うつ病の重度・末期症状|やる気が出ない、寝たきり

精神疾患

うつ病、特に重度のうつ病を抱える人々は、コルチゾールというホルモンの分泌が低下、あるいは過剰となることがあります。この現象は、長期にわたる高度なストレスや緊張により引き起こされます。

うつ病の発症の仮説

ここで、コルチゾールはストレスホルモンとも呼ばれ、私たちが困難な状況に対処するための「戦うか逃げるか」の反応を引き起こす重要な役割を果たします。しかし、このホルモンが長期間にわたって過剰に分泌されると、体はストレスに対する適応能力を失い、反対に問題を引き起こします。

特に、幼少期から継続的にストレスを経験してきた人々は、視床下部・下垂体・副腎といった、ストレスの防御反応を制御する脳の一部に異常を引き起こす可能性があります。この3つの部位は一緒に働き、私たちの体がストレスにどのように反応するかを決定します。

この系統が機能不全を起こすと、コルチゾールの生成が妨げられ、結果として、体のストレス反応が正常に機能しなくなります。ストレスに対する適応的な反応が取れなくなると、それは無気力または動けなくなる状態を引き起こします。これは、うつ病の症状としてよく見られ、個体が行動を起こすことが困難となり、日常生活の機能を維持するのが難しくなります。

トラウマの影響:恐怖と身体反応の閉じ込め

トラウマ体験を抱える人は、過去の辛い出来事がフラッシュバックとして突然思い起こされることがあります。特に、自分を脅かす人物との生活を強いられる場合、この症状はより激しくなることがあります。このような状況では、心臓が激しく鼓動し、体は警戒状態に入ります。本能的には、この高まったエネルギーを使って戦ったり逃げたりする準備をします。しかし、実際には戦うことも逃げることもできないという先入観があるため、このエネルギーは体内で閉じ込められ、胸や喉、首、背中に圧迫感を生じさせます。これが原因で、身体が動かなくなることがあります。

このような状態が長期間続くと、体の自然な動きが抑制され、心臓の機能が低下し、反応が鈍くなることがあります。交感神経の機能も低下し、身体と精神の健康が蝕まれていきます。この結果、思考やイメージを形成することが難しくなり、自己表現も困難になります。

トラウマとストレスがもたらす心身の黒化:二グレド化現象

長期にわたるトラウマとストレスにより過剰な緊張感と警戒心が強まった人々は、炎症や筋肉の硬化、血管の収縮などによる痛みが年月と共に蓄積され、心と体が闇に包まれ、衰弱し、まるで腐敗しているかのように感じます。これは「黒化」または「二グレド化」と呼ばれる状態で、トラウマによる心の傷が体に肉体的な影響を及ぼし、暗く重苦しい状態へと導くものです。

うつ病は、ストレスに対する生体反応である視床下部-下垂体、副腎皮質(HPA)系統の低下や、神経可塑性の障害、神経炎症の原因により、副腎疲労となり、これによりホルモンの分泌が不規則になり、身体の免疫機能が低下します。この結果、炎症を抑えることができず、アレルギー、頭痛、腹痛、消化不良、吐き気、下痢、めまいが頻発し、傷ができやすくなり、粘膜もただれてきます。

心の深部にある闇が暴走し始めると、全てが怖くなり、被害妄想にとらわれます。また、ストレスや緊張が強くかかると、体内の液体や水分量、ホルモンの状態が変わってきます。ストレスが長期化し、慢性的なものとなると、皮膚の損傷が明らかになり、肌の色調や性質に影響を及ぼし、顔や身体の肌色は黒ずんでいきます。さらに、心臓へのダメージも現れ、脳の体積が縮小し、感染症にかかりやすくなることもあります。

心と体が同時に弱体化してしまうと、ストレスに対して反応が弱くなり、全体的な体調も悪化します。次第にトラウマは慢性化し、身体を蝕んでゆき、深部から痛みをもたらす無形の存在となります。それはまるで生き物のように身体内部のあらゆる部分に宿り、肥大化し、次第にその人の表情や感情を奪い去ります。その結果、顔は暗くなり、感情を表現する力が弱まります。筋肉も同じくトラウマの影響を受け、自分を守るためにある部分は収縮し、別の部分は力を失います。また、五感の鋭さも衰え、体性感覚や内臓感覚、生き生きとした感覚も失われます。

