境界性パーソナリティ障害や自己愛性パーソナリティ障害を持つ人々は、自意識が強く、他者からの批判や拒絶に対する恐れが大きいため、他の人なら簡単に傷つかないような場面でも深く傷つくことがあります。このような敏感さは、彼らの心のバランスを崩しやすく、些細な出来事が原因で爆発的な反動を引き起こすことがあります。
傷ついた感情が抑えきれず、怒りとして現れることが多く、その怒りは職場の同僚たちに向けられることがあります。このような状況は、職場内の人間関係に悪影響を及ぼし、ストレスや不和を生じさせる可能性があります。
境界性や自己愛性パーソナリティ障害
境界性や自己愛性パーソナリティ障害を持つ人々は、過去に複雑なトラウマを経験しており、その結果、心身に深い痛みを抱えて生活しています。彼らはトラウマに関連する記憶を持ち続け、ショックを受けた状態で日々を過ごしています。怒りや不満、恐怖といった感情を抑制することで、疲労や痛みが蓄積され、脳の働きに誤作動が生じることがあります。
脳の誤作動
このような状況下で、脳の誤作動から、交感神経や背側迷走神経の働きに留まり、不適切な行動を繰り返すことがあります。職場内の人間関係において、不適切な怒りや悲しみ、不機嫌さ、激しい感情の発現、そして衝動的な行動につながる可能性があります。
分裂(スプリッティング)
境界性や自己愛性パーソナリティ障害を持つ人々は、他人からの批判や拒絶を避けるために独自の対処戦略を取り入れることがあります。彼らの心理的防衛機制として、白黒思考や二極化の視点を用いて、周囲の人々を敵か味方、善人か悪人といった極端なカテゴリーに分ける傾向があります。その結果、職場環境において分裂や摩擦を引き起こす可能性が生じます。
対人関係の操作性
彼らは、自分の行動が他人に与える影響について深く考察せず、周囲の人々を自分の思うように動かしたいと思います。このような行為には、根拠のない噂を流し、ドラマチックな状況を生み出すことが含まれます。これらの態度や行動は、職場において混乱や不和を招き、他の従業員にストレスや不安を与えることがあります。
競争を好み、ライバルを蹴落とす
境界性や自己愛性パーソナリティ障害を持つ人々は、他者に対して非常に敏感であり、周囲から傷つけられていると感じることがしばしばあります。職場において、彼らは自己中心的な態度を取ることが多く、他者からの認知や評価を重視しています。そのため、協力よりも競争を好む傾向があり、自分の地位や評価を守るために様々な行動を取ります。
彼らは競争の中で自分が不利な立場に置かれることを避けるため、先手を打ってライバルに対処したり、相手を出し抜いて自分の優位性をアピールすることがあります。このような行動は、自分が有利な立場にいるかのように示すことで、自己確認や安心感を得ようとする心理からくるものです。
転職を繰り返す
境界性や自己愛性パーソナリティ障害を持つ人々は、激しい感情によって不安定な対人関係が形成されることがあります。その結果、彼らは職場環境に適応することが難しく、繰り返し転職を経験することがあるのです。
新しい仕事に就く際には、期待や興奮に満ちた幸せな気持ちでスタートします。しかし、徐々に職場内の人間関係や仕事内容に対する不満が募り、イライラや落ち込みが増していくことがあります。このような状況が続くと、彼らは再び転職を決断し、次の職場を探すことになります。
パーソナリティ障害との接し方
境界性や自己愛性パーソナリティ障害を持つ人々と職場でうまく関わるためには、彼らが抱える心身の痛みや感情の抑制が、行動や人間関係に深い影響を与えることを知りましょう。また、彼らの敏感さや競争心に理解を示し、安定した職場環境で働けるように、適切なサポートや対応を行うことが重要です。対人関係の悩みや仕事上の不満を共有できる場を提供し、互いに協力し合う環境を整えることで、彼らが長期的に働くことができる職場環境を整えることができます。
パーソナリティ障害を持つ人と職場で上手く付き合うためには、以下の対応策を考慮してください。
- 理解と共感: パーソナリティ障害の特性に関する知識を持ち、彼らの感情や行動に共感を示すことが重要です。これにより、彼らが安心してコミュニケーションできる環境が整います。
- はっきりとした境界の設定: 彼らとの関係において、適切な境界を設定し、それを維持することが大切です。これにより、彼らの支配的な行動や感情的な波動から自分自身を保護することができます。
- コミュニケーションの強化: 明確で率直なコミュニケーションを心掛け、誤解や不安を招く余地を減らしましょう。また、彼らが感情的になった場合、冷静に対処し、適切なアドバイスやサポートを提供できるように努めてください。
- 職場のサポート体制: 上司や人事担当者に相談し、適切なサポートや研修を提供してもらうことが役立ちます。職場全体で理解とサポートを促進することで、問題の解決が容易になります。
- プロフェッショナルな支援: 必要に応じて、心理学的な専門家の助けを借りて、境界性パーソナリティ障害のある従業員をサポートしてください。これにより、職場での適応力が向上し、問題解決に繋がります。
これらの対応策を取り入れることで、パーソナリティ障害を持つ人と職場で上手く関わることができ、ストレスや不安を軽減し、職場内の調和を維持することができます。
当相談室では、パーソナリティ障害に関するカウンセリングや心理療法を希望される方に対し、ご予約いただけるようになっております。予約は以下のボタンからお進みいただけます。

トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-05-06
論考 井上陽平
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