自己愛性人格障害は、人々の内面や外面の行動が、一般的な社会や文化の標準から大幅に外れている状態を指します。この障害に苦しんでいる人々は、継続的に同じような行動や体験を繰り返し、どんな状況にあっても変わらず、自分自身や周りの人に苦痛を与えることがあります。彼らは、自分を高く評価し、自己陶酔感に浸ることで、自分が優れた存在だと信じることができますが、根深い不安や緊張を隠しています。
自己愛性パーソナリティ障害の口癖
自己愛性パーソナリティ障害の人の態度やセリフは、自分自身を過剰に肯定し、他人を軽視するような態度をとることがあるため、人間関係に悪影響を及ぼすことがあります。彼らは、他人との関係を重視することよりも、自分自身の欲求や目的を優先する傾向があるため、他人を軽視することで自分自身を守ろうとすることがあります。
天上天下唯我独尊
自己愛性パーソナリティ障害を抱える人は、自分の身体や感情が劣化しているため、その補償として、彼らは自分は生まれながらにして宇宙の中で私より尊い者はいないという考えを持ち、その思いに固執することがあります。彼らは自分自身を特別な存在であると信じ、他人に比べて優れているという自負心を持つ傾向があります。
このような自己愛性パーソナリティ障害の特徴から、彼らは自分自身の評価を現実よりも高くし、自分の欠点や弱点を認めることが難しくなります。このため、自己改善が困難であることがしばしば見られます。また、自己保身を図るために自分自身の過大評価に縋り、自分の評価を維持することに強く執着します。その過程で、他人を攻撃することで自分の評価を守ろうとする行動が見られることがあります。
誇大な自己像
「私はすべてを知っていて、賢く、有能である」という表現は、自己愛性パーソナリティ障害を持つ人々が自分を評価する際に頻繁に用いられる言葉です。彼らは、自分を非常に優れた存在だと信じ、自らの能力や知識に対して絶大な自信を抱いています。しかし、彼らが自己保身のために自分自身を過大評価することで、実際には自分の能力や知識に限界があることを認められなくなります。
このような思考パターンは、他人との関係に悪影響を及ぼすことがあります。自己愛性パーソナリティ障害の人は、しばしば自分を中心に据え、他人を軽視する傾向があるため、周囲からの反感を招くことがあります。
自分は特別である
「私は世界の本質を明確に理解していて、他人は愚かである」という表現は、自己愛性パーソナリティ障害を持つ人が自己評価する際に使われる言葉の一つです。彼らは、自らの理解力や洞察力に自信を持ち、他人よりも優れた存在であると確信しています。しかし、その一方で、他人を見下すような態度を取ることがしばしばあり、他人の能力や知識に対しても十分な価値を認めないことがあるのです。自己愛性パーソナリティ障害の人は、他人からの批判や指摘を受け入れることが難しいため、自分自身の変化や成長が妨げられることがあります。
人より優れていると信じている
自己愛性パーソナリティ障害を持つ人々は、しばしば自分自身を他人よりも上位に位置づけ、見下すような言葉を用いることがあります。例えば、「私より下の人間が何を言っても無意味だ」や「私よりも劣っている人間にはついていけない」といった発言がその典型です。彼らは、自分自身が優れた存在であると信じ、他人を軽視する傾向があります。加えて、「私は特別だから」「私は優れている」といった自己評価の高い言葉を用いることもあります。彼らは、自分自身を最も優れた存在だと考え、他人よりも優れていると確信しています。
過剰な賛美を求める
自己愛性パーソナリティ障害を持つ人々は、「私は誰にでも好かれる人間だ」という考えを持ち、自分自身が魅力的であると信じる傾向があります。彼らは、自分自身を中心に据え、他人から好かれる存在であると確信しています。
また、自己愛性パーソナリティ障害の人は、他人からの評価に非常に敏感であり、他人からの承認を得ることで自己肯定感を高めようと努力します。このため、彼らは自分に対する評価を過大に捉え、他人に対しても自分を優位に立たせる態度を示すことがあります。
特権意識
自己愛性パーソナリティ障害を持つ人々は、「私には特別な人脈がある」という考えを持ち、自分自身が社交的であると信じることが多いです。彼らは、社交的な交友関係を築くことに非常に熱心であり、そのことによって自己肯定感を高めようと努力します。
