罪悪感が強い人|後悔がいっぱいになる病気

心の病気

罪悪感とは、自分が何か悪いことをした、またはしていると感じる内面的な感情や苦痛のことを指します。自分が他人に対して不適切な行動をした、または義務や規範に違反したと感じた場合、罪悪感が生じることがあります。

罪悪感は、社会的規範や道徳的価値観に基づいて形成されます。例えば、社会的に許容されない行動を行った場合、その行動に対する罪悪感が生じることがあります。また、自分自身が自分の持つ価値観に反する行動を取った場合にも、罪悪感を感じることがあります。

罪悪感が強くなるメカニズム

罪悪感が強い人は、自分自身に対して過度な自己責任感を持ち、失敗や他人に迷惑をかけた場合に強い自責の念を感じる傾向があります。彼らは過度な気遣いや思いやりがあり、自分自身を厳しく批判することがあります。

虐待や厳しく躾けられている子どもは、その親の行為を正当化するため、自分自身が悪い子だと結論することが多くなり、罪悪感が強くなる原因の一つになります。親から理不尽なことをされて、その酷い現実を回避することが不可能な場合、子どもは、自分自身が原因であると感じて、罪悪感や自己責任感が強まることがあります。

別の言い方では、子どもは、生活の全てを親に依存しないと生きていけませんが、よく不機嫌になる親の場合、不機嫌にさせているのは自分が何か悪いことをしたからだと感じるのと似ています。また、子どもは、自分を守ってくれるはずの親が実は危険や恐怖を与える場合でも、その意味を理解することはできず、親が怒っているのは自分が悪いことをしたからだと考えることが一般的です。

劣っていると自覚したときの感情

罪悪感は、自分自身を他人と比較する際に、自分が劣っていると信じるときに発生する感情です。この感情は、人間が社会性のある生き物であるため、自己評価が低下する要因が多岐にわたることが原因となっています。また、動物の端くれである人間は、体格の大きな個体が強く、小さな個体ほど支配されやすくなっているため、罪悪感を抱きやすい傾向があります。幼いうちから、悪い親に支配された子どもは罪悪感を抱きやすくなります。

具体的に、自己評価が低下する要因として、外見や成績、性格、身体性、人間関係、社会的地位などが挙げられます。例えば、他人の成功や魅力的な外見を目の当たりにすると、自分が彼らよりも劣っていると感じてしまい、自己評価が低下してしまいます。また、自分自身が望むような結果を出せなかったり、他人と比較して劣っていると感じる場合も同様です。

このような状況に置かれると、自分自身に自信を持てなくなり、不安が増大し、悪いことに耐えられないという気持ちになってしまいます。罪悪感や自責感などの否定的な感情を抱くことで、自分自身を責めたり、自己嫌悪に陥ってしまうことがあります。

罪悪感の精神力動的プロセス

人が発達早期の段階で耐え難い精神的な苦痛を経験すると、無意識の暗黒面はしばしば批判的になり、自我を攻撃する精神力動的なプロセスが起こります。これによって、原始的な防衛機制が分裂し、投影同一化が生じ、罪悪感や自責感が生まれます。

この精神力動的なプロセスは、人間の心理にとって非常に重要です。耐え難い苦痛に直面すると、人は自分自身を守るために、原始的な防衛機構を使い、自分の負の感情を投影し、他者に押し付けます。これによって、私たちは一時的には苦痛を回避できますが、長期的には、自己否定的な感情を生み出し、自分自身を攻撃する傾向が生じます。

脅かされる状況が続くと

罪悪感が強い人は、子どもの頃から安心感が欠如しており、脅かされる経験が長期に渡って繰り返されていることが多いです。これは、親や家庭環境が安定しておらず、不安定な状況に置かれていたためです。例えば、家庭内での虐待や乱暴な言動、脅迫、親のアルコール依存症や精神疾患などが原因となる場合があります。その一方で、子ども自身がトラウマを抱えていて、神経発達が妨げられているため、荒野に生きるような生き方をしている場合があります。

悪い親のもとで育つ子どもは、自分自身の気持ちやニーズを主張することが、親を不愉快にさせてしまうことが多いです。また、自分自身の気持ちやニーズを無視して親に従うことで、子どもたちは自分自身が間違っていると思い込むことがあります。さらに、親からの否定的な言葉や態度によって、自分自身が悪い子であると思い込むこともあります。このような環境下で育った子どもたちは、成長してからも、周囲の状況に対して不安を感じ、過剰な自己防衛のために自分自身を責め、自分が悪いと思い込む方が安全であると感じます。

