他人から注意や指摘を受けると、生理的に過剰に反応して、一瞬の興奮から泣いてしまう人についてまとめています。彼らは過去に強い痛みを伴う感情的な体験を学習しており、苦痛を感じる傾向があります。
注意された時の涙の心理学
注意されるとすぐに泣いてしまう人々は、しばしば、内面的な不安や恐れを抱えています。このような反応は、怒られることへの恐怖や、怖いと感じる人が近くにいるだけで生じることがあります。特に、厳しい声をかけられたり、強い表情をされたりすると、彼らは一瞬で強い興奮状態に陥ることがあります。この瞬間、彼らの感情は急速に高まり、自己防衛のための身体反応が現れるのです。
この時、二つの反応が一般的に見られます。一つは、身体が麻痺して固まってしまうこと。これは、恐怖や不安から逃れようとする内面的な反応です。もう一つは、反対に、その場から離れようとする逃避反応です。どちらの反応も、本人にとっては無意識のうちに起こる防衛機制です。
これらの反応は、最終的に涙を誘発することがあります。涙は、内に秘めた感情の圧力が高まり、それが外に溢れ出る形となるのです。涙を流すことで、人は無意識に感情の圧力を解放し、心理的な安堵を求めることがあります。
注意や指摘に敏感な人の特徴
他者から注意されることに敏感な人は、人から注意や指摘されるのではないかと恐れると、生理活動が活発になります。彼らはまた、人に対して警戒し続けて、危険を感じると戦うか逃げるか、凍りつくか麻痺する反応を示すことがあります。
表情や言動の誤解
他者の表情や言動を否定的に捉えることが多く、些細なことでも自分への批判や否定と捉えてしまうことがあります。例えば、他者が無表情でいるだけでも、自分に対する不満や怒りと感じてしまうことがあります。
過剰な反応
他者からの注意や指摘に対し、過剰に反応してしまうことがあります。時には、他人から見れば些細なことであっても、注意されたことを大きな問題として捉え、自身の価値や能力が低いと感じることで、強いストレスや不安を引き起こすことがあります。
完璧主義
他者から注意されることが怖く、失敗を恐れるあまりに、全力で取り組んだり、完璧主義を追求することで欠点を補おうと努力します。ただし、この方法の欠点として、しばしば強い不安を感じることがあります。
自分を守るための防御機制
敏感に反応することは、自分を守るための防御機制として働いていることがあります。他者からの注意や批判を先回りして感じ取ることで、自分を傷つけられないようにしようとする心理が働いていることがあります。しかし、この防御機制が過剰に働くことで、かえってストレスや不安を増大させることがあります。
人間関係の影響
周囲からの意見や評価に敏感に反応することで、自分の行動や言動、人間関係にも影響を与えることがあります。他者とのコミュニケーションがうまくいかなかったり、誤解やトラブルが生じることで、さらに自己評価が低下することがあります。
注意や指摘に敏感になる原因
他者に注意されると泣いてしまい、落ち込んでしまう原因は、神経の繊細さや最善を尽くす頑張り屋さん、ストレス耐性の弱さ、生物学的な脆弱性を持っている可能性があります。これらは生物学的な要因、遺伝的要因、環境要因など様々な要因が考えられますが、一般的には以下のようなものが挙げられます。
最善を尽くす頑張り屋さん
注意されるだけで涙を流す人の背後には、他者がなかなか理解しきれない深いストレスや疲れが存在することが多い。たとえば、大切な仕事や試験が終わった時、彼らがこれまで心に溜めてきた感情や疲れが、突如として涙となって溢れることがよくあります。これは、彼らが自分を極限まで追い込み、最善を尽くしてきた結果の現れと言えます。静かな瞬間に、彼らの心の中の疲れやプレッシャーは、涙としてひっそりとその存在を知らせてくるのです。
過去の経験によるトラウマ
過去にトラウマを経験した場合、それに関連する状況が発生した場合に、落ち込んで泣いてしまうことがあります。例えば、虐待やネグレクト、いじめなどトラウマ的な体験から、極端に反応しやすく、容易に感情的になる傾向があります。他者から注意や指摘される際に、「非常に怒られた」「恐ろしい」といった恐怖の感情だけが残り、落ち込んで泣いてしまうという要因になっている可能性があります。彼らは親から怒られたり、注意されたりすることが多く、泣いて謝ることしかできなかった経験をしているかもしれません。また、怒られたり、注意されたりすることに強烈な感情的苦痛を経験して、極度の悲しみや不安が出てくる可能性があります。
自己評価が低い
自分自身を過度に評価が低い場合、他者からの注意や批判を受けると、自分自身の価値を否定されたと感じることがあります。例えば、自信を失いやすく、自己嫌悪の感情が強いため、他者からの些細な注意事項でさえも大きなプレッシャーと感じ、心に重たい負担がかかります。これが、過剰な反応や深い憂鬱、深い恥ずかしさを感じることにつながる要因となり、感情を抑えるのが困難となって、突然涙が流れることがあります。
繊細な性格
