うつ病の人がとる行動|家庭、恋愛、学生、引きこもり

精神疾患

うつ病は、気分や感情、身体的な症状などが影響を受け、慢性的な低気分や無気力感、興味喪失、自己否定的な考え方などが現れる精神疾患の一つです。うつ病は、生物学的な要因、心理的要因、社会的要因など様々な要因が影響して発症することがあります。遺伝的素因、脳内物質のバランスの乱れ、ストレス、トラウマなどがその要因の一例です。うつ病は、治療が可能であり、薬物療法や心理療法、運動療法などが有効な治療法として知られています。早期に治療を受けることが、回復につながることが多いです。

うつ病とは

うつ病になる人は、長期間に渡って、不快な状況下に置かれており、生活上のストレスや緊張にさらされてきました。しかし、その状況から逃れることができず、無力感に陥り、心身ともに崩れていきました。このような状態が継続し、自然治癒が起こらず、不安定な状態に閉じ込められている状態がうつ病です。

人が不快な状況に長期間曝され続けると、私たちの身体や精神に様々な症状が現れることがあります。このような状況下では、ストレスホルモンであるセロトニンやノルアドレナリンが減少し、身体機能や感情の調整能力が低下することが知られています。具体的には、集中力や注意力の低下、不安や抑うつ、イライラや怒りといった精神的な症状のほか、身体的な症状としては、頭痛や腹痛、筋肉のこわばりなどが現れることがあります。

また、このような状況が長引くと、うつ病といった病気を発症することもあります。うつ病は、気持ちの問題だけでなく、身体全体に影響を及ぼす病気であり、疲れや痛み、睡眠障害といった身体的な症状とともに、意欲や自尊心の低下、自己否定感、絶望感などの心理的な症状が現れます。そのため、適切な治療を受けることが必要となります。

うつ病の人が取る行動については、以下のようなものが考えられます。

活動量が低下する

うつ病の人は、身体が硬直したり崩壊したりしており、生命の危機に陥った場合に発動する原始的な神経の支配下にあります。休息中または省エネモードになっており、背側迷走神経が過活動か、交感神経がシャットダウンして、低覚醒状態に陥っています。このため、血液の循環が悪化し、元気がなく、エネルギー不足や興味の低下、疲労感などが生じ、日常的な活動量が低下します。家事や仕事、趣味などをすることが困難になり、ベッドから出ることも億劫になることがあります。

自分の感情やエネルギーの低下によって、日常的な活動量が減少する傾向があります。具体的には、次のようなことが挙げられます。

日常生活の動作が遅れる

うつ病の人は、身支度や家事、仕事などの日常的な動作が遅れる傾向があります。動きのない表情をして、他人と視線を合わせられなくなり、手足は怠く重くて、疲労感が強く、行動が鈍くなるため、日常生活においても時間がかかることがあります。

興味や関心が減退する

うつ病の人は、以前興味を持っていたことや、楽しんでいたことに興味を持たなくなることがあります。趣味を持つことが難しくなったり、友人や家族と過ごすことも楽しくなくなったりして、日常生活が味気なくつまらないものになります。

集中力が低下する

うつ病の人は、気分が落ち込んでおり、注意力や集中力、判断力が低下する傾向があります。仕事や学校での成績や、日常生活でのミスが増えることがあります。また、忘れ物や手違いが増えることもあります。

家から出ることが億劫になる

うつ病の人は、家から出ることが億劫になります。社会的なイベントに参加することや、友人との付き合いが減少することがあります。外に出ることが難しくなり、引きこもりがちになることがあります。

社会的な活動からの引きこもり

うつ病の人は、高密度の都市型生活や人間関係に対する強いストレスを感じることがあります。このストレスが強まると、心身が衰弱していく傾向にあり、集団行動や人との接触が怖くなり、社会的な活動から引きこもりがちになることがあります。友人や家族との付き合いが減少することで、孤立感や孤独を感じることがあります。

うつ病の人は、自分自身や周囲の人との交流が減少し、社会的な活動から引きこもりがちになる傾向があります。以下にその詳細を示します。

社会交流の減少

うつ病の人は、体力や意欲が低下し、他者との接触が減少し、社会的な場面での会話や人付き合いが怖くなる傾向があります。友人や家族との付き合いが減少することで、孤独感を感じることがあります。

集団行動への抵抗

うつ病の人は、多人数での集団行動や社交的なイベントに参加することが億劫になることがあります。被害的な妄想が強まりやすく、集団の中にいるときに、周りの人たちが自分を嫌っているように感じたり、異様な目で見られているように感じたりすることがあります。