自己愛性パーソナリティ障害の人は、自分自身を優れた存在であると考えており、そのため、多くの人々と交流することで自己肯定感を高めることができると感じています。彼らは、他人からの承認や評価を重要視する傾向があるため、社交的な交友関係を通じて、自分自身の評価を高めようとします。このような態度は、一見すると社交的であると捉えられるかもしれませんが、自己愛性パーソナリティ障害の根本的な問題は、自己評価の過大さや他人への依存があるため、適切な対処や支援が重要となります
自分を中心に据えた表現
自己愛性パーソナリティ障害を持つ人々は、「私がこのプロジェクトを率いるべきだ」といった、自分自身を中心に据えた表現が多く見られます。彼らは、自分自身を優れた存在であると考えており、そのため、自分自身がリーダーシップを取るべきだと信じています。
また、彼らは「私がいなければ、このチームは機能しない」といった発言も行うことがあります。これは、彼らが自分自身を中心に据える傾向があるためであり、自己保身のために用いることがあります。彼らのこのような態度は、チーム内での調和や協力を損なうことがあるため、注意が必要です。
自分の魅力をアピールする表現
自己愛性パーソナリティ障害を持つ人々は、「私は誰にでも好かれる」といった、自分自身を魅力的な存在としてアピールする表現が多く見られます。彼らは、自分自身を中心に据え、自分自身が他人から好かれる存在であると考えています。これは、彼らの自己肯定感を高めるための手段であることが多いです。
また、「私には特別な才能がある」といった表現も、彼らが自分自身を優れた存在であると考える傾向があるため、自己保身のために用いることがあります。彼らは、自分の才能や能力を強調することで、他人からの評価を高めようとします。しかしこのような態度は、他人との関係を損なうことがあるため、注意が必要です。
自分が正しい
自己愛性パーソナリティ障害を持つ人々は、自分自身の意見や判断力に深い自信を抱いており、「私の意見が正しい」と強く主張することが多いです。彼らは自分自身の思考や判断を重視し、それを大切にする傾向があるため、他人の意見や考え方を十分に受け入れることが難しくなることがあります。このような態度は、彼らが他人との対話や協力を築く上で障壁となることがあるのです。
傲慢な表現
自己愛性パーソナリティ障害を持つ人々は、「私は完璧である」「私が何を言おうと、間違っていることはない」といった、自分自身を絶対的に正しいと見なす傾向があります。彼らは自分自身を優れた存在であると確信し、この信念のもとに、自分自身が無敵であり、決して間違いを犯さないという考え方に固執することがあります。
このような思考パターンは、自己愛性パーソナリティ障害の人々が他人とのコミュニケーションや協働において問題を引き起こす原因となります。彼らの絶対的な自信は、他人の意見や感情に対する共感や理解を欠いた態度を生み出し、他者との関係性が悪化することがあります。この結果、彼らは自己中心的で批判的な行動を取ることが多く、周囲からの反感を招くことがあるのです。
ナルシシストが恋愛関係で言いそうな言葉
自己愛性パーソナリティ障害の人は、最初は謙虚で誠実な印象を与え、恋人に尽くし、相手の幻想を最大限に肯定し、不平不満の聞き役になることがあります。しかし、時間が経つにつれ、表と裏の顔を使い分け、矛盾した言動を取るようになります。また、相手が自分の思う通りにならないと、冷酷な態度を取ったり、恋人を支配下に置き、アクセサリーのように扱ったりすることがあります。
相手を理想化する
自己愛性パーソナリティ障害を持つ人が、最初のうちは恋人に対して謙虚で誠実であるかのように示し、幻想を最大限に肯定する言葉は以下のようなものがあります。
- 「君がいなければ、僕は何もできないよ。」
- 「君の存在が、僕を豊かにしてくれるんだ。」
- 「君のおかげで、世界が輝いて見えるよ。」
- 「君がいると、自分自身を忘れてしまうんだ。」
- 「君と一緒にいると、どんなことでも乗り越えられる気がする。」
- 「君のことを思うと、とても幸せな気持ちになるよ。」
- 「君のことを愛しているから、いつも君に幸せになって欲しいんだ。」
- 「君は素晴らしい人だよ。僕は君に出会えて、本当に幸運だったんだ。」
しかし、自己愛性パーソナリティ障害を持つ人は、相手をコントロールすることを目的に、幻想的な言葉を使うことがあるため、注意が必要です。また、自分自身を高く評価し、他人を見下す傾向があるため、相手を批判したり、攻撃することがあることも覚えておきましょう。
矛盾した言動をとり操作する
自己愛性パーソナリティ障害を持つ人が、恋人を夢中にしたあとは、表と裏の顔を使い分けるような言動を言うようになります。矛盾した言葉は以下のようなものがあります。
