現代人は、一般的に家庭や学校といった集団の中で成長し、家族を中心に友人や同僚、親しい人とのつながりを持ちながら社会生活を送ります。他者との交流は生存戦略となり、安心・安全と感じられることが多いです。しかし、人間関係に危険を感じたり、防衛的な反応が生じて組織や集団から離れたいと思う人もいます。
トラウマが原因で人間関係に対して過敏になる人々は、組織や集団の中で適応することが難しくなります。社会生活において、警戒心が過剰で、原因不明の身体症状や、闘争、凍りつき、死んだふりといった防衛反応が現れる人は、人間に対する恐怖が一層強まり、アウトサイダーとなることがあります。
アウトサイダーとは?アウトローとの違い
アウトサイダーは、社会の慣習や価値観と対立する立場にあり、その結果として社会から距離を置かざるを得ない人々を指します。彼らは独自の視点や生き方を持っており、周囲とは異なる存在として捉えられることが多いです。一方、アウトローは、法律を無視し、犯罪行為や違法行為に手を染める人々を意味します。彼らは法の支配から逃れ、自分たちのルールで行動することを選択します。このように、アウトサイダーとアウトローは全く異なる概念を表しています。
アウトサイダーの身体的トラウマ
アウトサイダーは、組織や集団に属することによる拘束感を避け、社会の外に身を置きたがる人々です。彼らは逃げ場のない状況や行動が制限される状況に陥ると、身体が凍りついてしまう神経の脆弱さを抱えています。この神経の脆弱さは、彼らが過去に経験した複雑なトラウマに起因することが多く、群れの中での生活は胸が苦しく、息が詰まるような状況を引き起こすことがあります。
アウトサイダーとされる人々は、自由に行動できない制約のある状況に置かれると、圧迫感を強く感じて、原因不明の身体症状が現れることがあります。また、組織や集団の役割や時間、カテゴリーに縛られることを避けたいと願っており、親の過干渉による拘束状態にも耐え難いと感じることがあります。
アウトサイダーの子ども時代
幼少期から厳しいトラウマに直面した子どもたちは、自己同一性を保持することが難しくなることがあります。彼らは自分が自分であるという感覚が弱まり、虚しい感じになります。また、他人に対して劣等感を抱くことがあるだけでなく、自分には根本的な欠陥があると考えることがあります。これらの子どもたちは、親からの虐待やネグレクト、そして兄弟間の差別に苦しみ、理不尽な環境で成長することが一般的です。
本質的には、このような子どもたちは優しさや思いやりを持っていますが、不当な扱いによって心身が疲弊し、損害を被ることが続くにつれて、損得勘定で物事を考え、人間性が失われていくことがあります。親との真実の関係が壊れると、自分の人生がうまくいかないことに対する無関心が増し、他人に対しても関心を持たなくなってしまいます。その結果、親からの愛情を得られないことを受け入れると、子どもたちは人生の道筋が大きく変わり、家族や社会の中での居場所を求めず、部外者の人生を歩むようになります。
アウトサイダーな人の特徴とは
アウトサイダーとは、組織や集団への所属感が薄く、自分が孤立していると感じる人々のことを指します。彼らは親密な人間関係の構築や結婚、出産、愛、仕事といった人生の一般的な喜びを見つけることに対して希望を失いがちです。このような状況は、彼らにとって心に深い傷となり、人間の生活における社会的な繋がりを築く試みに影響を与えます。
緊張感と不信感
アウトサイダーとしての立場から、人々に対する親しみやすさが欠けているため、彼らは自然と他人に対して好意を持つことが難しくなります。この状況は、彼らが必要以上に緊張し、他人に対して不信感を抱きやすくなることにつながります。アウトサイダーは、自分の安全を確保しようとする本能的な反応として、戦いに備える態勢に入ることがあります。
このような心理状態が、彼らと他人との間に敵対的な関係を生み出すことが多く、互いに対立し合ってしまうことが往々にして起こります。アウトサイダーは、自分たちがどれだけ努力しても、周囲の人々との距離を縮めることができず、孤立感を味わうことがあるのです。これは彼らの心に影を落とし、社会的なつながりを築くことをさらに困難にする悪循環となってしまいます。