孤立感の増加

うつ病の人は、社会的な交流が減少することによって孤立感を感じることがあります。友人や家族との接触が減ることで、自分が孤独な存在であると感じたり、社会から孤立していると感じたりして、将来に対して絶望的な気持ちになることがあります。

仕事や学校への欠勤

うつ病の人は、朝が絶望的につらく、仕事や学校に行くことが困難になり、欠勤することがあります。欠勤が増えると、自己否定的な思考に陥ることがあります。

自宅での時間の過ごし方

うつ病の人は、自宅で過ごす時間が増えることがあります。自分に対して厳しい考え方をして、自分のやるべきことがないと感じたり、自分が役に立っていないと感じたりすることがあります。一方、何もできない自分に対して焦る気持ちが強くなることがあります。

睡眠障害

うつ病の人は、睡眠の質が低下し、早朝覚醒、中途覚醒、夜中に目が覚めるなどの症状が現れることがあります。また、寝つきが悪く、深い眠りに入りにくいことがあります。睡眠時間の不足や睡眠の質の低下により、うつ病が悪化する可能性があります。

うつ病の人は、睡眠の質が低下し、睡眠障害に悩むことがあります。以下にその詳細を示します。

早朝覚醒

うつ病の人は、早朝に目が覚め、再度寝ることができなくなる早朝覚醒と呼ばれる症状が現れることがあります。この症状は、深刻なうつ病の場合に特に現れやすいとされています。

中途覚醒

うつ病の人は、夜中に何度も目が覚め、再び寝付くのが難しくなる中途覚醒と呼ばれる症状が現れることがあります。また、寝ている途中に不安感や悪夢、パニックに襲われることもあります。

寝つきが悪くなる

うつ病の人は、寝つきが悪くなり、深い眠りに入りにくくなることがあります。就寝前に考えが始まり、不安感が強くなり、体の力を抜くことができなくなります。そのため、寝る前にリラックスすることが大切です。

睡眠の時間が変化する

うつ病の人は、睡眠の時間が変化することがあります。眠りすぎたり、睡眠不足になったりすることがあります。一方で、日中に眠気を感じたり、疲れやすくなることがあるため、適切な睡眠時間を確保することが重要です。

睡眠による回復が十分でない

うつ病の人は、睡眠によって十分な回復が得られないことがあります。十分に睡眠をとっても、疲れが取れなかったり、気分が上がらなかったりすることがあります。

食欲変化

うつ病の人は、食欲が減退したり、逆に増加したりすることがあります。また、好きな食べ物や料理に対しても興味を失うことがあります。うつ病が深刻な場合は、美味しいと感じられなくなり、砂をかむような味しか感じなくなります。食事量が減れば、体が衰弱して、様々な問題が生じます。

うつ病の人は、食欲が変動し、食べ過ぎや食欲不振に悩むことがあります。以下にその詳細を示します。

食欲不振

うつ病の人は、食欲不振になることがあります。食べ物が口に合わなくなったり、食べたくても食べられなくなったりすることがあります。食べなくても大丈夫なのか、自分が健康になれるか不安を感じることがあります。

食べ過ぎ

うつ病の人は、ストレスや不安を感じると、食べ過ぎる傾向があります。また、特に高カロリーな食べ物に手を出すことが多く、体重が増加することがあります。

嗜好の変化

うつ病の人は、食べ物の好みが変わることがあります。甘いものや脂っこいものが好きになったり、食欲がなくなると野菜などの健康的な食事が嫌いになることがあります。

食事のリズムの乱れ

うつ病の人は、食事をとる時間帯が乱れることがあります。不規則な生活習慣になり、食事をとらない時間が増えることがあります。

栄養不足

うつ病の人は、食欲不振や食べ過ぎの傾向によって、必要な栄養素を十分にとることができなくなることがあります。また、うつ病自体が食欲や睡眠に影響を与えるため、栄養不足になりやすい状況に陥ることがあります。

自己否定や自己嫌悪

うつ病の人は、自己否定的な考え方をする傾向があります。自分自身に対して厳しい評価をして、自己嫌悪に陥ることがあります。また、自分を否定的に捉えて、自己嫌悪が酷くなり、自分が自分でなくなるような感じがすることもあります。

自己否定的な思考

うつ病の人は、自分自身に対して否定的な考え方を持ちがちです。自分を責めたり、自分の失敗や欠点を強調することがあります。また、自分が役に立たないと感じたり、自分の存在価値に疑問を感じたりすることがあります。

