うつ病の人に対して、避けるべき行動があります。具体的には、以下のようなことに注意する必要があります。
頑張ってと声をかける
うつ病の人に対して「頑張って」と声をかけることは、逆効果になる場合があります。うつ病は、単に「頑張れば治る」という簡単な問題ではなく、深刻な精神疾患です。うつ病の人は、自分で簡単に気持ちを切り替えることができず、自分自身を責めたり、無力感や希望を失うことがよくあります。
「頑張って」という言葉は、うつ病の人にとっては、プレッシャーや責任を感じさせることがあるため、うつ病を悪化させる可能性があります。また、うつ病は、自分が弱いという感覚をもつことが多いため、周りから「頑張れ」と言われると、自分をさらに責めることにもつながります。
うつ病の人に対しては、代わりに「あなたのペースで良いですよ」といった優しい言葉をかけ、理解を示すことが大切です。また、「一緒に考えましょう」といった言葉をかけ、サポートを提供することが、うつ病の人を励ます方法のひとつです。うつ病は、一人で抱え込むことがよくありますので、話を聴くことが、回復への第一歩につながる場合があります。
否定する、拒絶する
うつ病の人に対して、否定する・拒絶する態度をとることは非常に危険です。うつ病は、重い精神障害の一つであり、本人にとっても苦しい状態です。うつ病の人が否定されたり、拒絶されることで、精神のバランスが崩れて、社会から孤立してしまう恐れがあります。
また、うつ病の人は、自己否定や自己評価が低くなっていることが多く、周囲から否定的な評価を受けると、ますます悪化する可能性があります。それに加えて、うつ病の人は、自分自身をコントロールできないと感じることがあります。そのため、拒絶された場合には、自己否定が強くなり、自己価値を見失ってしまうことがあります。
そうならないためにも、うつ病の人に対しては、理解やサポートの意味を込めた言葉遣いを心がけることが大切です。否定することや拒絶することは避け、話を聞いたり、理解を示したり、支援を提供することが必要です。また、うつ病の人が自分自身を肯定するための支援を提供することも大切です。
アドバイスする
うつ病の人にアドバイスする際には、注意が必要です。まずは相手の気持ちに寄り添い、共感することが大切です。そして、相手のペースや希望に合わせた対応をするように心がけましょう。
- 「うつ病は気持ちで治せるから、前向きに考えよう」と言う
うつ病は、ただ気持ちが落ち込んでいるだけではありません。脳の神経回路や化学物質のバランスが崩れ、身体的な症状や精神的な症状が現れます。ただできるだけ前向きに考えることが大切であることは確かですが、それだけで治るわけではありません。このようなアドバイスは、うつ病の人の感情を無視しているように感じる場合があり、かえって負担になることがあります。
- 「ストレスを減らせば治るよ」と言う
うつ病は、ストレスが原因であることもありますが、ストレスがない状態でも発症することがあります。また、ストレスを減らすことが簡単なことではない場合もあります。ストレスの原因を特定し、それを取り除くことが治療の一環である場合もありますが、それが解決しなくてもうつ病は治る可能性があります。このようなアドバイスは、うつ病の人の責任や自己管理の責任を押し付けるように感じられる場合があります。
- 「自分に合った趣味を見つけよう」と言う
趣味は、リラックスするために楽しむものであり、自分に合ったものを見つけることが大切です。ただ、うつ病の人は、興味や関心がなく、何をしても楽しくない場合があります。自分に合った趣味を見つけるために、プレッシャーをかけることは逆効果になることがあります。
押しつける行為
うつ病の人に対して、押しつける行為は避けるべきです。うつ病は、その人自身が直面している問題やストレスによって引き起こされる病気です。他人が無理やり自分の意見や方法を押し付けることは、うつ病の人にとって非常に負担となります。
押しつけることで、うつ病の人が自分自身の感情や問題に向き合う機会を奪ってしまい、精神的な負荷が増大してしまうことがあります。また、押しつけられた方法が合わなかった場合、更なる失敗や挫折感を味わうことになり、うつ病の症状を悪化させる可能性があります。
結論を出そうとする
うつ病の人に対して、結論を出させないようにすることは、非常に重要です。うつ病の人は、感情的に不安定で、否定的な思考が支配的になることがあります。そのため、一時的な感情によって、考えや行動が歪められることがあります。
例えば、うつ病の人が何か問題にぶつかったとき、自分に責任があると考えることがあります。このような考え方は、自己否定的であり、悪循環を引き起こすことがあります。さらに、周囲の人たちも、うつ病の人が無理に結論を出させるような言葉をかけることがあります。
しかし、無理に結論を出させることは、うつ病の人にとって非常に負担がかかることがあります。結論を出すことによって、不安やストレスを感じることがあり、さらにうつ病の症状を悪化させる可能性があります。そのため、うつ病の人に対して、無理に結論を出させるような言葉をかけないようにすることが重要です。
あとは、うつ病の人は、日常的な生活においても様々な困難に直面しており、大きな決断を下すことは、さらなるストレスや不安を引き起こし、うつ病の症状を悪化させる可能性があります。そのため、人生の大きな決断となる「仕事を辞める」、「離婚する」といった行動を避けることが重要です。できるだけ先延ばしにするようにしましょう。
不健康なものを勧める
うつ病の人に対して、ストレス解消のために飲酒やドラッグ、タバコの使用を勧めることは、避けるべきです。飲酒やドラッグ、タバコの使用は、短期的には気分を高揚させることがありますが、長期的にはうつ病を悪化させる可能性があります。例えば、アルコールやタバコは身体や神経系に影響を与え、うつ病の人にとっては、悪影響をもたらすことがあります。また、ドラッグの使用は、うつ病の人にとって、不安や恐怖感を増大させ、精神的状態を不安定にすることがあります。
当相談室では、うつ病に関するカウンセリングや心理療法を希望される方に対し、ご予約いただけるようになっております。予約は以下のボタンからお進みいただけます。

トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-02-26
論考 井上陽平
コメント