親との関係が子どもにもたらす影響は極めて深刻で、多くの場合、心的、精神的なトラウマにつながります。普通ならば、人は暴言を吐く人や、気まぐれで予測不可能な態度の人、依存傾向が強い人、金銭感覚が狂っている人といったタイプの人々とは距離を置くことが一般的です。しかし、このような人物が「親」であると、子どもには逃げる場所がなく、特に家庭環境でのストレスは避けられません。

この「逃げ場がない」状態が子どもに与える無力感は計り知れません。家庭は本来、安全で愛情に満ちた場所であるべきですが、毒親の存在する家庭では、それが逆にストレスや不安、恐怖の源泉となってしまいます。毎日、そのような環境で過ごす子どもは、精神的にも疲れ果て、自己肯定感が低くなる可能性が高いです。

無力感とは、自分自身が何をしても状況が改善しないと感じることです。この感覚は子どもにとって非常に苦痛で、自分が「ダメな子ども」であると感じてしまう場合もあります。それが更なる自己否定や、将来的な人間関係に対する不信感を生む可能性があります。

毒親育ちの子ども:不安定な家庭でのサバイバル戦略

毒親育ちの子どもが直面する問題は、一般的な育児環境とは大きく異なる特有の困難さがあります。特に、母親が予測不可能であり、その気分や態度が頻繁に変わる場合、子どもはどうしたらよいのか「正解」を見つけることが非常に難しくなります。母親が突然、理不尽な行動をとることで、子どもは不安定な環境で翻弄されるのです。

たとえ子どもが母親の気分や行動に適応しようと努力して「正解」を探したとしても、その「正解」が母親の次なる気分や態度によって破壊される可能性が高いです。これにより、子どもは繰り返し心の安定を失い、精神的にも疲弊してしまいます。

多くのケースで最も効果的な自己防衛策は、親とできるだけ関わらない、話さない、顔を合わせないという「距離」を保つことです。この距離が、時として子ども自身の心の平和と安全性を保つ唯一の方法となることもあります。だからと言って、これが簡単な選択ではありません。家庭内で「距離」を保つことは、親子関係の基本的な側面に大きな亀裂を入れる可能性があります。

さらに、このような状況においては、親の本質を冷静に見極め、期待を捨てることも時には必要です。期待が大きければ大きいほど、その後の失望も大きくなるからです。このようにして自己防衛することは悲しい現実かもしれませんが、毒親の元で成長する子どもにとっては、これが現実的な対処方法であることも少なくありません。このように、毒親育ちの子どもが抱える問題には深刻な側面が多く、一筋縄ではいかない複雑な課題が潜んでいます。

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トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-09-01
論考 井上陽平

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