自己嫌悪

うつ病の人は、自分自身を嫌悪することがあります。自分が嫌いで、自分のことをどうしようもないと感じることがあります。自分が悪い人間だと感じることもあります。

自分を過小評価する

うつ病の人は、自分自身を過小評価する傾向があります。自分が何かを達成したとしても、それを自分の努力のおかげではなく、偶然や他人の手助けがあったからだと考えることがあります。

自分に対して厳しい

うつ病の人は、自分に対して厳しいことがあります。自分ができることを過大評価する一方で、自分にできないことを自分で許せないことがあります。そのため、自分自身に対して過度のプレッシャーや責任を負いすぎることがあります。

過去の自分を後悔する

うつ病の人は、過去の自分に対して後悔を持つことがあります。過去の失敗や過ちを考えて、自分自身を責めたり、過去に引き戻されるような感覚に陥ることがあります。

恋愛行動

うつ病の人の恋愛については、個人差がありますが、恋愛に対する関心や興味が減少することがあります。また、うつ病によって生じる症状である、憂鬱な気分やエネルギー不足、自己否定感、集中力の低下などが、恋愛において障害となることがあります。

引きこもりや社交不安症になる

うつ病の人は、孤独感や寂しさに苦しんでいることが多いため、引きこもりや社交不安症に陥ることがあります。そのため、異性との出会いや交流が減り、恋愛に発展する機会が極端に少なくなることがあります。

自分を責める

うつ病の人は、自己否定的な考え方が強く、自分を責める傾向があります。そのため、自分に自信が持てず、異性にアプローチすることができないことが多いです。

依存的な恋愛関係

うつ病の人は、愛情や優しさを求めることが多く、依存的な恋愛関係を築くことがあります。相手に依存することで、自分の内面の空虚さを埋めようとする傾向があります。

うつ病の学生

うつ病の学生については、様々な症状が現れることがあり、学生生活に影響を与えることがあります。例えば、学業に集中できないために成績が下がったり、授業を欠席することが多くなったり、社交的な活動を控えたりすることがあります。また、不眠や過眠、食欲不振や過食など、身体的な症状も現れることがあります。

さらに、うつ病は学生の自己肯定感や自己評価にも影響を与えることがあり、自己嫌悪や自己否定感が強くなり、人間関係にも悪影響を与えることがあります。また、社会生活から孤立してしまうこともあり、友人関係や就職活動に支障が生じることもあります。

学校に行かなくなる

うつ病の学生は、学校に行かなくなる傾向があります。このため、学業の遅れや成績の低下が起こり、将来に悲観的になります。

学習意欲の低下

うつ病の学生は、学習意欲が低下することがあります。このため、勉強することが辛くなり、集中力が低下し、学習の効率が低下することがあります。

友人との交流の減少

うつ病の学生は、友人との交流が減少することがあります。このため、孤立感を感じやすくなります。

自傷行為や自殺念慮

うつ病の人は、自己否定的な考え方から抜け出せず、苦しい感情に取り込まれ、自傷行為や自殺の考えを抱くことがあります。これらの症状が現れた場合は、早急に専門家に相談し、適切な治療を受ける必要があります。

自傷行為

自分自身に故意に身体的な損傷を与えることで、自分の苦痛や感情を抑えたり、気分を転換させたりする行為のことです。うつ病の人が自傷行為を行う理由としては、自分自身を責めたり、自己嫌悪や自己否定感が強い場合や、強い不安感や抑うつ感によって、感情をコントロールすることができなくなった場合があります。

自殺念慮

自殺念慮とは、自殺を考えたり、自殺をする方法を考えたりする状態のことであり、うつ病の人がとる行動のひとつです。自殺念慮は、重度のうつ病や精神疾患の症状の一部であり、うつ病の治療をしている人でも発生することがあります。自殺念慮がある場合は、早期に適切な治療を受けることが重要です。

以上が、うつ病の人が取る可能性のある行動の例です。しかし、うつ病の症状は人によって異なるため、必ずしもすべての人が同じような行動を取るわけではありません。また、うつ病の症状は時間とともに変化することがあります。

まとめ

長期的なストレスやうつ病のリスクを減らすためには、適度な運動や睡眠、栄養バランスの取れた食生活、リラックス法、ストレスを解消する方法を身につけるなど、日々の生活習慣に気を配ることが重要です。また、必要に応じて心理療法や薬物療法などの専門的な治療を受けることも、早期回復や予防につながります。

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トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-02-25
論考 井上陽平

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