適応障害になりやすい人の特徴をチェック

精神疾患

適応障害とは、ある出来事や環境の変化に対して、適切な対応を取ることができず、身体的・心理的な問題を引き起こす状態を指します。彼らは、自分の置かれた環境に適応できず、不安や抑うつ感が出て、学校に通えなくなる、会社に行けなくなる、人間関係でつまづくなど様々な症状や問題に悩み、社会生活に支障をきたします。

適応障害になりやすい人の特徴や原因

適応障害は、ストレスが原因で生じる精神疾患です。適応障害の人は、ストレスによって感情的または行動的な症状を示すことがあります。適応障害は、うつ病や不安障害などとは異なり、ストレスが取り除かれれば症状が改善することが特徴です。

環境的要因か個人的要因か

適応障害は、場所が悪い(環境的要因)か、本人の耐性の無さ(個人的要因)の両方が深く関係しています。

場所が悪い(環境的要因)というのは、職場や学校などのストレスフルな環境、セクハラやパワハラ、いじめなど人間関係のトラブル、家庭内の問題や病気などが挙げられます。これらの状況が継続すると、ストレス反応が蓄積し、適応障害を引き起こすことがあります。また、災害や事故などの外的要因が原因となって適応障害を発症することもあります。

一方、本人の耐性の無さ(個人的要因)としては、ストレス耐性の低さ、傷つきやすさ、感受性の強さ、自己肯定感の低さ、対人関係において問題を抱えていること、過去にトラウマを経験していること、生活習慣や健康状態などが挙げられます。これらの要因が重なると、ストレスに対する抵抗力が弱まり、適応障害を発症するリスクが高くなります。

例えば、職場の中で不適応に陥り、出勤できなくなる原因には、職場の環境やその個人のストレス耐性が関係しています。職場の環境が非常に悪い場合、例えば上司や同僚からの嫌がらせ、ハラスメント、業務負荷が過剰であったり、待遇や評価に不満がある場合など、仕事のストレスが蓄積され、精神的に不安定になることがあります。一方、個人のストレス耐性が低い場合、ストレスを受けやすく、ストレスに対する適応力が低いことが原因となります。個人差がありますが、過去のトラウマや精神的な病気、生活環境、身体的な健康状態などがストレス耐性に影響を与えます。

トラウマ的な問題

適応障害になりやすい人々の中には、トラウマを抱えていることが原因である場合があります。トラウマは、強いストレスを引き起こす出来事や体験によって引き起こされる心的外傷です。例えば、虐待、暴力、性被害、自然災害、戦争、交通事故、怪我などが挙げられます。トラウマを経験した人は、その出来事や体験を思い出すと、非常に強い不安や恐怖を感じることがあります。また、トラウマを経験した人は、心の傷が深く、回復することが難しい場合があります。

トラウマを経験すると、人々は常に過剰な警戒心や不安を感じ、自分自身や周りの人々に対する不信感を抱きます。また、過去の出来事に強く執着したり、自分自身を否定的に見たり、感情的に不安定で、怒り憂鬱感を抱くことが多くなります。

トラウマ理論から説明すると、トラウマを抱える人は、嫌悪刺激や不快な状況に対して、自律神経の調整不全が生じやすく、身体的反応として闘争/逃走モード、凍りつき、解離、虚脱などを引き起こすことがあります。このような反応は、トラウマ体験の痛みや恐怖感によって引き起こされ、自律神経系が過剰に反応しているために現れるものです。

生活の中で頻繁に嫌悪刺激や不快な状況に曝されることで、トラウマを抱える人は心身ともに疲れ果て、体調不良に陥ることがあります。また、このような環境に適応することが困難になり、社会的な生活に支障をきたすこともあります。

例えば、複雑なトラウマを抱えている人は、過去の経験から心に傷を負っているため、孤独や不安を感じやすく、自己防衛的な態度をとることが多くなります。特に、特定の人物に対して苦手意識を持ってしまうことがあり、自分がその人物から脅かされている被害者であると感じてしまうことがあります。このような病的な被害妄想から、過剰なストレスに曝され、その場に居られなくなって、適応障害を引き起こす可能性が高くなります。

感受性が強すぎる

適応障害になりやすい人々の中には、感受性が強すぎるという特徴があることがあります。感受性が強い人は、環境や社会的な状況に対して、より敏感で反応しやすい傾向があります。これは、身体的な刺激や感情的な出来事など、あらゆる種類の刺激に対して強く反応することを意味します。感受性が高い人は、より深い感情を持ち、より豊かな内面の世界を持っていますが、同時に、ストレスやプレッシャーに対しても強い反応を示し、適応障害に陥りやすくなります。

具体的には、感受性が強すぎる人は、ストレスやプレッシャーに対して、非常に強い反応を示すことがあります。彼らは、ストレスに対して過敏に反応し、対処することができなくなることがあります。また、彼らは、自分自身を否定的に見る傾向があり、自己評価が低く、自信がなくなりやすくなります。さらに、彼らは、周囲の人々の感情に敏感であり、その影響を受けやすくなるため、他人の評価に過剰に気を配ることがあります。

感受性が強い人が適応障害に陥りやすい理由の1つは、ストレスに対する反応が強いため、ストレスに対処するための適切な方法を見つけることが難しいことが挙げられます。彼らは、ストレスを避けようとする傾向があり、問題に直面することを避けることがあります。また、彼らは、自分自身を否定的に見る傾向があるため、自分に対する過剰な要求を抱きやすく、ストレスに対処することができません。