警戒心が過剰で自分を守る
アウトサイダーとしての人生を送る人々は、過去に不条理なトラウマを経験してきたことが多く、自分自身を守る責任があると深く感じています。彼らは、子どもの頃の無防備さや警戒心の欠如が、自分たちを傷つける原因となったと認識しています。そのため、彼らは過去の自分に対して憎悪の念を抱いていることがあります。
彼らは、子ども時代の無邪気で防衛のない状態が、自分たちを危険な状況や悲しい結果に陥れたと感じています。これにより、彼らは自分たちの内面にわだかまりを抱えることがあります。この感情は、彼らが自分自身を許すことができず、常に心に深い傷を持ち続けることにつながります。
アウトサイダーは、自分を守るために強くならなければならないという信念のもと、日々を過ごしています。彼らは、過去の経験から学び、自分自身に対する警戒心を強化し、二度と同じ過ちを犯さないように努めます。しかし、それは同時に彼らが自分を過剰に守ろうとするため、他人との関係を築くことが難しくなることがあるのです。
アートやクリエイティブな世界で活躍する
アウトサイダーとなることで、組織や集団の圧力から解放され、心身ともに軽く感じることができる。社会の外側から物事を俯瞰する視点が生まれ、独自のアイデアや感性を追求することが可能となります。アートやクリエイティブな活動に没頭することで、新たな自己表現の形を見つけ、他者とは異なる独自の世界観を築くことができる。このような状況は、自己の成長や人生の豊かさを追求する素晴らしい機会となり得る可能性があります。
孤独を楽しむ
家族や学校、地域で理不尽な扱いを受けた結果、自分自身の価値を見出すことができず、徐々に集団から疎外されていく。他者からの批判や拒絶に苦しみながらも、日々の生活を続けていく中で、次第に孤独を受け入れ、楽しむようになる。
自由を求めて自然とつながる
彼らは自由を強く求め、自然とのつながりを重視します。動物や自然を愛する心を持っており、そこに安らぎや心の拠り所を見出すことがあります。彼らは自分らしさを追求し、束縛のない生活を望んでいます。
社会とのつながりを阻む暗黒面
アウトサイダーな人が社会に接近しようとする際には、トラウマが引き起こす自己防衛の暗黒面がその試みを阻むようになります。この防衛機制は、過去の傷ついた経験から来る恐れや不安を緩和するためのものでありますが、同時に新たな関係や機会を拒絶する結果となることが多いです。その結果、自分の世界に閉じこもりがちになり、苦悩が増す一方で、同時に創造力や想像力が豊かになることがあります。
繊細すぎて壊れやすい
アウトサイダーな人は、繊細すぎる神経系を持ち、自分自身の弱さや壊れやすさに対して敏感であり、自意識が過剰になることがあります。彼らは自己愛に溺れることがある一方で、人間関係において恐怖感を抱くことがあります。他人の目や視線に対して過敏であるため、周囲の人々の視線が突き刺さるように感じることがあり、これが胸の苦しさや不安感に繋がります。
アウトサイダーな人が自分らしく生きるには
アウトサイダーな人は、自分が抱える心の闇と向き合い、過去のトラウマを克服することが重要です。その過程で他者との関係構築ができれば、彼らは再び希望に満ちた人生を歩むことが可能となるでしょう。また、自分自身を理解し、自己受容を向上させることで、制約のある状況に対処する方法を見つけることができます。
家族や友人、職場などの人間関係においては、アウトサイダーの考えや感覚を尊重し、彼らが自分らしく生きることができる環境を提供することが大切です。そのため、周囲の人々や組織が彼らの独自性を受け入れ、個性を尊重することが重要です。これにより、彼らは自分の居場所を見つけ、より充実した人生を送ることができるでしょう。
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トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-05-06
論考 井上陽平
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