強迫性障害(OCD)とは、異常な強迫観念や強迫行動が繰り返し現れる精神疾患のことです。強迫観念とは、一定のテーマについての不安や心配、恐怖などの感情を引き起こすイメージや思考のことで、強迫行動とは、その強迫観念を払拭するために繰り返し行う行動のことです。
たとえば、強迫性障害の人は、自分が正しく戸締りをしているかどうか不安になることがあります。そのため、何度も戸締りを確認したり、戸締りをしたかどうかを思い出そうとしたりすることがあります。例えば、就寝前に何度もドアを開けて戸締りを確認したり、外出する前に何度も鍵をかけたりすることがあります。
また、強迫性障害の人は、火の元に対する不安を感じることがあります。例えば、コンロやストーブの火を確認することが何度も必要だと感じたり、電化製品や家電製品を使った後にプラグを抜いているかどうかを確認したりすることがあります。また、火災や火事に関する妄想を抱くことがあるため、火の元を確認することが必要だと感じることもあります。
強迫性障害により疲れ果てる
強迫性障害の人は、強迫観念にとらわれ、それに従って行動を起こす必要を感じます。しかし、多くの思考を処理しているため疲れを感じる傾向があります。また、このような行動はしばしば繰り返し行う必要があり、結果として肉体的に疲れてしまうことがあります。例えば、清潔に対する異常な執着がある場合、何度も手を洗ったり、何度も掃除をしたりする必要があります。このような行動は時間とエネルギーを必要とし、ストレスや疲労感を引き起こすことがあります。
強迫観念は、侵入的な考えやイメージが頭の中を執拗に巡るため、それに対処するために常に注意を払わなければなりません。たとえば、安心感を得たくて10回以上チェックする必要がある場合、それは時間とエネルギーを必要とするため、そのストレスで疲れ果ててしまうことがあります。
強迫性障害の人は、トラウマ的な侵入的な思考や記憶に苦しんでいます。これらの思考や記憶は、しばしば人生で経験した辛い出来事に関連しています。日常生活でのストレスや緊張が蓄積されると、睡眠障害が発生し、寝不足や疲れ、痛みが重なります。これらの状態が続くと、免疫機能が過剰になり、気分の変動が激しくて、体調が悪化しやすいとか、交感神経もしくは背側迷走神経に留まるようになり、神経系に悪影響が及びます。
神経系は生理状態の悪化から、わずかなことでも危険か生命の危機かのスイッチが入るため、環境を誤認知し続けることがあります。このような状況下では、強迫観念が浮かび上がり、それに従う必要を感じるようになります。
強迫観念を和らげる方法
強迫性障害の人は、毎日の習慣を通じて疲れや痛みの対処をすることが役立つことがあります。自分自身をケアする方法として、より多くの睡眠をとることが挙げられます。強迫観念の症状を管理するためには、十分な睡眠をとることが不可欠であり、疲れ果てないようにすることが重要です。
睡眠の質を向上させる
睡眠の質を向上させるためには、以下のような点に気を配る必要があります。
- 快適なパジャマを着用し、清潔で肌触りが良く、重くない布団を用意し、快適なベッドを確保することが重要です。
- 寝室は理想的な温度に保ち、遮光カーテンを使用して光を遮ることが望ましいです。
- 就寝前には明るい画面を見ることを避け、少なくとも1時間はリラックスした活動をすることが望ましいです。
- 定期的な睡眠スケジュールを守り、就寝前にリラックスできるように心がけることが望ましいです。
- アルコールやカフェインを避け、寝る前にリラックスするための方法を試してみることが望ましいです。
- 日中に運動し、ヨガや瞑想など就寝前にリラックスできる活動をすることが、より良質な睡眠を促すために役立つことがあります。
- 朝起きたあとは、一番にカーテンを開けて光を取り込むことで自律神経が整い、活動的にすることが望ましいです。日光の下で過ごす時間も作りましょう。
以上の方法を試すことで、強迫性障害の人がより良質な睡眠をとることができ、症状の管理に役立つことがあります。
セルフケアの方法
さらに、自分自身をケアするために、以下の方法を試すことができます。
- 自分が扱う責任を減らし、ストレスの管理を行うことが重要です。例えば、家事や仕事の負担を軽減するために、時間を割いて助けを求めることができます。
- 自分が楽しいと思える趣味を見つけ、それに時間を費やすことが、ストレスを解消するための良い方法となります。アートや音楽、文学、料理など、様々な趣味があります。
- 1日30分間、週5回の適度な運動をすることで、身体的なストレスを解消することができます。例えば、ウォーキングやジョギング、ヨガ、水泳、サイクリングなど、自分に合った運動を選ぶことが重要です。
- ヨガや瞑想、マインドフルネスなどの実践は、心身のリラックスを促し、ストレスを解消する効果があります。自分に合った方法を見つけ、定期的に実践することが重要です。
- できるだけ新鮮で無加工の食品を選んで、バランスの良い食事を心がけましょう。また、血糖値の急な上げ下げを避けるためには、最初にお白湯や野菜を摂るようにしましょう。
- 強迫性障害の人は、孤独感や不安感を感じることがあります。協力的な友人や家族と繋がることで、気持ちのサポートを受けることができます。また、気分転換のために、一緒に外出したり、話を聞いてもらったりすることも効果的です。
以上の方法を試すことで、強迫性障害の人が自分自身をケアし、ストレスを解消することができます。
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トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-03-16
論考 井上陽平
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