繊細な性格とは、人や環境の変化に敏感で、感情が豊かでありながら、ストレスや他者からの評価に強く影響を受けることが多い性格のことです。彼らが他者からの注意や批判を受けた場合、敏感に反応して、自分が否定されたり不十分だと感じることがあり、落ち込んで泣いてしまう傾向があります。これは、自己評価が低く、自分の感情を抑えることが難しく、他者の意見に大きく左右されることが原因であることが多いです。
繊細な神経
神経が繊細な人は、他者からの注意や批判に対して過敏に反応し、抵抗しがたい衝動に襲われて、体が動かせず凍りついてしまうことがあります。この状態は、フリーズと呼ばれ、交感神経と副交感神経が高度に活性化した状態で、恐怖や不安、極度の緊張になり、体を震わせながら涙が溢れることがあります。
気が弱く体力がない
幼いころから気が弱く、泣き虫な人は、他者からの注意や批判が怖くて、泣く反応をしてしまうことがあります。彼らは、幼少期から体力や気力に欠けており、辛い状況に耐え忍ぶしか選択肢がない状態で過ごしていました。できるだけ冷静に、過剰な反応を抑えるよう注意しているものの、自分が弱ってるときほど感受性が高まり、結果として涙が流れてしまうことがあります。
精神的な病気
うつ病や不安障害などの精神的な病気を抱えている場合、他者からの注意や批判に対して、強い反応を示すことがあります。精神的な病気から、絶望感や悲観的な考えに陥り、感情がコントロールがうまくできなくなり、涙脆くなることがあります。
これらの原因はあくまでも一例であり、個人差があります。また、落ち込んで泣いてしまう理由は、複数の原因が絡み合っている場合があります。
注意されて泣いてしまう人の具体例
他者に注意されると落ち込んで泣いてしまう人の具体例です。
例えば、注意されて泣いてしまう人は、他者に注意や指摘を受けて、失敗が原因で他者に迷惑をかける結果となった際、その悔しさや申し訳なさから涙が溢れてしまいます。また、他者の誤解や、全く身に覚えがない事柄で注意されたり責められたとき、非常に悲しく感じます。特に、心にとって大切な人や尊敬している人から誤った解釈に基づく注意を受けた場合、しばらくの間、落ち込んで涙を流すことがあります。
具体例:小林美咲さん(仮名、27歳、会社員)
小林美咲さんは、仕事でミスが発覚した際、上司から注意されると落ち込んでしまうタイプの人です。ある日、美咲さんが担当していたプロジェクトの重要な報告書に誤りがあったことが判明しました。上司は美咲さんにそのミスを指摘し、改善するように言いました。
美咲さんは、自分のミスによってチームに迷惑をかけたこと、また他者から注意されることがとても辛く、仕事場のトイレで泣いてしまいました。その後、美咲さんは自分の感情を整理し、ミスを修正しましたが、注意されるたびに落ち込んでしまう性格は変わらず、自分の感情をコントロールする方法を学ぼうと考えていました。
この例のように、他者から注意されると落ち込んで泣いてしまう人は、自分のミスや不十分な点に対する責任感が強いことが一因となっていることがあります。また、自分に対する期待やプレッシャーが高いため、注意されるとそれが自己評価の低下や自己否定につながってしまうことがあります。
これはあくまでも一例であり、他にもさまざまな状況が考えられます。個人差があるため、同じ状況でも人によって落ち込み方が異なる場合があります。
注意を受け止める方法
このような人にとって、注意されることが強いストレスや不安、過緊張となる場合もありますが、注意を受け止める方法や感情のコントロール方法を学ぶことで、成長や向上心を持って対処することができるようになります。
例えば、ポジティブなフィードバックも積極的に受け取ることで、自分への評価を客観的に捉えられるようになることがあります。また、注意されたことを具体的な改善点と捉え、次に活かすことで自己成長につなげることが大切です。そのため、以下のような方法が役立ちます。
- 深呼吸や瞑想などのリラクセーションテクニックを学ぶことで、注意されたときの感情の波をコントロールしやすくなります。
- 自分の長所や過去の成功体験を振り返ることで、自己評価を上げ、注意されたときにも自分を否定しない心の余裕を持つことができます。
- 注意された内容を具体的な改善点と捉え、それを次の行動に活かすことで、自分のスキルや能力を高めることができます。これにより、注意されることが成長の機会と捉えられるようになります。
- サポートグループや友人、家族などとコミュニケーションを取り、感情を共有することで、気持ちの整理ができ、適切な対処法を見つけることができます。
当相談室では、注意されると泣いてしまう落ち込んでしまうことに関するカウンセリングや心理療法を希望される方に対し、ご予約いただけるようになっております。予約は以下のボタンからお進みいただけます。

トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-03-27
論考 井上陽平
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