- 「君が欲しいんだ。でも、他にも気になる人がいるんだ。」
- 「君が大切な人だけど、僕は自分のことも大切にしたいんだ。」
- 「君には自由にやってほしいけど、僕が嫉妬するのは当たり前だろ?」
- 「君を信じてるけど、でも、どうしても疑ってしまうんだ。」
- 「君を幸せにするために、僕がいるんだ。でも、君が僕にもっと尽くしてほしいと思う時もある。」
- 「君と一緒にいると、本当に幸せだけど、時々、一人になりたいと思うんだ。」
- 「君のことが好きだけど、もっと自分にもっと興味を持ってほしいんだ。」
これらの言葉には、表面的には恋人を大切に思っているように見えますが、実際には自分自身を優先する傾向があります。自己愛性パーソナリティ障害を持つ人は、自分自身を高く評価し、他人に期待することが多く、相手に対しても矛盾した言動をすることがあるため、注意が必要です。
圧力をかけて支配する
自己愛性パーソナリティ障害を持つ人が、相手が自分の思う通りにいかないと圧力をかけ、相手の選択肢を一方的に奪う言葉としては、以下のようなものがあります。
- 「君は自分で考えることをやめて、僕に任せるべきだ。」
- 「君が自分で決めることは、僕が許可するまでやらないこと。」
- 「君がそう思うなら、それが正しいとは限らない。僕の考えに従うべきだ。」
- 「君が僕に逆らうと、厳しい制裁を受けることになる。」
- 「君が僕に従わないなら、関係を終わらせるしかない。」
- 「君は僕を裏切ることはできない。僕は君の全てを知っているから。」
- 「君が僕に従えば、君の人生は完璧になる。僕がいなければ、君は何もできないだろう。」
これらの言葉には、相手をコントロールし、支配下に置こうとする自己愛性パーソナリティ障害の特徴があります。相手の選択肢を奪い、自分の欲望や都合を優先することがあります。また、相手を自分の所有物のように扱い、自分の都合に合わせるために使う言葉です。
相手を価値下げする
自己愛性パーソナリティ障害を持つ人が、相手を価値下げするときの言葉としては以下のようなものがあります。
- 「君は何もできない。もう少し努力しても良いじゃないか。」
- 「君が本当に愛されていると思っているのは間違っているよ。もっと自分を磨いた方が良い。」
- 「君のような人には期待できない。もう少し頑張ってみると良いよ。」
- 「君には才能がない。自分のことを客観的に見た方が良い。」
- 「君は未熟だから、このままでは成長できない。自分をもっと高めることが必要だ。」
- 「君には何も感じられない。もっと自分を開放してみると良いよ。」
これらの言葉には、相手をこけ下すことで自分自身を優位に立たせようとする自己愛性パーソナリティ障害の特徴があります。自分の優位性を保ち、相手を卑下することで自分自身をより優れた存在と見せようとします。また、相手を挑発して反応を得ることが目的の場合もあります。
相手を捨てるとき
自己愛性パーソナリティ障害を持つ人が、相手を捨てるときの言葉としては、以下のようなものがあります。
- 「君にはもう用はない。もう関係は終わりだ。」
- 「もう君と一緒にいるのは辛い。君と別れた方が良い。」
- 「君にはもう興味がない。他の人に行ってもらうように。」
- 「君のことを考えているけど、僕たちの関係はもう終わりだと思う。」
- 「君が選んだ道なんだから、僕たちの関係はこれで終わりだ。」
- 「もう君のことを気にしないよ。どうやって生きていくかは、自分で考えてほしい。」
これらの言葉には、相手を容易に捨ててしまう自己愛性パーソナリティ障害の特徴があります。自分の都合や欲求を優先し、相手を利用していた場合、相手に対して冷たくなり、容赦なく切り捨てることがあるため、注意が必要です。
自慢話をする
自己愛性パーソナリティ障害の人は、自分自身について語ることが多く、自分自身を強くアピールする傾向があります。彼らは自分自身が優れた存在であると見なし、自分自身をアピールすることで他者からの賞賛や承認を求めることがあります。彼らが自慢話をする内容としては、以下のようなものが考えられます。
- 「私は常に最高のものしか手に入れない。例えば、私の車は最新式で、高級車の中でもトップクラスの性能を持っているんだ。」
- 「私は優れたリーダーシップスキルを持っていて、仕事ではいつもリーダーとして活躍している。私がいなければ、プロジェクトはうまく進まなかったに違いない。」
