私たちは、ストレスをため続けることが健康に悪影響を及ぼすとよく言われます。しかし、実際に自分がどの程度ストレスを抱えているかを感じることは、思っている以上に難しいことが多いです。
ストレスに気づけない人とは
人々が自身のストレスに気づかない場合、それは彼らが自分の感情に対して感受性を欠いていることを示しています。これは日常生活の中で仕事や家庭の責任が多すぎて、自分の感情を無視してしまう結果となります。彼らは、あらゆるタスクを完遂しなければならないという圧力を感じ、これもあれも全部やらなければならないと自分を追い詰めてしまいます。さらに、他人を支える役割を負い、他人に依存されるという感覚により、自分の感情を抑制する傾向があります。
このような重圧は、ストレスや緊張感の発生源となり、彼らはこれらの感情にすら気づかないままでいます。自分の心の声を聞く余裕がないほど忙しくなってしまい、その結果、自己の内面に生じているストレスを認識する機会を逃してしまいます。
ストレスに無自覚になるのはなぜ
ストレスを感じていることに無自覚になることは、自分自身がストレスを感じていることに気づかない状態であると言えます。例えば、落ち込みが酷くなくても、無自覚のうちにストレスが蓄積し、体に症状が現れることがあります。そのため、じんましんや胃痛、異常な眠気などの身体的な症状が現れることがあります。自覚がない場合でも、ストレスが溜まっている可能性があるため、注意が必要です。首こり、肩こり、喉のつまり、手足の冷え、めまい、気持ちの落ち込み、寝つきの悪さなど、自分がストレスを抱えていることに気づかない場合でも、身体や心に現れる症状に注意しましょう。
ストレスの表れが分かっていない
私たちが抱えるストレスは、さまざまな形で現れます。しかし、その表れ方は人それぞれ異なるため、自分自身がストレスを感じていることに気づかないことがあります。たとえば、頭痛や肩こり、体がだるい、寝つきが悪い、音に敏感になる、イライラするなどの身体的な不快感や、集中力が落ちたり、やる気が出なかったり、心配や不安感などの精神的な症状がある場合もあります。しかし、これらの症状がストレスの表れであることに気づけないことがあります。
辛い状況に慣れてしまう
ストレスを自覚できない原因の一つは、長期間に渡って生活全般のストレスや緊張が続くと、それが当たり前の状態として認識され、ストレスを感じていることに気づかなくなることもあります。例えば、仕事での過剰な責任やプレッシャー、家庭内の問題、交友関係の悩みなどが長期間に渡って続くと、人はその状況に慣れてしまい、ストレスを感じていることに気づかなくなることがあります。
感覚が麻痺していく
ストレスに無自覚な状態に陥る原因の一つは、辛い毎日に適応しようとして感覚が麻痺していることです。これは、人間がストレスに適応するための一種の防衛機制として機能していると考えられています。この状態に陥ると、ストレスに対する感覚が麻痺してしまい、自分が本当にストレスを感じていることに気づかなくなることがあります。また、ストレスを感じているとしても、それが当たり前の状態と認識されるため、その状況から抜け出すことが難しくなることがあります。
解離や自己感の喪失
ストレスに無自覚な状態に陥る原因の一つは、解離や自己感が喪失して辛いことに気づけないことです。解離とは、自分の身体や心が切り離されたように感じる状態で、自分自身が観察者として自分を見るような感覚を持つことを言います。自己感が喪失している場合は、自分自身を認識できなくなる状態を指します。
この状態に陥ると、自分自身や周りの状況を正しく認識できなくなり、ストレスを感じていることに気づかなくなることがあります。このような状態に陥る原因は、過去のトラウマやストレスが原因であることが多く、過去に経験した辛い出来事から逃避するために現実から離れてしまい、解離や自己感が喪失してしまうことがあります。
依存と嗜癖でごまかす
ストレスを自覚できない場合、自分がストレスを感じている状況から逃げるために、アルコールやタバコ、過剰な食事、過度な運動、ゲームやSNSなどの行動に走ってしまうことがあります。これらの行動は、一時的にはストレスを和らげることができますが、長期的にはストレスを悪化させる恐れがあります。特に、過剰な飲酒や喫煙、不規則な食生活、過剰な運動、睡眠不足などは、健康に悪影響を与えることがあります。
長期間に渡るストレスや緊張は
長期間にわたるストレスは、私たちの身体や心に悪影響を与える可能性があります。身体的な症状としては、全身の疲れやすさ、肩がこる、頭痛、胃痛、めまい、不眠症、高血圧、免疫力の低下などが挙げられます。また、心理的な症状としては、不安、うつ、イライラ、集中力の低下などが現れることがあります。
仕事や家庭、人間関係など、生活全般に渡ってストレスが続く場合は、そのストレスが常態化してしまい、自分がどれ程ストレスを溜めているかは気づかないことが多い。しかし、ストレスを自覚することができなくても、身体や心に何らかの症状が現れた場合は、自分がストレスを感じている可能性があるため、注意が必要です。そこで、自分の身体と心の仕組みを理解することや、自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。
まとめ
ストレスは、身体や心に様々な影響を与えるため、自分がストレスを感じていることに気づくことが大切です。ストレスを感じた場合は、自分に合った適切な対処方法を見つけることが必要です。例えば、リラックスする時間を作ったり、ヨガや瞑想などのストレス解消法を試したり、友人や家族と話したりすることが有効です。また、専門家のカウンセリングや治療を受けることも考慮するべきです。自分の身体や心の状態に気を配り、適切な対処方法を見つけることで、ストレスを軽減することができます。
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トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-03-08
論考 井上陽平
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