つらい苦しい助けてと願う子供の心の叫び:トラウマと解離症状

複雑性トラウマ

人の心の中には、痛みや恐れ、そして希望や愛といった感情が渦巻いています。特に、胎児期から幼少期にかけてのトラウマは、その後の人生における感受性や感情の認識に深く影響を与えることが知られています。この時期に受けた痛みや不安は、神経系がまだ発達途中であるため、特に強烈に体験されます。

これらの子供たちは、生まれながらにして敏感な神経系を持ち、感情を非常に強く感じる傾向があります。このような感受性は、一つ一つの出来事や経験が、彼らの心に深く刻まれることを意味します。何気ない日常の出来事でさえも、彼らにとっては大きな影響を持ち得るのです。

この敏感さは、多くの場合、トラウマや困難な状況に直面したとき、その傷がさらに深まる原因となります。日常生活の中で経験する小さな挫折やストレスが、彼らにとっては巨大な障壁として現れることも。その結果、彼らは自己非難や自己否定のスパイラルに陥りがちとなります。

このような心の状態から逃れるため、彼らは「解離」という心理的な防衛メカニズムを取り入れることがあります。解離は、現実の痛みや困難から遠ざかり、内なる心の世界に身を委ね、現実とは異なる安全な場所を作り上げることを意味します。

この「解離」という状態は、一見すると単なる逃避のように見えるかもしれませんが、それは違います。実際には、この解離は、その人の人格全体と深く関わり、困難な現実から自己を守るための心理的な防衛機制として機能しているのです。彼らは、このメカニズムを通じて、心の傷を保護し、自己の心理的な健康を守り、維持しようとしているのです。

私たちがするべきことは、彼らの心の叫びを無視するのではなく、理解し、共感し、サポートすることです。彼らの感じる痛みや不安を受け止め、共に歩むことで、真の回復の道を探る手助けをすることができるのです。

幼少期のトラウマ:敏感な神経系と自己否定のスパイラル

人々の中には、母親の胎内での安定した時間から、出産の刹那、そして幼少期にかけての多くの瞬間でトラウマを経験し、それが原因で神経系が非常に敏感になってしまった者たちがいます。このような人々は、生活の中での喜びや悲しみ、愛や孤独といった感情を、通常の何倍も強く体験します。彼らの敏感な心は、過去の虐待やいじめのような困難な状況を乗り越えることが非常に困難で、時として彼ら自身もその痛みの深さを正確には伝えきれないことがあります。

子供の頃、彼らは何よりも親の理解や支えを求めました。しかし、子供特有の純粋さや繊細さは、親から見れば「大人になるための過程」として理解されることが難しく、彼らの願いは実現しないことが多かったのです。彼らは親の期待に応え、親を失望させないために自らを犠牲にすることを学びました。

しかしながら、子供の頃の彼らは、親からの怒りや失望の理由が自分の存在や行動に起因するものと誤解してしまいました。また、彼ら自身が怒りや悲しみを表現することを恐れ、その感情を内に閉じ込めることを選んだのです。その結果、自己価値を疑い、自己非難や自己否定の渦中へと落ち込むようになりました。

こうした複雑な心の動きや感情が重なり合い、彼らの心の中は迷路のように錯綜してしまいます。他人に向けることができない心の痛みや苦しみは、彼ら自身がもはやその全てを把握することが難しくなるほど複雑に絡み合ってしまいました。

凍りついた心と新たな自己の誕生

彼らが抱える複雑なトラウマは、深い傷として心に刻まれ、その痛みに耐えながら生きる日々が続きました。周囲の人々はその苦痛を理解することなく、彼らの声に耳を傾けることはありませんでした。この孤独感が彼らの自己批判を助長させ、ますます深く厳しい自己評価の渦中に取り込まれていきました。彼らは、理解しきれない外の世界を避け、心を閉ざすことで自分を守るようになりました。

