「カサンドラ症候群」とは、不快な状況にいて、問題を認識することができているが解決することができないことに対して無力感や不安を引き起こす症状を指します。この症候群にかかる人は、パートナーとの関係や周囲の無理解、孤立、ストレス、トラウマ、不安、自己評価、治療、サポートなどの様々な要因が発症に関連するとされています。
カサンドラ症候群は、長期的なストレスや緊張に敏感に反応する状態を特徴としています。これに対応するために、パートナーや周囲の人とコミュニケーションをとろうとすることもありますが、結果としてうまくいきません。問題解決のために複雑な思考を繰り返し、不安になる情報を強制的に増幅させることによって、さらなるストレスや緊張の状態に陥ることになります。そして、心身に限界がきて、緊張の糸が切れてしまい、うつやめまい、頭痛、倦怠感、無気力、パニック障害などの症状に苦しみます。
カサンドラ症候群になりやすい人の特徴
ここでは、カサンドラ症候群になりやすい人の特徴について書いています。
女性がなりやすい病気
女性はカサンドラ症候群を発症しやすいと一般に考えられています。これはしばしば発達障害のある男性のパートナーであることに起因します。男性の発達障害の発生率が高いことも、カサンドラ症候群に対する女性の脆弱性の増加の要因と考えられています。物理的な観点からは、女性はサイズが小さいため、戦ったり逃げたりなどの反応を起こすことがより困難になるため、この症候群を発症する傾向があるとも考えられます。また、男性が優位の社会の中で価値感の多様性が無くて適応しづらい面や、日本社会の中で女性が経済的自立を達成することが男性より難しいという事実も見逃せません。
家族やパートナーの問題
カサンドラ症候群になりやすい人は、自閉症スペクトラム障害(ASD)やトラウマの精神疾患を持つ家族やパートナーがいるために、コミュニケーションや対人関係の構築が困難になり。肉体的および精神的苦痛の両方に苦しむ可能性があります。例えば、ASDは、社会的相互作用とコミュニケーションの障害、ならびに反復的な行動と興味を特徴とする神経発達障害です。ASDの人は、アイコンタクトをとる、顔の表情やジェスチャーを理解する、適切な社会的行動をとるなど、非言語コミュニケーションが難しい場合があります。これは、社会的孤立と関係の形成と維持の困難をもたらす可能性があります。
性格的な要因
カサンドラ症候群は、一種の精神上の疾患です。これは、生活上のストレス、緊張、トラウマ的な経験などの影響によって引き起こされます。この疾患は、敏感で繊細な個性を持つ人に多く見られます。これらの人物は、高い感受性を持っていたり、真面目で几帳面であったり、忍耐強く完璧主義者であったり、過剰な責任感を持っていることが多いです。彼らは仕事や家庭などの責任を過剰に担当し、自分自身に対して過度な要求を持つ傾向があります。これらの要因が積み重なり、長期的なストレスや緊張が続くことで、カサンドラ症候群が発症する可能性が高くなります。
過敏さや高い感受性
カサンドラ症候群は、高い感受性、過敏な生活を持つ人に多く見られます。このような人たちは、周囲からの刺激やストレスに弱い傾向があります。特に、強い刺激を受けると圧迫感や不安感が強くなり、自分自身の意志で抵抗することが困難になってしまいます。カサンドラ症候群は、社会的な環境や周囲の無理解、個人的なトラブルなどの様々な要因によって引き起こされますが、高い感受性を持つ人は特にこの症状に苦しむことがあります。
子供の頃の親子関係
カサンドラ症候群は、不安と緊張、恐怖、焦りの感情が強い人によく発症することがあります。これらの感情は、子ども時代のトラウマや親子関係のトラブルから生まれる場合があります。特に、親とのトラブルや確執があり、または親との距離が近すぎて自分自身の存在を脅かすような経験があった場合、安心感が育っていないので、カサンドラ症候群になりやすい可能性が高くなります。
トラウマ的要因
カサンドラ症候群になりやすい人として、家庭内の虐待やDVや、社会的に不安定な環境で脅かされてきた人が多く、トラウマを経験している人が挙げられます。トラウマとは、強烈なストレスや被害を引き起こした出来事などのことを指します。これらのトラウマ的な経験は、不安や恐怖、虐待されたりすることへの恐れなどのトラウマ性ストレスを引き起こすことがあります。また、このような経験から、人は不安や緊張、パニック状態を引き起こすことがあります。このような人は、警戒心が過剰で、将来的なトラブルや危険に対する恐れが強くなっており、カサンドラ症候群を発症するリスクを増加させます。
トラウマ・ストレスによる過覚醒
