恋愛感情が分からないことは、一般的に心理学的な問題ではなく、普通の感情の変化や人生経験によって起こることが多いです。ただし、恋愛感情が分からないことが長期的に続く場合や、日常生活に大きな影響を及ぼす場合は、心理学的な問題が原因である可能性もあります。
例えば、うつや社交不安障害、失感情症、特定不能の解離性障害、慢性疲労、スキゾイド/シゾイドパーソナリティ障害などの心理的/身体的な疾患が恋愛感情の分からなさの原因となることがあります。また、親子関係のストレス、トラウマ、過去の経験などが原因で、恋愛感情に対する恐れや不安がある場合もあります。恋愛感情が分からないことが長期的に続く場合や、日常生活に影響を及ぼす場合は、専門家の支援を受けることが大切です。
恋愛感情とは
恋愛感情について理解することは、人生の中で重要なステップの一つです。以下が有用なポイントです。
- 恋愛感情は、他の人との関係において特別な感情を抱くことを意味します。これは、親密さ、信頼、そして愛情を含むことがあります。
- 恋愛感情は、肉体的な引き合いから生まれることもありますが、ほとんどの場合は心理的な要因が大きいです。
- 恋愛感情は、互いに理解し合い、サポートし合うことで成長します。
- 恋愛感情は時間の経過とともに変化することがあります。最初は興奮や恋心を感じますが、徐々に穏やかな愛情や信頼関係になることもあります。
- 恋愛感情は、特別な人との共有する経験や、共通の価値観・見方などに基づいて成立することが多いです。
- 恋愛感情を理解することは、自分自身と他の人との関係を深めることにつながります。
- 恋愛感情を抱くことは、時にはリスクも伴いますが、多くの場合、人生をより豊かにすることができます。
これらは恋愛感情についての一般的なポイントですが、人それぞれ異なる経験をすることもあります。自分自身の感情を理解することが大切ですので、内省的に考えてみることが大切です。
親子関係のストレス
恋愛感情がわからない人は、自分の本音や本当の気持ちを打ち明けることによって、親が不快な態度をとったり、暴力を伴ったりするという不安な家庭環境で育っている可能性があります。子どもは親の意向に従っていることで親の機嫌を保ち、自分が怖い状況に追いやられることを回避することができます。このような経験は子どもが大人になっても、影響を与えることがあります。
過去に自分が経験した親の態度から、自分の気持ちを打ち明けることが恐ろしくなります。相手から不快感を感じた際、自分の気持ちを無視して相手の機嫌を取ろうとします。結果として、相手の機嫌が良くなり安心感が生まれますが、自分自身の気持ちは抑圧され、薄れていくことになります。 この慣れが積み重なり、自分の気持ちに対する自己認識が失われ、自分の気持ちが存在しないものになり、邪魔だと思うようになります。あまりにも長期間に渡り、他者を気にしすぎて自分の気持ちを抑制してきた結果、感情を表すことができなくなり、自分の気持ちに気づけなくなります。
恋愛感情がわからない病気
シゾイド的防衛
恋愛感情が分からない人のなかには、シゾイド的な防衛機制が作られています。これは、恋愛感情や親密な関係を持つことに対する不安や恐れを抑圧するための防御メカニズムです。このような人たちは、恋愛感情や親密な関係を持つことを避け、孤独や孤立を選ぶことがあります。彼らは自分自身を守るために、人間関係を抑制し、人との接触を最小限に抑えます。また、他人との関係を持つことを恐れているため、恋愛感情や親密な関係を持つことができないと感じます。このような防衛機制は、以前のトラウマが原因で形成されることもあります。
このシゾイド的な防衛を持つ人は、人間という刺激が強すぎて、自分自身が不安定になってしまうことがあります。人間という存在に対して、無意識下では危険や生命の危機を感じているかもしれません。このような状況は、長期的なストレスや緊張を引き起こすことがあり、人とのコミュニケーションや関係を避け、自分自身を守るための防衛が構築されることがあります。
うつ病
うつ病は、人々の感情や考え方に深刻な影響を与えることがあります。うつ病を患っている人は、恋愛感情を理解することが困難になることがあります。彼らは、感情的に落ち込んでいるため、興味を持たない、興味を失っている、または自分自身に対する評価が低いと感じることがあります。これらのことは、恋愛感情を理解することを困難にする原因となります。
社交不安症
社交不安症は、社会的な場面や人とのコミュニケーション、自分自身に対する恐れなどによって引き起こされる不安や恐怖を特徴とする疾患です。これらの症状が強い場合は、恋愛感情を呈すことが困難になる可能性があります。
失感情症
失感情症は、感情を呈することが困難な状況を指す疾患です。この病気は、感情に対する感受性が低下し、特に好きという気持ちを呈すことが難しくなるという症状が特徴的です。失感情症は、抑うつ症状やパニック症状とともに見られることがありますが、独立した疾患としても診断されることがあります。
特定不能の解離性障害
特定不能の解離性障害は、トラウマやストレスの影響によって引き起こされる精神疾患の一つです。これは、恋愛感情にも影響を与える可能性があります。解離症状に悩む人は、人間関係に対する不安や恐れを抱え、恋愛感情を経験することが困難になることがあります。
慢性疲労
