毒親とは、子どもに対して過度の支配や無関心、心理的・身体的虐待など、子どもの発達や精神的安定に悪影響を及ぼすような行動を繰り返す親のことを指します。別の言い方では、自分たちの都合や価値観を子どもに押し付け、その子どもの個性や感情を無視して支配的な態度を取る親のことを指します。彼らは子どもの人格を否定し、子どもをまるで自分の所有物のように扱うことがあります。毒親は自分の私利私欲を優先し、子どもをただの足手まといや一つの労働力としてしか見ず、感情任せに振る舞うことが多いのです。
毒親の父親、母親の特徴
以下に示すのは、毒親の可能性を示唆する特徴です。
自己中心的な性格
毒親は、自己中心的な性格を持っており、子どものニーズや感情に対して無関心です。彼らは独自の欲求や願望が常に優先されることを望み、子どもたちの心の声に耳を傾けることが難しいとされています。子どもの成長や発展にとって重要な感情的サポートを提供することができず、その結果、子どもは孤独感や自己評価の低さ、自信喪失などの問題に直面することが多くなります。毒親の存在は、子どもの心身の健康に悪影響を与え、その後の人生においても長期的な影響をもたらすことがあるため、非常に重大な問題とされています。
感情のコントロールが難しい
毒親は、感情的に不安定であり、感情のコントロールが難しい傾向があります。彼らは些細な出来事に対しても過剰に反応し、状況を劇的に悪化させることがしばしば見られます。このような行動は、周囲の人々に緊張感や不安感を与え、特に子どもたちには深刻な影響を与えることがあります。
毒親の感情の爆発は、子どもの自己肯定感や安全感を脅かすことがあり、彼らが自分自身や環境に対して不信感を抱く原因となります。このような状況下で育った子どもたちは、適切な感情表現やコミュニケーションの方法を学ぶことが困難になり、将来的に人間関係や対人スキルに影響を受けることがあります。
過度に依存し利用する
毒親は、子どもに過度に依存し、彼らを自分の利益のために利用することがあります。彼らは子どもに対して、親密な生活に関する詳細や、子どもにとって適切でない情報を無分別に共有することがあります。このような行動は、子どもに過大な負担を与え、適切な親子関係の範囲を超えることがしばしばあります。
毒親は、子どもを感情的なサポートの主要な源として利用し、自分の感情的なニーズを満たすために彼らに依存します。これにより、子どもは親の問題や感情を抱え込むことになり、自分自身の感情やニーズを無視することがあるため、自己発達や自己認識が阻害されることがあります。
このような毒親の依存性は、子どもの心身の健康や成長に悪影響を及ぼすだけでなく、親としての役割を果たすことができない状況を生み出します。子どもは適切な感情的サポートやガイダンスを受けることができず、自己肯定感や自尊心が低下し、将来的には対人関係や自己認識に問題を抱えることがあります。
操ろうとする操作的な性格
毒親は、自分の意のままに子どもを操ろうとする操作的な性格を持っています。彼らは、罪悪感やお金といった手段を用いて、子どもに自分の意志に従わせようと試みることがあります。このような行動は、子どもの自主性や自己決定力を奪い、彼らが自分の意志に基づいて選択や行動をすることを阻害します。
毒親が罪悪感を利用する際、子どもは自分が親の期待に応えられないことに対して過剰な責任感を感じることがあります。この結果、子どもは自分の感情やニーズを犠牲にしてまで親の要求に従うことになり、自尊心や自己肯定感が低下する可能性があります。
また、毒親がお金を利用して子どもを操ろうとする場合、子どもは金銭的な依存関係に陥り、親の意向に従わざるを得ない状況に置かれることがあります。このような状況は、子どもの自立心を阻害し、将来的に人間関係やキャリア選択にも悪影響を与える可能性があります。
非常に批判的
毒親は、非常に批判的な態度を示し、子どもがどんなに努力しても、その成果や行動が決して十分でないと感じさせることがあります。彼らは子どもの優れた特徴や業績を認めず、尊重することが難しいとされています。このような態度は、子どもの自尊心や自己評価に悪影響を与え、心身の健康や人間関係に問題を引き起こすことがあります。
毒親の批判的な言動は、子どもが自分自身に対する信頼を失い、自分の価値を疑問視するようになることがあります。これにより、子どもは自己否定的な思考に陥り、将来的には様々なチャレンジや新しい経験に対して消極的になる可能性があります。
