自然の中で過ごす癒し効果|森林浴でストレス解消

心理テクニック

自然と接する経験は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、解離性障害、または特定の原因が見つからない身体的症状など、各種のトラウマに苦しむ人々にとって大いに有益であると言われています。同様に、発達障害がある方や、機能不全の家庭環境で成長した人々も、自然の中で過ごすことから恩恵を受けることが可能です。

当相談室は、六甲山の登山道までわずか徒歩5分という便利な立地に位置しています。この身近な自然を利用し、参加者たちは豊かな自然を体感したり、森林浴を楽しむことができます。

都市生活の疲労やストレスはしばしば、生体機能の異常、自律神経の調整不全、感覚過敏といった問題を引き起こします。しかし、自然に触れることでこれらの問題に対処し、心と体の癒しを促進することが可能です。緑豊かな環境に囲まれ、森林の香りを感じ、静寂を耳にすることで、参加者たちは日々の生活の中で溜まった疲労を癒すことができます。このように、自然との触れ合いは、身体的、精神的健康の回復を助ける重要なツールとなります。

自然との接触:発達障害を持つ子どもの心と体の成長

発達障害のある子どもたちにとって、自然の中で過ごすことは大いに役立つかもしれません。自由な大空間で、感情を出すことや体を思い切り動かすことは、彼らにとってとても重要です。また、一人で過ごす静かな時間も、彼らにとって有益です。

一方で、発達障害のある子どもたちは、学校や他の社会的な場所では、他の子供たちと同じように行動することが期待されます。しかし、それができないときには、恥ずかしさを感じたり、叱られたりすることがあります。このような経験が続くと、子供たちは世界を恐ろしい場所と感じ、心が閉ざされてしまう可能性があります。

厳しい状況や脅かされる経験が続くと、子どもたちは自己防衛的な脳に支配されます。その結果、警戒心を強め、予想外のことに対して注意を払い、事前に予想した通りに事が運ぶように、同じ行動を繰り返す傾向があります。これが続くと、子供たちの純粋さが失われてしまう恐れがあります。

しかし、自然の中で、感覚をフルに使って過ごすことができる環境は、子供たちにとって救いになることが多いです。自然の中では、深呼吸をしたり、思い切り身体を動かしたりできます。このような体験は、子供たちの心と体の癒し、そして困難に立ち向かう力を育てるのに役立つのです。

試練を乗り越えて見つける自然の癒しと調和

ある種の困難や試練は、しばしば人間の感受性を高めることがあります。特に、発達障害や初期のトラウマにより苦労を重ね、人間の醜さを目の当たりにしてきた人々は、自然の安らぎと美しさに対する感受性が研ぎ澄まされる傾向があります。

自然は、その穏やかさと普遍性により、たとえ心が疲弊していても癒しを与える力があります。木々が風に揺れ、川がゆったりと流れ、鳥たちが歌声を響かせる風景は、静寂と調和の中に存在します。自然の中で、心の傷や苦痛は少しずつ癒され、美しさの感覚はより一層深まっていきます。

自然の欠如を経験した人々にとって、山や森の中で過ごす時間は特別な意味を持つことが多いです。彼らは自然の中で遊んだり、活動したりすることで、新たな力を培い、生命力を再び取り戻すことができます。大地を歩き、空気を吸い込み、自然の音を聴くことで、彼らは自然との深い絆を感じ、内なるバランスを回復することができます。

自然との関わりは、生命のリズムに調和し、心の中に平静をもたらします。人間は自然の一部であり、自然との絆を通じて、自身の存在とその意味を再確認することができます。自然との関係を保つことは、自分自身との調和を保つことでもあります。このような経験を通じて、人々は自然の美しさとその力を深く理解し、自己のバランスを見つけるのです。

自然セラピー:自然との接触を通じた心身の癒しと自己再生

自然セラピーは、大自然とその中の生命体に直接触れ、木々や草、花、山などから溢れ出る生命力を感じ取ることを通じて、私たち自身の内側を癒し、再活性化する方法です。平坦な道を歩くのではなく、岩場を慎重に一歩一歩踏みしめて歩く経験は、私たちが直面する可能な危険を認識しながら、同時に自分の身体への注意を向けるというマインドフルネスの練習となります。

大自然に身を任せることで、心は次第にリラックスし始め、腹側迷走神経が活性化し、交感神経の働きを抑える効果が見られます。具体的な活動としては、山の岩場で瞑想をしたり、目を閉じて大地に寝転がったり、大自然の中を歩いたり、未知のエリアを探検したりすることが含まれます。これらの活動を通じて、精神的機能と身体の内側からの自己回復能力が刺激されます。

大自然の美しさと力強さに引き込まれると、私たちが過去に身につけた不適切な代償行動が自然と薄れ、頭がクリアになり、新しい行動パターンが生まれやすくなります。このような経験は、人生の視野を広げ、人生観そのものを一新する力があることさえあります。つまり、自然セラピーは、自然の中での経験と自己反省を通じて、身体的、精神的な癒しをもたらすとともに、生活の質を高める有効な手段と言えるのです。

自然セラピーのパワー: 心と体への良い影響

自然療法がうつ病などの改善に役立つ理由は、科学的に人間の心と体に良い影響を与えることが証明されているからです。

まず一つ目に、植物が行う光合成により生産される清潔な酸素の効果があります。植物は光合成を通じて酸素を作り出します。人間がこの新鮮な酸素を深呼吸することで、体内に純粋な酸素がたっぷりと取り込まれます。これにより、血液や肺が浄化され、体全体の健康を維持するのに役立ちます。

二つ目に、森林はマイナスイオンが豊富で、その自然の香りが心地良さをもたらすことがあります。緑豊かな自然の香りは、気分をリフレッシュし、私たちが本来の自然体に戻るのを助けます。

そして三つ目に、目で見て感じる自然の風景の効果があります。木々の緑色や自然の景色は人工的なものとは異なり、自然の力で形成されています。これらの風景に囲まれることで、日々の仕事のストレスや人間関係、人工的な環境から解放され、リラックスすることができます。これら全てが自然療法が私たちの心身の健康に良い影響を与える理由です。

自然セラピーの効果を実感するためには、一回だけや短時間の体験ではなく、継続的な取り組みが必要です。たとえば、一時的に自然に触れても、都市生活に戻るとその状態は容易に元に戻ってしまう可能性があります。

治療に対する最適なアプローチは、1カ月に少なくとも2回、そして少なくとも3カ月以上の期間を通じて自然療法に取り組むことです。都市生活では、しばしば他人の反応を伺い、自分自身を表面的に調整することが求められます。それとは対照的に、自然の中では、自分の体と感情に対する感覚を育てることができます。

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トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-07-23
論考 井上陽平

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