慢性疲労は、疲れて動けなくなる病気です。慢性疲労の人はエネルギーがなくなり、興味を持てなくなり、自分自身の感情も理解することが困難になります。これらのことは、恋愛感情を理解することを困難にする原因となります。
アセクシュアル
アセクシュアル(asexual)とは、性的な欲求や恋愛感情を有しないことを指します。アセクシュアルの人たちは、セックスや恋愛関係に興味を持たない、または持てないと感じることがあります。
アセクシュアルの人たちは、恋愛感情に関して特別な感情を抱かないことがありますが、他のタイプの人たちと同じように、愛や支援、心のこもった関係を求めています。このような人たちは、自分自身が抱く感情に対する理解や自己認識に問題があることもありますが、他のタイプの人たちと同じように、幸せな関係を求めています。
アセクシュアルは、性的な欲求についての特定のスペクトラムに位置する性的指向の1つであり、他の性的指向(ホモセクシュアル、バイセクシュアル、ヘテロセクシュアルなど)と同様に尊重されるべきです。
生理的欲求や安心・安全の欲求の欠如
恋愛感情が分からないという状況は、複雑なトラウマの影響を受けて、生理的欲求や安心・安全な欲求が満たされていないことによって引き起こされることがあります。例えば、人間関係において安心や安全を得ることができないという不安や恐れがある場合、恋愛感情を経験することが困難になることがあります。
また、生理的欲求が満たされていない場合も、恋愛感情を経験することが困難になることがあります。これは、身体的な需要や欲求が満たされていないと、エネルギーや注意力が枯渇してしまい、他のことに集中することが困難になるためです。
対人恐怖
恋愛感情が分からないという状況にある人には、人が怖いというアレルギー反応(恐怖症)がある場合があります。これは、他の人と対話やコミュニケーションをすることが困難であると感じ、人との接触を避ける傾向があることから引き起こされるものです。 このような状況では、他の人とのつながりを持つことが大切な恋愛関係を築くことが困難になります。
身体性/感情の劣化
人々が恋愛感情を理解することが困難な場合、身体性の劣化や感情の劣化が原因となることがあります。身体性の劣化は、人々の性的欲求や愛情に対する反応を減少させることがあります。また、感情の劣化も同様に恋愛感情を理解することを困難にする原因となります。これらは、年齢や疾患、成育環境、ストレス、トラウマ、不安、薬物の影響などが原因であり、これらの要因によって、人々が恋愛感情を理解することが困難になることがあります。
若者の貧困の問題
貧困は、人々の恋愛感情に深い影響を与えることがあります。特に、若者たちはまだ自分のキャリアや家庭を築くことに集中している時期であり、貧困は彼らが愛情を育てることを困難にするかもしれません。
貧困は、若者たちが外出することや、新しい人と出会う機会を減らすことがあります。これは、彼らが自分の恋愛感情を育てるために重要な経験や体験を失うことを意味します。また、貧困は社会的な圧力やストレスの増加につながり、恋愛関係においてトラブルが起きる可能性が高くなることもあります。
さらに、貧困は若者たちが経済的に自立することを困難にすることがあります。これは、彼らが自分自身を守り、家族を養うことができないということを意味します。このような状況は、若者たちが自分の恋愛感情を信頼することができないという状況を引き起こすかもしれません。
相手の気持ちを優先する
近年、社会の変化や環境の変化などが影響し、「草食系」の人が増えていると言われています。草食系の人は、自分の感情や欲望に対して強い関心を持たず、他人とのコミュニケーションや友情に重点を置く人々を指します。彼らは恋愛関係において、相手の意見や感情を尊重し、協調性や理解を大切にすることが大事だと考えます。
一方、恋愛感情が分からないという状況は、相手の気持ちを優先することが過度になっている場合に起こることがあります。このような状況では、自分の気持ちを無視して、相手の気持ちを重視することが多くなります。しかし、このような方法で感情を管理することは、長期的には自分の気持ちが分からなくなることを引き起こす可能性があります。
恋愛感情が分からない人のその後
恋愛感情を分からないということは、彼らが他の人を好きになるといった感情を持たないか、親密な関係を築けないといった能力が欠如していることを意味します。このような状況では、彼らは自分の気持ちを正確に把握することが困難であり、何も感じられなくなり、何がストレスかも分からなくなり、嬉しいや楽しいといった感情を正確に分かりません。このため、生活の意味すら失われかねない状況に陥ります。
一方、人に一方的に好意を持たれて、結婚することがある場合もありますが、このような結果は、本当に愛する相手との結婚ではなく、全く好きでない人との結婚となることがあります。このような状況では、結婚後に抱く望みや希望は満たされず、生活は不幸なものとなりかねません。
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トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-2-10
論考 井上陽平
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