人々の視線や期待、ジャッジメントは彼らにとって過大なプレッシャーとなりました。日常の何気ない瞬間でも、そのすべてが彼らにとっての攻撃のように感じられ、それに耐えるための力はもはや残されていませんでした。

その幼い頃から、彼らは自分の感情や感覚を完全にシャットアウトしました。日常の痛みやストレスに対して鈍感になることで、心の傷を深めないようにしようとしました。しかし、その結果、彼らは自分自身からも遠ざかり、身体や感情との連携を失ってしまいました。

日々の絶え間ない痛みと絶望は、彼らの心を闇に沈めていきました。それはまるで体が重力から解放され、宙に浮かんでいるかのような、不安定で不確かな感覚に似ていました。しかし、その感覚は、彼らが自らの痛みから守るための無意識の防衛反応として現れたのかもしれません。

心の底に沈んでいく彼らの世界は、不安定であり、冷え切った感覚が彼らを取り囲んでいました。それは、絶望の淵で泣き叫ぶ子供の声のように、彼らの内なる世界での喪失感を際立たせていました。

しかし、心の奥底で、驚くべき変化が起こっていました。それは新しい「自分」の誕生でした。この新しい存在は、彼らの過去の自分とは異なる特質を持ちながら、彼ら自身の一部として生まれました。この新しい自分は、彼らが自らの苦しみやトラウマから逃れるための無意識の努力の結果として生まれたのかもしれません。

この新しい人格は、彼らの痛みや絶望、そして絶え間ない挑戦に対する防衛メカニズムとして機能しました。それは彼らがこの厳しい現実から保護され、再び傷つけられることなく生きることを望んでいる証拠であり、彼らの無意識の中で最後の砦として築かれたものでした。

心の深淵:子ども時代のトラウマと孤独な闘い

複雑なトラウマと解離症状を持つ人々は、多くの場合、幼少期の危機的な状況や環境の中で成長し、非常に厳しい人生の経験を重ねてきました。彼らの心の中には、真実の自分を守るための希望と、これ以上の傷つけられることから逃れるための恐れの狭間で綱渡りをしている感覚が日常となっています。

それでも、繰り返される外部からの攻撃に対抗することが難しく、時には身体や心が麻痺するような状態に陥ってしまいます。まるで冷たい冬の大地のように、彼らの内側は硬く、感じ取る力が鈍ってしまいます。

これらのトラウマは彼らの現実感を歪め、過去の傷と未来への不安の間で彼らを翻弄させます。このような心の混乱は彼らの日常を乱し、動きを遅らせ、生活の中での適応や対応が難しくなってしまいます。

子供たちが経験するトラウマは多種多様で、その影響は彼らの感受性や認識に深く影響を及ぼします。特に幼少期のトラウマは、自己認識の形成過程において深刻な混乱を引き起こし、子供たちはまるで自分が封印されたかのように感じることがあります。そんな中で、彼らは自分を守るために心の一番奥、誰も近づけない場所に逃げ込むことを選びます。

この隠れ家のような場所は、彼らにとって安全な場所でありながらも、深い暗闇に包まれています。しかし、その深い暗闇の中でも、彼らは一日にほんの僅かな時間だけ、外界からの暖かな光を感じることができます。それは希望の光であり、彼らがまだ生きている証であることを彼らに思い出させる瞬間であります。

解離性障害:孤独な心の世界から現実を守る機制

心の傷を持った子供たちは、多くの場合、自分の感情や思考を適切に表現することが難しく、混乱の中で自分の内なる変化を掴み取るのも難しい状態にあります。その結果、彼らはまるで大きな壁に囲まれた孤独な世界に閉じ込められているかのように感じることが多くなります。

この孤立した状態は、彼らにとっては夢のような現実であり、その夢の中で彼らは自分だけが存在するように感じます。ここは彼らにとって安全な場所でありながらも、深い寂しさに包まれています。彼らの心の中では、懐かしい記憶やかつての知人たちが時折、現れては消えていく。これらのフラッシュバックを通して、彼らは「自分はこんな環境で生きてきた」という事実を思い起こします。