この症状は、身体の全ての部分に影響を及ぼします。表情を作る筋肉、神経、骨、血液、皮膚、内臓、そして体液まで、全てがトラウマの影響下に置かれます。この結果、皮膚の色が褪せ、さらに黒ずんでいき、体全体が腐敗しているかのような感覚に襲われます。体の温かみや水分が失われてしまい、体はガチガチの塊と化します。こうして心身はまるで泥沼に包まれたような感じになり、心地良い感覚を何一つ感じることができなくなります。そして、ただ気分が悪くなり、体が冷たく硬くなり、小さくなってしまい、最終的には動けなくなり、寝るしかない状態になります。

子供時代の環境が引き起こす自己消耗:過労からうつ病の道程

人々がうつ病に陥り、暗く落ち込む状態になることは、多くの場合、困難な環境で育つことに関連しています。特に、親が家庭の支配的存在であり、子供が親の感情や都合によく影響される状況がその一例です。このような家庭で育つ子供たちは、幼い頃から受け身の立場となり、親や兄弟の指示に従うことが常となります。結果として、親や兄弟から虐待を受けたり、自己否定的な経験が増えたりします。

親の要望や感情を優先させ、その期待に応えることが生活の目標となり、自分が何のために生きているのか、自分自身の欲求や目的は何なのかが見えなくなります。他人の要求に対応し続けることで、自我が疲れ果て、自己の意志や希望が徐々に消えていくのです。

自分の生きる目的について考え始めると、深く刻まれた疑問、「私は何のために生きているのだろうか?」が浮かんできます。この問いは、親の期待に応え、親の感情を読み取ってそれに合わせることに一生懸命になってきた自分自身に対する疑問として浮かび上がります。

このような家庭環境で育つと、自分自身の価値を他人、特に親の要求に応えることに見出す自己像を形成します。その結果、自分自身の要求や目標を見つけるのが難しくなり、自分の存在は他人に合わせるべきものだという考え方が強化されます。これは自己矛盾や不満を引き起こし、心の健康に深刻な影響を及ぼします。

このような状況は、時々、完璧主義や強迫性障害などの問題を生じさせます。不安感が増し、自分を確認し続ける行動が多くなり、親の不安や緊張、気難しさを和らげるために自分自身を駆り立てます。親の感情に左右され、自分自身を保護するために何度も動き回り、それが絶え間なく続きます。

生きていくためには、必要なことを行わなければならないので、疲れて動けないときでも、自分を無理に動かすことが求められます。このような生活が続けば、疲労困憊して動けなくなっても、動かなければならないという圧力から、身体を過度に酷使することになります。

その結果、身体は過労状態に陥り、多くの制約が必要となります。学校での失敗が続き、人間関係や経験の範囲が狭くなり、生きていくこと自体が困難になり、最低限の身体機能を使って生活するしかない状況になります。その状態では、心と体が疲れ果て、エネルギーが尽きてふらつくようになり、ベッドから起き上がる力さえなくなります。

トラウマの影響:内向性、自己消失と「ニグレド」への転落

トラウマを抱えた人々は、人目を恐れ、他人の視線を感じると石のように固まるため、視線を下に向けて生活します。人々と対等に関わることが困難になり、自己肯定感が低下し、内向的で卑屈な姿勢をとることになります。これは無力感や劣等感が強くなるためです。

人目を避け、注意を引かない生活を送るため、次第に周囲とのつながりが希薄になり、自身の存在感が消えていきます。現実の場面でトラウマが引き金となってしまうと、まるで糸が切れたように自分を隅に追いやり、身体を固まらせ、存在感を消失してしまうのです。

外界の刺激に対する反応が心身ともに減退してくると、エネルギーは枯渇し、長期的な不活動状態へと陥ります。このような不動化が進行すると、日常生活の動作、たとえば仕事へ行くことや学校に行くこと、外に出ることが困難に感じるようになり、現実世界全体が煩わしいものに感じられます。食欲や性欲が失われ、自己の身体をケアする能力が失われ、衛生面も無視するようになります。

虚脱感が強くなると、これらの状況に加えて、病院に行く意志がなくなり、身体や精神に異常が現れてもそれらをケアする行動をとらなくなります。医療の手を借りることもなく、日々の身だしなみへの配慮も消え、引きこもることが日常となります。病気になったとしても自分自身をいたわることなく、身体は腐敗と混沌の中に落ちていきます。これはアルケミーの「ニグレド」の段階、すなわち黒化や分解の象徴です。

そこは、自己の影と深く向き合う闇の世界。皮膚が黒ずんでいき、目は虚ろになり、自我が失われていきます。この状態にあると、お風呂に入ることすら求められず、汚れたままの自己に気づかなくなります。全身の衰弱を感じながら日々を過ごします。ストレスや緊張が心の中に常在することで、心身ともに硬直し、崩壊していって、立ち上がる力さえも奪われ、動けない状態になります。

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トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-06-17
論考 井上陽平

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