カサンドラ症候群になりやすい人は、経験したトラウマやストレス、そして、不安と不信感によって過度に覚醒した心理状態を抱えています。彼らは、過去のトラウマや不安な状況から逃れようとするため、常に警戒心を強く抱き、周囲の誰かに危険を感じることがあります。このような状況は、自律神経系やホルモンバランスを乱すことがあり、体調や心理状態に影響を与えます。また、過覚醒は、エネルギーの消耗や焦燥感、動揺、落ち着きのない気分などを引き起こすこともあります。さらに、今後のトラウマやストレスを想像することで、不安や不信感が高まり、物事を客観的に見れなくなって、カサンドラ症候群になりやすい状況が構築されます。
ストレス耐性の低さ
カサンドラ症候群になりやすい人の特性として、ストレス耐性の低さが挙げられます。彼らはストレスに敏感に反応し、緊張や不安にさらされると、内なる揺れ動きを感じ、避けることが困難な状況に陥ると、パニックを引き起こす可能性があります。ストレスに対して過敏になり、自分自身や他人からの要求に敏感になりすぎて、人と関わることに疲れるようになります。また、些細なストレスに対しても、潜在的な脅威を感じて、動けなくなることがあります。
身体性の脆弱さ
カサンドラ症候群になりやすい人には、身体性の脆弱さが特徴であるという傾向があります。このような人は、疲れやストレスによって、身体に不調や病気を引き起こしやすい傾向があります。また、ストレスに対する耐性が低く、不安や緊張が強いため、身体に負担をかけることもあります。
最悪の事態を想定してしまう
カサンドラ症候群は、先読みして、最悪の事態を想定してしまう人によく見られる疾患です。このような人は、常に未来に対する不安が強く、最悪の事態を想定する傾向があります。例えば、将来的な仕事や家庭、育児などの課題に対して、最悪の結果を想定してしまうことがあります。このような想定は、ストレスや緊張を引き起すことになり、長期的なストレスや緊張が続くとカサンドラ症候群が発症する可能性が高くなります。
能動的な防衛ができない
カサンドラ症候群になりやすい人には、戦ったり逃げたりできないという特徴があります。このような人は、状況に対して適切な対応をすることが困難であり、自分の感情や行動をコントロールできないと感じます。また、不安や恐怖にとらわれ、自分自身を責めたり、他の人を責めたりする傾向があります。
自分の気持ちや要求を表現できない
カサンドラ症候群になりやすい人として、自分の気持ちや要求を表現できない人がいます。このような人は、自分の感情や要求を表現することに対して抵抗感や自信不足を抱えている傾向があります。また、他人の気持ちや期待に合わせて自分のことを隠し、仕事や家族関係に対して過大な負担を強いられることもあります。
物事を客観的に見れない
カサンドラ症候群になりやすい人は、日常生活の困難に対して、視野が狭くなり、自分自身の感情や考えに強く影響され、客観的な見方が困難な傾向があります。彼らは直接的な言葉を、文字通りに受け取り、自分の想像力を過剰に働かせない傾向があります。このため、他人の気持ちや要求を正確に理解することが困難な場合があり、柔軟性を持った対応ができません。
面倒見がよく自己犠牲的
カサンドラ症候群になりやすい人は、面倒見がよく、自己犠牲的になりやすい傾向があります。彼らは他人の気持ちを優先し、自分自身のことよりも他人のことに焦点を当てる傾向があります。また、他人のために自分自身を犠牲にすることもありますが、自分自身の欲求やニーズを抑圧してしまうため、心身に不調をきたします。
カサンドラ症候群から抜け出すには
このような状況下では、自分自身をサポートすることや、他人からの支援を求めることが大切です。また、状況に応じた適切な対応を学ぶことや、ストレスや緊張を軽減するためのテクニックを学ぶことが有益です。カサンドラ症候群から抜け出すためには、様々な方法がありますが、一般的に以下のような方法が推奨されます。
- セラピー:カウンセリングなどのセラピーを受けることで、ストレスや不安に対する耐性を高めることができます。
- 心理的なスキルの習得:ストレス対処や自己認識など、心理的なスキルを習得することで、自己自身をコントロールすることができます。
- 身体的なトレーニング:適度な運動や瞑想など、身体的なトレーニングを行うことで、ストレスや緊張の軽減に役立つことがあります。
- 生活習慣:十分な食事や睡眠をとることが大切です。空腹や睡眠不足は、ストレスや不安の増大につながることがあります。
- ソーシャルサポート:友人や家族などのサポートを得ることで、不安やストレスを共有することができ、軽減することがあります。
これらの方法を適切に組み合わせて行うことが大切です。また、専門家の指導や支援を受けることをお勧めします。
当相談室で、カサンドラ症候群ついてのカウンセリングや心理療法を受けたいという方は以下のボタンからご予約ください。

トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-2-3
論考 井上陽平
コメント