摂食障害は、食行動における深刻な障害を特徴とする精神疾患であり、主に「神経性食欲不振症」と「神経性過食症」の二つに分類されます。神経性食欲不振症は、極端な食事制限と著しい痩せを伴う一方、神経性過食症は過度な食事と体重増加を防ぐための代償行動を繰り返すことが特徴です。これらの摂食障害は、どちらも痩せることへの強い願望や肥満への恐怖感を持ち、自己評価に対して体重や体型が過剰に影響を与えています。
神経性食欲不振症
神経性食欲不振症(拒食症)は、極端な痩せたいという願望や体重増加への深刻な恐れによって引き起こされる摂食障害であり、この状況下では、人々が自らの意志で食べ物や飲み物の摂取を抑制することが特徴的です。この障害は、極度の痩せることへの欲求と、体重増加に対する強い不安感によって、食事や栄養摂取に対する自制が生じ、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
この摂食障害は、すでに体重が低下している人にも発生し得る現象であり、体重や体型に対する認識が歪んでしまっていることがよく見られます。この歪んだ認識は、自己評価への悪影響を及ぼし、個人の自尊心や自信に対して大きな打撃を与えることが一般的となります。この結果、自己認識の歪みがさらなる摂食障害の悪化を招くことがあります。
摂食障害で死亡する可能性
この状況においては、栄養不足や体重の急速な減少が生じることがあり、これらの要因は重大な健康上の問題や合併症を引き起こす可能性が高まります。死亡を含む深刻な合併症は、生命に対する直接的な脅威となり、長期的な身体的および精神的健康にも悪影響を及ぼすことがあります。神経性食欲不振症は、物質依存症と共に、あらゆる精神疾患の中で死亡率が最も高いとされています。
拒食症の人の特徴
神経性食欲不振症を患っている人の中で、特に思春期から若い成人の女性に多く見られる特徴があります。10代の若い女性のうち80%が、体重増加に対する不安や恐れを抱えていると言われています。神経性食欲不振症を患う人の特徴としては、ファッションモデル、フィギュアスケート選手やマラソン選手、ボクシング選手などのアスリートに多いと言われています。また、完璧を追求する性格、勤勉さ、内向的な傾向、そして環境の変化に対する適応力の低さが挙げられます。さらに、彼女たちは体型に対する認識がゆがんでおり、潜在的な脅威から身を守ろうとする性質があります。
拒食症で入院が必要な状態
神経性食欲不振症(拒食症)は、BMI[体重(kg)÷(身長(m))2]が17.5以下で、肥満に対する恐怖や痩せ願望があり、体重増加を妨げる行動をしている人を指します。
危険か生命の危機か
トラウマのショックにロックされた状態や恐怖や怒りの感情、疲れや痛み、空腹や低血糖が原因で、危険か生命の危機かの状態になり、交感神経もしくは背側迷走神経が影響を交互に受け、不適切な代償行動を繰り返すことがあります。このような状況下で、生命の危機を感じると、不動化による自己防衛反応が働き始めます。この際、交感神経はシャットダウンし、背側迷走神経が機能し続けることにより、呼吸は浅く細かくなり、徐脈を引き起こし、血圧が低下します。加えて、腎臓の機能が低下し、尿が出にくくなることやむくみが生じることがあります。さらに筋肉は力を失い、無気力な状態に陥ることがあります。
危険な状態
BMIが15未満の場合、入院による栄養療法が適切とされます。例えば、身長160cmの場合、体重は38.4kgとなります。入院が必要とされる時期は、体温が35.5度未満であることや心拍数が45回/分未満であることが挙げられます。また、1週間にわたってほとんど食事が摂取できていない状況や、ナトリウム、カリウム、リンの電解質異常が生じている場合も入院が必要です。
生命の危機
生命の危機を感じるような状態にある場合、BMIが12以下(身長160cmの場合、体重は30.7kg)であれば、体の治療が必要となり、緊急の入院が求められます。このような状況では、衰弱が著しく、起き上がることや階段の上り下りが困難になることがあります。さらに、低血糖による昏睡や意識障害が起こることもあります。
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トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-03-23
論考 井上陽平
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