解離症状を持つ人々、特に幼少期に重度のトラウマを持つ人々は、往々にして身体や心の感覚に鈍感になります。彼らは現実の厳しさや痛みから逃れるために、心の中の白昼夢に没入することが多くなります。これは彼らの中の自衛機制であり、現実の世界の苦痛から遠ざかるための方法として彼らにとっては必要不可欠なものとなっています。

しかしながら、外部から見れば、この解離症状は単なる逃避のように映るかもしれません。しかし、解離は実は非常に複雑な心理的プロセスであり、それは自分の心を守るための最後の砦とも言えるものです。解離することで、人はトラウマや痛みから自己を守ろうとし、これにより心の傷を最小限に保つことができます。

具体的には、彼らが過去に受けた傷やトラウマを思い起こす時、その記憶や感情から距離を置くことで、その時の苦痛から逃れようとします。これは彼らの無意識の下で動く自己防衛のメカニズムであり、その目的は自分の心を保護し、維持することです。

このように、解離は単に現実逃避ではなく、心の防衛壁としての役割を果たしています。この壁を通して、彼らは現実の攻撃や困難な状況から自己を守り続けているのです。

子供の心の叫びと回復の道程

子供たちの瞳の奥には、深く秘められた心の叫びが隠れていることがあります。彼らの感じる痛みや不安、恐れは、大人に比べて数倍も強烈に感じられることが知られています。特に、胎児期や幼少期のトラウマは、その後の人生の感受性や感情の発展に大きな影響を及ぼします。

敏感な子供たちは、世界を非常に鮮明に感じ取ります。そのため、彼らが経験するトラウマや困難は、心の奥深くに長く残ることがあります。日常の些細な出来事や環境の変化も、彼らにとっては大きな影響を及ぼすことがあるのです。

心の深くに潜む傷やトラウマからの回復は、単純なものではありません。その過程は時間を要し、多くの努力とサポートが必要です。解離の状態から脱却し、再び現実と向き合うためには、まずその心の声を受け入れ、理解し、共感することが重要です。

  1. 認識と受容:まず最初に、子供たちの心の叫びを認識し、受け入れることが必要です。彼らの感じる痛みや不安を理解し、それを否定せずに受け止めることで、子供たちは自分の感情や体験が正当であることを感じることができます。
  2. 安全な環境の提供:子供たちは、トラウマや困難な状況を乗り越えるために、安全で安定した環境を必要とします。物理的な安全だけでなく、感情的な安全も同様に重要です。
  3. 専門家のサポート:専門家のサポート、例えばカウンセリングやセラピーを通して、子供たちは自分の感情や経験を処理し、それを乗り越える方法を学ぶことができます。
  4. 表現の場の提供:アートセラピー、音楽療法、運動などの方法を通じて、子供たちは自分の感情や思考を表現し、それを通じて自己を癒すことができます。
  5. 感情の正確な認識:子供たちは自分の感情を認識し、それを正しく表現する方法を学ぶことが重要です。これにより、彼らは自分の感情に対しての理解を深めることができます。
  6. 再トラウマを防ぐ:子供たちが再度、トラウマや困難な状況に直面しないよう、周囲の大人たちがサポートやガイダンスを提供することが重要です。
  7. 絆の形成:子供たちとの強固な絆を形成することで、彼らは自分を愛されていると感じることができます。愛とサポートを通して、彼らの心の傷は癒されることができます。

最後に、子供たちの心の叫びを無視せず、彼らの感じる痛みや不安を受け入れ、それを共有し、サポートすることが最も重要です。彼らの痛みや不安を共に歩むことで、彼らは再び明るい未来を見ることができるのです。

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トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-07-16
論考 井上陽平

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