自分が自分じゃない感覚が怖い、気持ち悪い、パニック障害

複雑性トラウマ

離人感や解離症状に苛まれる人は、自分の感じ方や考え方に違和感を抱えています。彼らは、自分の中で何かおかしいと感じながらも、その原因や根底にある理由が掴みきれず、不安や戸惑いを抱えて生きているのです。このような状況は、自分が自分じゃないかのような感覚を生み出し、現実と自分自身とのつながりが希薄になることがあります。

自己感が喪失していく過程

離人症や解離症状は、さまざまな状況で発生する可能性があります。例えば、目が覚めた瞬間や車の運転をしているときなどです。この症状は、トラウマやショック状態、慢性的なストレス、ネガティブな感情、疲労、緊張、空腹、低血糖などと関連していることがあります。

以下は、複雑なトラウマを経験しているAさんの体験談

初期症状はパニック発作

突如として襲い来る絶大な恐怖は、パニックを引き起こします。その感覚は、まるで自分が押し潰されそうなほどの圧倒的な力に蹂躙されているかのようです。声は上ずり、鼓動は激しく響き渡り、その速さに過呼吸を引き起こしてしまいます。このまま狂ってしまうのではないかという恐怖が、さらに追い詰めていくのです。

狂気と解離・離人させる力

そんな時、目の前の風景が現実感を失い、自分の中に閉じ込められたり、逃げられない馴染みのない空間に放り込まれていくような感覚に苛まれます。絶大な恐怖の中で、視界が次第に白っぽい霧に覆われ、狭く制限された空間へと追いやられる感覚に苛まれます。そのまま、白い霧に包まれた世界に吸い込まれていくような恐ろしい体験が続きます。

今にも狂いそうな孤独の中で、自分を取り戻そうとする意志と、掴んで閉じ込めてしまおうとする強靭な力を前にして、狂ってしまいそうになる感覚に脅かされます。この戦いの果てに、恐怖が去ったあとの世界は、かつて見慣れていたものが、奇妙で異質なものへと変貌します。まるで透明な膜のようなものに包まれて、現実との接触を失い、まったく別の世界にいるように感じる。

自分は自分ではなくなる不安との戦い

狂気が去った後も、恐怖は続き、外に出ることさえできないほどの圧倒的な不安感に包まれます。この状況は、自己の統制力を失い、自分が自分でなくなってしまうかのような不安と狂気に満ちている状態になることがあります。まるで、自分の中にもうひとつの自己が存在しているかのような錯覚に陥り、その二つの自己が互いに対立し、葛藤する姿が目に浮かびます。

離人感や解離症状に苛まれる人は、現実感が希薄になり、自分が自分でないかのような感覚が押し寄せてくる。この狂気の渦に巻き込まれ、自分自身を取り戻すことができるのか、そんな深い恐怖と闘うことになります。この経験は、苦悩と戦いの日々を繰り返す中で、自分自身と向き合い、成長する機会ともなります。

自分が自分じゃない感覚の人の特徴

自分が自分じゃない感覚の人は、早い発達段階でのトラウマを抱えていることが多く、敏感な体質で感覚や感情が麻痺しやすいです。現実世界での適応が困難で、アイデンティティの喪失や自己感の喪失が生じることがあります。独りでいる時間が空虚に感じられ、自己同一性が揺らぐことがあり、慢性的な虚無感に苦しみます。人目を避ける防衛スタイルと、他人軸で同調傾向が強まる特徴があります。

自分がわからなくなる感覚とは

自分がわからなくなる感覚は、自己同一性の喪失、自分自身のアイデンティティや存在に対する不確実さや混乱を指します。この感覚は、自分の身体、感情、感覚、思考、行動、信念に対する理解が曖昧になることで生じます。個人は自分が何者であるか、どのように行動すべきか、自分の価値観や目標について不安定さを感じることがあります。

身体感覚の麻痺から自己喪失

早い発達段階でトラウマを経験した人や性暴力被害者は、身体的・感情的な痛みを抱え、神経が非常に敏感に反応するため、一般人よりも繊細な体質を持っています。その結果、環境が適切に機能しないと、ネガティブな感情や疲労、痛みが蓄積し、身体は過度に緊張した状態が続き、感覚や感情が麻痺してしまいます。筋肉や皮膚の感覚が失われ、自分の身体とのつながりが次第に弱まっていくのです。

このような状況下で、現実世界での行動が困難になり、周囲に適応できず、解離・離人感やシャットダウンが起こることがあります。彼らは、気持ちが落ち込むときは、辛さから現実逃避して、空想の世界に頼ることが多くなります。自分を見失い、アイデンティティの喪失や自己感の喪失を引き起こすことがあるのです。

自己同一性の喪失の問題は

自己同一性を見失う感覚を抱える人々は、独りでいる時間が空虚に感じられ、他者が不在だと自己認識が揺らぐことがあります。一人になると、日常の役割(働く自分、子育てをする自分、パートナーと過ごす自分、学校に通う自分)が薄れ、どのように行動すべきか分からなくなります。彼らの存在は他者との関わりによって支えられており、孤独な状況下では自己の在り方が見えなくなります。その結果、独りでいるときには、自分が自分でないと感じられ、自身のアイデンティティが見失われることがあるのです。

慢性的な虚無感

自分が自分でないと感じる人々は、感覚の麻痺から意味を感じられない行動に悩み、慢性的な虚無感に苦しむことがあります。このような状況では、自分の人生への肯定的な評価や受け入れが困難となり、心の平穏が乱れることが起こります。感情が感じられなくなると、自分に対する共感や感覚が失われていき、まるで自身が徐々に消えていくかのように錯覚します。この状態は精神的に極めて厳しいものです。

凍りつきや死んだふりの防衛スタイル

痛みの身体を持つ人の中には、自分が自分でいることに耐えられなくなり、他人に気づかれないように自分を隠す人がいます。彼らは幼い頃から孤独を抱えながら、人々の視線を避け、自分の存在を消し去ろうと努力して、目立たない生活を送ってきました。まるで姿が見えないかのように、他人に気づかれずに振る舞ってきたのです。しかし、このような生活が長く続くと、自分の存在感が薄れ、歩く屍のような状態に陥る可能性があります。心は空虚で満たされず、自分がまるで人形のように感じることがあるのです。

他人軸で同調傾向の強まり

身体の麻痺が発生すると、心の成長も停滞し、自己の存在感が薄れることがあります。このような状況下では、自分が自分であることを感じられず、自らの意見や感情を大切にする力が失われます。その結果、周囲の人々に順応し、場の雰囲気に流されながら対処していく姿勢が強まります。周囲の人々の感覚や感情を敏感に観察しながら、同調する傾向がますます強くなっていくのです。

まとめ

自己感喪失の過程は、離人症や解離症状がさまざまな状況で発生し、トラウマや慢性的なストレスと関連している。初期症状はパニック発作で、絶大な恐怖が襲い、狂気と解離・離人感が起こる。恐怖が去った後も不安感が続き、自分が自分でなくなるかのような感覚に苦しむ。離人感や解離症状に悩む人は、現実感が希薄になり、自分を取り戻すために恐怖と闘うことになる。

最後に、離人感や解離症状を経験している場合、脳が現実の生々しい刺激や潜在的な脅威から保護しようとする働きをしている可能性があることを理解しておく必要がある。

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トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-04-10
論考 井上陽平

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