ストレス耐性が低い

適応障害になりやすい人は、ストレス耐性が低く、ストレスに対する適切な対処方法を持っていないことが多いとされています。ストレス耐性が低い人は、ストレスに対して過剰に反応してしまうことがあります。たとえば、ストレスが原因で心身に症状が現れた場合、ストレス耐性が低い人ほど症状が強くなる傾向があります。また、ストレスによって気分が落ち込んでしまう、集中力が低下する、疲れやすいといった症状が現れることがあります。

このような症状が現れると、ストレスに対する適切な対処方法が見つけにくくなります。適応障害に陥る人は、ストレスに対して否定的な思考に陥ってしまい、ストレスを解消する方法を見つけることができません。

傷つきやすい

適応障害になりやすい人として、傷つきやすい人が挙げられます。傷つきやすい人とは、様々な状況や人との交流で、他人からの否定的な言動や行動に敏感に反応し、傷つきやすい傾向がある人のことを指します。このような人は、自己評価が低く、自信がなく、自分自身を受け入れられていない場合があります。また、過去にトラウマや傷つきの経験をしている場合が多いです。

傷つきやすい人は、ストレスに弱く、ストレスを感じると身体的な症状(頭痛や腹痛、めまい、パニック発作、不眠、食欲不振など)を引き起こすことがあります。また、過剰に反応するため、自分自身や周囲の人々に負担をかけることがあります。さらに、自分を責めたり、否定的な感情を持ち続けることで、うつ病や不安障害などの精神的な問題を引き起こすことがあります。

母親など家族が原因

適応障害になりやすい人々の中には、子どもの頃から母親との関係や家族の問題を抱えていることが原因である場合があります。家族問題とは、親の離婚、虐待、DV、アルコール依存症、精神疾患、貧困など、家族内での問題のことを指します。子どもたちは、これらの問題に直接的あるいは間接的な影響を受けることがあります。例えば、虐待されたり、見捨てられたり、心配されたり、叱られたりすることで、ストレスや心理的な負荷を抱えることがあります。

家族の問題に直面することで、子どもたちはストレスにさらされ、過剰な責任感を抱く、他人に依存しやすい、対人関係に問題を抱えやすい、自分自身を否定的に見る、自己防衛的な行動を取る、ストレスに対処する能力が低い、精神的、身体的な症状が現れるなど悪影響を及ぼす可能性があります。家族の問題を抱えた子どもたちは、親に対する不信感や自己評価の低下、また自分自身に対する負のイメージを抱くことがあります。また、家族の問題によって、親や兄弟姉妹との関係が悪化することがあり、子どもたちは対人関係の問題を抱えることがあります。

例えば、機能不全家庭で育つ場合、不穏な行動をする親や兄弟がいるため、家族関係の中で緊張や警戒心が高まり、体が過剰に反応してしまうことがあります。このような状況下で、感受性が強すぎる子どもは、家族が崩壊しないように、常に取り繕って無理に明るく振る舞い、家族の仲裁役になろうとします。しかし、いくら頑張っても、家族の問題が解決しないと、苦しみの限界に近づいて、社会の中で適応できなくなる可能性があります。

環境側の問題

適応障害は、職場や学校の環境が悪く、過剰なストレスがかかる場合に発症することがあります。職場や学校の環境が悪くなる原因としては、人間関係の問題、業務内容や学習内容の過度な難易度、過剰な負荷や時間的制約、ハラスメントやいじめなどが挙げられます。これらの環境が継続すると、ストレス反応が蓄積し、適応障害を引き起こすことがあります。

適応障害になりやすい人は、職場や学校の環境が悪化すると、過剰なストレスを感じ、身体的な症状を引き起こすことがあります。また、ストレスに対する適切な対処法を知らない、自己評価が低く、過剰に自己批判的である、他人の評価に過度に敏感である、といった要因があるため、ストレスに弱い傾向があります。さらに、自分を責めたり、否定的な感情を持ち続けることで、うつ病や不安障害などの精神的な問題を引き起こすことがあります。

適応障害の対処法

適応障害は、ストレスに対処するための能力が低下し、日常生活に支障をきたす状態を指します。トラウマによる過覚醒状態が継続すると、ストレスに適切に対処できなくなり、適応障害に陥る可能性があります。そのため、トラウマを抱えた人は、自分が感じる不安や苦手意識を認め、過剰に反応することなく、自分自身を守ることができるようなストレス対処法を身につけることが重要です。例えば、自分にとってストレスの原因となる人物との接触を避ける、ストレス発散法を取り入れる、専門家のアドバイスを受けるなど、適切な対処方法を見つけて、過剰なストレスを避けることが大切です。

適応障害を予防するためには、職場や学校の環境改善やストレスを減らすことや、ストレスをうまくコントロールする方法を学ぶことが重要です。ストレスを解消する方法としては、運動や趣味、リラックスすることなどがあります。また、自己肯定感を高めたり、食生活の改善や睡眠の改善、ストレス管理、リラックス法を学んだりすることで、ストレス耐性を高めることもできます。必要に応じて、心理療法やカウンセリングを受けることで、ストレスに対する適切な対処方法を身につけることができる場合もあります。自分自身のケアを怠らず、ストレスと上手に付き合っていくことが、適応障害を予防する上で重要なポイントとなります。

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トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-02-22
論考 井上陽平

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