- 「私はいろいろなところを旅して、世界中の最高級ホテルに泊まってきたんだ。その中でも一番印象に残ったのは、あのリゾートホテルだな。もちろん、スイートルームに宿泊したよ。」
これらのセリフは、自己愛性パーソナリティ障害の人が自分自身の素晴らしさをアピールするために使う自慢話の例です。このような自慢話は、他人からの賞賛を得ようとする自己愛性パーソナリティ障害の人の行動の一つです。
自分の利益のために他人を踏みにじる
自己愛性パーソナリティ障害の人が自分の利益のために他人を踏みにじることを示すセリフとしては、以下のようなものが考えられます。
- 「あいつらは私にとって邪魔なだけだ。どんな手を使ってでも、私が勝つことが大事なんだ。」
- 「この案件で利益を得るためには、あいつらの意見なんて聞く必要はない。私の判断で進めていくよ。」
- 「私のために尽力してくれる人は必要だけど、彼らには利益を分け与える必要はない。私が成功すれば、それでいいんだ。」
これらのセリフは、自己愛性パーソナリティ障害の人が自分自身の利益のために他人を踏みにじることを平気でできることを示しています。
武勇伝を語る
自己愛性パーソナリティ障害の人が語る武勇伝は、彼らが自分自身を特別な存在と捉えるため、自分自身の優れた面をアピールすることが多いです。以下に具体的な例を示します。
- 自分が学生時代に優秀であったことをアピールする 「大学の時、授業で教授から質問されたことがあったんだ。周りの生徒たちは困っていたけど、私はすぐに答えを出せたんだよ。それを見た教授からは称賛されたよ。」
- 自分が仕事で優れた成果を出したことをアピールする 「最近、プロジェクトのリーダーを任されたんだ。チームメンバーからは様々な問題が上がってきたけど、私はすべてを解決したんだ。それが評価されて、上司からはお礼の言葉をもらったよ。」
- 自分が過酷な経験を乗り越えたことをアピールする 「ある時、山登り中に大雨に見舞われたんだ。周りの人たちは途中で引き返してしまったけど、私は頑張って山頂に登りついたんだ。その時の気持ちは言葉で表せないほどだったよ。」
以上のように、自己愛性パーソナリティ障害の人が語る武勇伝は、自分自身が優れた存在であることをアピールする内容が多いです。
権威とのつながりをアピールする
自己愛性パーソナリティ障害の人が自分自身が権威とのつながりがあることをアピールする例としては、以下のようなものが考えられます。
- 「昨日は有名な○○さんと会食をしました。彼は私のことを高く評価してくれて、将来的には共同事業をする可能性があると言ってくれました。」
- 「私はここ最近、○○大学の教授と知り合いになったんですよ。彼は私の才能に注目してくれて、今後は彼の講演会にゲストスピーカーとして招かれる予定なんです。」
- 「私は政治家とも交流があります。彼らからは、私が将来的には政治の世界で活躍することを期待されているんですよ。」
これらの発言は、自分自身が権威的な人物たちと交流していることをアピールすることで、自分自身を成功した人物と見せかけようとするものです。
まとめ
自己愛性パーソナリティ障害の人の口癖や態度をまとめると、以下のようになります。
- 自分を中心に据えた話し方や行動:自分自身を中心にした話し方や行動が目立ち、周囲の人々の意見や感情にあまり関心を示さないことがあります。
- 自慢話が多い:自分自身の素晴らしさをアピールするために、自慢話が多い傾向があります。他人からの賞賛を得ようとするために、自分の達成や経験について話すことが多いです。
- 批判的な態度:他人を軽蔑する態度を示すことがあり、自分自身を高めるために他人を下に見ることがあります。
- 権威的な態度:自分自身が権威とのつながりがあることをアピールすることがあり、人脈があることを示すことがあります。
- 感情のコントロールが難しい:感情の起伏が激しく、自分の感情をコントロールすることが難しいことがあります。
- 自己中心的な行動:自分の利益を優先することが多く、他人を踏みにじってでも自分の目的を達成しようとすることがある。
- 優位性の確保:自分が優れた存在であることを示すことがあり、自己愛的な行動によって自分自身の優位性を確保しようとすることがあります。
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トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-03-01
論考 井上陽平
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