さらに、毒親が子どもの優れた特徴や業績を尊重しないことは、子どもが自分の才能や能力を開花させる機会を奪うことになります。子どもは自分の強みや長所を十分に活かすことができず、自己実現の道を見失うことがあるのです。
自他の境界がない
毒親は、自分と他人の境界が曖昧であり、これが子どものプライバシーや自主性に悪影響を与えることがあります。彼らは、許可を得ずに子どもの家に押しかけたり、子どもが自分の人生で下した選択に対して攻撃的な態度をとることがあるのです。
このような境界のない行動は、子どもの自尊心や安全感を脅かし、彼らが自分自身や周囲の人々に対して不信感を抱く原因となります。また、子どもは自分の意思で選択や判断をすることが難しくなり、親の期待に応えることを最優先に考えるようになります。
毒親が子どもの人生の選択を攻撃することは、子どもが自分の価値観や信念を育てる機会を奪います。これにより、彼らは自分の意見や感情を表現することを恐れるようになり、対人関係やコミュニケーションに難を抱えることがあります。
毒親自身も何か深い心の傷がある
子どもを傷つける親たちは、確かに加害者となってしまいますが、彼ら自身もその行為をやめられない背景には、何か深い心の傷を抱えている可能性があります。その痛みが親から子へと連鎖してしまうことが、毒親という悲しい現象を生み出してしまうのです。
毒親は、自分自身が良い家庭環境で育っていないことが多く、過酷な経験をしていることが原因となっていることがあります。彼らは安心できる家庭というものを自らの身をもって経験しておらず、子どもを見守るという考え方が欠如しています。
そのような状況下で育った人々は、不安定な心の状態から他人や世界に対する否定的な見方が形成されることがあります。そのため、彼らが文句を言うことは、彼らが抱える心の痛みや苦しみを表現する手段となっていることもあるのです。
毒親は、幼い頃に過酷な経験をしたことがあり、親に対して反抗することができなかったことが背景にあります。そのため、自分の子どもが親に反抗するという気持ちを理解できず、激しい怒りを感じることがあります。また、ありのままの姿でいる子どもに対して、羨ましい気持ちが大きくなるかもしれません。このような反応は、親子関係がさらに悪化する要因となります。
これらの結果から、自分の人生や楽しみを優先するようになり、家族の幸せを築くことに向けた努力が十分にできなくなってしまいます。
トラウマを持つ親
毒親がトラウマを持っていることが多いのは、彼ら自身が子どもの頃に肉体的、精神的な虐待やネグレクトを受けた経験があることが一因です。このような過去の経験が、親になった後も影響を与え、子どもに対して同様の行動を繰り返すことがあります。
過覚醒による不穏な行動
過覚醒とは、外部からの刺激に対して過剰に反応する状態のことで、トラウマ持ちの毒親にはこの状態が見られることがあります。過覚醒に陥ると、些細なことで怒りや不安が爆発し、子どもに対して過剰な反応を示すことがあります。
ヒステリーによる態度の豹変
ヒステリーは、感情が制御できずに激しい怒りや泣き叫び、暴力的な行動を起こす状態を指します。毒親は、トラウマや過覚醒の影響で感情が不安定になりやすく、些細なことでヒステリーを起こすことがあります。また、態度が豹変することで子どもを混乱させ、精神的なダメージを与えることがあります。
過干渉な親
過干渉な親とは、子どものプライバシーを尊重せず、個人的な事柄や日常生活に過度に関与することがあります。また、子どもの友達や恋愛関係について、不適切な程度に口出しや制限を行ったり、子どもの進路やキャリアに対して自分の意志を押し付け、子どもの意見や希望を無視することもあります。さらに、子どもの趣味や興味に対して否定的であり、自分の価値観を強要することも少なくありません。このような過干渉な行動は、子どもたちに不必要なプレッシャーやストレスを与え、子どもたち自身の自己肯定感や自己決定力を損なう原因となります。
過保護な親
過保護な親とは、子どもに対して過度な心配を抱え、リスクを避けるように促すことで、チャレンジや失敗から学ぶ機会を奪う傾向があります。また、子どもが困難に直面した際、すぐに助けに入り過ぎることで、自分で問題を解決する能力を育てられない状況を作り出したり、常に子どもを監視し、子どもが自由に行動する機会を制限することで、自立心や社会性を阻害することもあります。さらに、子どもに過剰な期待をかけ、プレッシャーを与えることで、自尊心や自己肯定感を低下させてしまうことも少なくありません。