神経の繊細さと図太さ

罪悪感が強い人は、一般的に神経が繊細である傾向があります。神経が繊細な人々は、周囲の状況に敏感であり、自意識が過剰で、過度な自己批判や完璧主義的な考え方が原因で、失敗や過ちを犯した場合に罪悪感を感じる傾向があります。彼らは、自分自身が周りの人々に迷惑をかけたと感じ、過剰に反応することがあります。

一方で、神経が図太い人は、罪悪感をあまり持ちません。彼らは、周囲の状況に対をあまり気にせず、自分自身を客観的に評価することができる傾向があります。彼らは、失敗や過ちを犯した場合にも、自分自身を責めることなく、前向きに取り組むことができます。

周りの目を気にする人か自己主張する人

罪悪感が強い人は、周りの目を気にする傾向があります。彼らは、自分の行動や言動が他人にどのように受け止められるかを常に意識し、自分自身を抑制する傾向があります。周りの目を気にするのは、自分自身を守るために他人との関係を維持する必要があると感じるためです。彼らは、自分自身を守るために自己主張することが怖く、他人との関係を損なうことを避けようとします。

一方で、自己主張できる人は、罪悪感をあまり持ちません。彼らは、自分自身の価値や信念を持ち、それを堂々と表現することができます。周りの目を気にしながらも、自分自身を守るために自己主張することができ、自己肯定感が高い傾向があります。

クヨクヨと思い悩むかあまり振り返らないか

罪悪感が強い人は、自分自身の行動や言動に対して、過剰に反省し、クヨクヨと思い悩む傾向があります。自分自身が他人を傷つけたり、間違ったことをしたと感じた場合、そのことを常に思い出し、自己嫌悪に陥ったり、そのことを改めるために反省する必要があると考えます。また、自分自身を否定的に見ることが多く、自己肯定感が低い傾向があります。

一方で、自分のことをあまり振り返らない人は、罪悪感をあまり持ちません。彼らは、自分自身の行動や言動に対して、あまり反省することがなく、自分自身の良いところや成果を自覚し、自己肯定感が高い傾向があります。

罪悪感が強い人の特徴

罪悪感が強い人の特徴を簡潔にまとめています。

自分に厳しく、自分を責める

罪悪感が強い人は、自分自身に対して過剰に厳しい傾向があります。彼らは自分自身を責めたり、自分が達成できなかったことに対して罪悪感を感じることが多いです。このような心理的状態は、彼らが他人の評価や意見に過剰に反応する原因となっています。彼らは、自分が悪いと思われたり、嫌われたりすることを恐れています。

自分をコントロールしようとする

罪悪感が強い人は、自分自身に対して批判的で、完璧主義的な傾向があります。過去の過ちや失敗を思い出し、それを自分の人格的な欠陥と捉えてしまうため、罪悪感が発生します。このような人は、自分自身を責め続けることで、自分自身をコントロールしようとする傾向があります。そして、そのコントロールが難しい場合には、自分自身を傷つけたり、パニック発作になったりすることもあります。

他者からの評価に敏感

罪悪感が強い人は、他者からの評価に過剰に反応する傾向があります。彼らは、自分自身が他人からどのように見られているかを常に気にし、他人とのコミュケーションに不安を感じ、他人の意見に敏感に反応します。また、自分自身を否定することが多いため、他人との人間関係にも影響を及ぼすことがあります。

自己主張が苦手

罪悪感が強い人は、他人との人間関係において、自己主張ができないことがあります。自分自身を否定することが多いため、自分自身を表現することが怖くなり、他人の意見や要望に従うことが多くなる傾向があります。そのため、自分自身の価値観や欲求を表現することが難しく、自己肯定感が低下しています。

過去のトラウマや経験を引きずる

罪悪感が強い人は、過去のトラウマや経験に引きずられて、現在の問題を解決することができず、心に余裕がなく、活力や自信が失われている状態にあります。自分自身がトラウマや過去の出来事に閉じ込められてしまうため、同じ過ちを繰り返してしまうことがあります。そのため、自分自身にとって有益な人間関係や環境を見つけることができず、孤独感を感じることがあります。