酷い態度を見せる親
毒親は、自分の感情に基づいて子どもに対して怒りや酷い態度を見せることがあります。彼らは子どもの気持ちや考えを理解しようとせず、子どもの立場に寄り添うことなく、日常生活を自分の快・不快や感情を優先して過ごしてしまいます。これが原因となり、子どもは親からの愛情や思いやりを感じることができなくなってしまうのです。
一見愛情深く見える親
一見愛情深く見える親でさえも、子どもを自分の所有物として扱い、親の要求を押し付け、それを受け入れることが当然だと考えてしまいます。彼らは子どもの都合や事情を考慮することなく、自分の欲求を満たそうとするため、子どもの心に深い傷を与えてしまうのです。
過去の苦痛を投影する親
毒親は、自分が過去に抱えた感情や苦しみを子どもに向けることがあるため、親子間のコミュニケーションが困難になりがちです。例えば、子どもが大きな声を出すことや雑な行動、反抗することに対しての過剰な反応を示し、不快に感じたり、周囲の迷惑になっていると感じたりします。その結果、頭の中がパニックに陥ることがあり、子どもに対して口汚く罵る言葉を投げかけてしまうことがあり、子どもに恐怖を与え、親子関係に大きな障壁を生み出します。毒親自身もそのような言動を止めたいと思いつつ、衝動を抑えることができないのです。
毒親の影響を受けた子ども
このような親の態度は、子どもたちにとって計り知れない苦悩をもたらすこととなり、その影響は計り知れません。子どもたちは成長の過程で、愛情と支援を必要とする脆い存在です。毒親によって、これら基本的なニーズが充足されない場合、子どもたちの心に深く刻まれる傷を残すことになります。
子どもたちが適切な親によって育てられると、彼らは自身の感情を安心して表現することができます。一方で、毒親によって育てられた子どもたちは、自分の体を硬く保ち、苦痛や困難といったネガティブな感情が露わにならないように努めます。
親の無関心や過剰な期待、または厳しすぎる批判は、子どもたちの精神的成長に悪影響を及ぼし、彼らの自尊心や自己肯定感を低下させます。子どもたちは、自分が愛されず、理解されず、支えられていないと感じることがあります。その結果、彼らは将来の人間関係や自己成長に対して不安や恐れを抱くようになります。また、そのような環境で育った子どもたちは、人間関係や対人スキルの形成が難しく、孤立感や孤独感に苦しむことがあります。
毒親による影響は、子どもの将来の精神的健康や人間関係にも悪影響を及ぼします。彼らは自己犠牲的な行動や過剰な自己批判、さらには人間関係の悩みやストレスに悩まされることがあります。また、子どもたちが大人になった際には、彼ら自身が毒親になる可能性があるため、この悪循環は次世代にも引き継がれることがあります。
このような状況を克服し、子どもたちにとって健全な環境を提供するためには、親自身が自分の過ちに気づき、自己改善に努めることが重要です。また、専門家の助けを借りたり、自己啓発や親子関係に関する教育を受けることで、子どもたちに愛情と支援を十分に提供できるようになることが期待できます。
親が子どもの成長に寄り添い、愛情を示すことで、子どもたちの心の傷は癒され、自尊心や自己肯定感が回復することでしょう。そして、親と子が互いに助け合い、サポートし合うことで、子どもたちは精神的に健康な大人に成長し、幸せな人生を送ることができるでしょう。
まとめ
毒親の問題を解決するためには、まず毒親自身が自分の過去のトラウマや感情の問題に向き合い、適切な治療やサポートを受けることが重要です。また、子どももカウンセリングや支援団体に相談することで、適切な対処方法を見つけることができます。
当相談室では、毒親に関するカウンセリングや心理療法を希望される方に対し、ご予約いただけるようになっております。予約は以下のボタンからお進みいただけます。

トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-03-22
論考 井上陽平
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