過去の行動や言動に執着

罪悪感が強い人は、過去の自分の行動や言動に対して執着してしまうことがあります。彼らは、自分が何か悪いことをしたと感じており、その罪悪感から逃れるために、自己嫌悪や自己否定に陥り、ストレスや不安を抱えることが多いです。また、過去のトラウマや傷を引きずり、自分自身に対して厳しいことが多いため、心の傷を深く抱え込んでしまうことがあります。

過緊張や凍りつき

罪悪感が強い人は、これ以上傷つくことを恐れており、身構える姿勢を取り続けて、体がガチガチに固まっていることがあります。また、自分自身を責めることが多く、常に過去の出来事について考えてしまうため、筋肉が緊張しやすくなっています。

感情や衝動のコントロールの難しさ

罪悪感が強い人は、感情に強く影響される傾向があり、感情をコントロールすることが難しい場合があります。このような状況で、衝動的な行動をとることがあるかもしれません。感情のコントロールが難しく、不穏な行動をして、失敗や過ちを積み重ねていくため、周りの人々に迷惑をかけたと感じ、罪悪感が強くなります。

身体反応が強い

罪悪感が強い人は、現実世界の生々しい刺激に対して嫌悪しやすい傾向があります。不快な状況に遭遇することが多くなり、嫌悪刺激に体が強く反応してしまいます。具体的には、緊張感や不安感が高まり、心拍数や呼吸が速くなるなど、身体的な反応が現れます。また、感情も大きくなり、怒りや悲しみなどの感情がより強くなります。

感情や身体反応に飲み込まれる

不快な状況では、身体反応が強く表れてしまうため、自分自身をコントロールすることが難しくなります。感情や身体反応に飲み込まれて、その気持ちに囚われた人生を生きてしまうことがあります。つまり、自分自身を客観的に見つめることができず、過剰に反応してしまって、感情的になりやすい傾向があります。

自分を認められない、受け入れられない

罪悪感が強い人は、自分自身を認めることが難しく、自分自身を受け入れることができません。また、過去の出来事に対して無意味に反省し、自分自身を苦しめることが多く、自分自身を許すことができません。

罪悪感に押しつぶされそうな人の事例

自分自身が何か悪いことをしたと感じたり、自分自身に対する責任を感じたりする場合に、罪悪感が生じることがあります。以下に、罪悪感を抱くことによく見られる事例をいくつか挙げてみます。

自分が他人を傷つけてしまったと感じる場合

自分の言動や行動が原因で、他人を傷つけたり不快な思いをさせたと感じる場合に、罪悪感を抱くことがあります。例えば、友人との口論で過剰な発言をしてしまったり、職場での行動が問題を引き起こした場合などが挙げられます。

社会的な規範に違反したと感じる場合

不正行為や法律違反を行った場合、または社会的な規範に反する行動をとった場合に、罪悪感を感じることがあります。例えば、盗みを行った、偽装請求を行った、カンニングを行った、不倫を行った、社会的な差別的発言をしたなどが挙げられます。

自分に対する過度の自己要求や期待を抱く場合

自分自身に対して過度の期待や要求を持ち、それを達成できなかった場合に、罪悪感を感じることがあります。例えば、勉強や仕事でのミスを許せず、自分自身に厳しくあたる場合、または、自分自身を厳しく評価し、自己肯定感を低下させてしまう場合が挙げられます。

他人の期待や評価に対して過剰に気を配る場合

他人の評価や期待に過剰に気を配り、それに応えられなかった場合に、罪悪感を感じることがあります。例えば、家族や友人、職場の同僚などからの期待や要求に応えられず、自分自身に対して責任を感じた場合が挙げられます。

他人と比較して自分を評価してしまう場合

他人と比較して自分自身を評価してしまい、自分自身が劣っていると感じた場合に、罪悪感を感じることがあります。例えば、友人や同僚などと比較して自分自身を評価し、自分自身が不十分だと感じた場合が挙げられます。

自分の外見や容姿に対して過度に気を配る場合

自分自身の外見や容姿に対して過度に気を配り、それに達しなかった場合に、罪悪感を感じることがあります。例えば、体型や髪型、肌の状態などに対して過剰なこだわりを持ち、それが満たされなかった場合が挙げられます。

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トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-03-14
論考 井上陽平

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