性暴力被害の女性・子どもの内容|フラッシュバック・再体験

性暴力被害

フラッシュバックやトラウマに関連する内容が含まれていますので、ご自身の心の状態を確認してからお読みいただくようお願いします。また、ここで述べられている内容は、性暴力被害者のすべての方に該当するわけではありませんので、その点をご理解いただけますと幸いです。

強制的な性体験がもたらす恐ろしい外傷は、被害者にとって非常に苦痛なものです。そのような状況下では、心が失われるというよりも、加害者によって心が破壊されるか、自ら心を捨てざるを得ない選択を迫られます。この経験は、まさに生き地獄のような繰り返しの苦しみを味わわせます。 外見上は誰にもわからない、目に見えない心の傷が生じます。その傷は、屈辱的な出来事として体の内部に大きく深く刻まれ、全身を覆い隠すような存在となります。

性被害を誰にも相談しない、できない被害者

性暴力被害者の強い痛みと苦しみは、早期の手当てが必要なほど深刻ですが、恥辱感が強すぎて誰かに打ち明けることに抵抗感があり、躊躇してしまい一人で苦しむことが多くなります。打ち明けることは、他の人にもその内容が知られる可能性があるため、新たな無限の不安や恐怖が生まれてしまいます。

そのため、打ち明ける相手は非常に信頼できる人でなければ、心を開くことができません。しかし、元々信頼している人であっても、その人が被害者の話を受け止められるかどうかが重要です。相手にかける負担や、二人の関係に悪影響を与えることを考慮し、その内容を打ち明けられるかどうかが慎重に判断されます。これが、身内や親友にさえ打ち明けられない理由となります。このような状況では、適切な支援やケアが必要とされることがますます重要になります。

性被害の汚れてしまった感覚

性暴力被害者は、自分自身や他者から「汚れもの」と見られたり、「女性(男性も同様に)としての性の価値が失われた」と感じることで、自分を汚らわしいと思い、自分の存在に苦しみます。このような状況では、自分の体を持ち続けることに失望感を覚えます。

その衝撃的な被害体験により、自分の感覚を一度喪失している可能性があります。この喪失体験は、被害者はかつて身にまとっていた自分の色を失い、すなわち自分としての感覚も分からなくなってしまうほどの影響を及ぼします。代わりに、加害者によって与えられた苦痛が、自分の新しい色、つまり自分としての感覚として定着してしまいます。この色は、洗い流すことができず、被害者の体に浸透し同化し、体そのものとして共に生きることになります。元の自分の色が何だったのかを思い出すことができず、汚れた自分として生き続けることになってしまいます。

性被害のトラウマの後遺症

人々の触れる暖かさが嫌悪感と恐怖を引き起こしてしまいます。年齢や性別に関係なく、血が巡る生物全てに対するこの感覚は同様になる可能性があります。たった一つの触れられた瞬間、全身に悪寒と戦慄が駆け巡り、身体が凍りついてしまうような感覚に襲われます。恐怖が支配し、涙が止まらなくなります。さりげない手を握る瞬間や、子どもを抱きしめるときでさえも怖くて、気持ち悪いものとなってしまいます。 近くにいる人々の存在さえ怖く感じ、不安で息苦しさが増してしまいます。

それでも、日常生活を送らなければならないのですから、自分自身に暗示をかけ、場の空気に合った仮想のイメージを作り上げ、心に仮想の壁を築いて何とか生活を乗り切ります。 困難な状況から何とか脱出することができた後、現実の感触が押し寄せてきます。その感覚に耐えながら時間を過ごすのです。この過程で無駄に体力を消耗し続けるため、疲労感が強く残ってしまいます。 もし動き続けなければ、もう動けなくなってしまうのではないかという不安感が常に私を襲います。何かに取り組んでいる時間は、一見、楽に感じられますが、実際には体力を削り続けているだけです。だから意識的に、時折一息つくようにしたほうがいいです。

性被害の内容

恐怖に包まれた状況の中で、凍りついて身動きが取れなくなるため、抵抗できない悔しさや無念さは、言葉では表現しきれないほど強烈であることが多いです。身動きができないのにもかかわらず、全身に鳥肌が立ち、身体はガタガタと震えが止まらなくなります。筋肉は収縮し、硬直してしまい、身体の内側は燃え上がるような強烈な不快感と、瞬時に冷凍されたかのような凍りつきとが交錯し、それらは同時に存在します。

身動き一つできないはずの身体が、相手の意のままに操られていく中で、意識はぼんやりと霧に包まれていきます。しかし、そのまま完全に意識を失うまでには至らず、生き地獄を耐えながらも、なんとか意識を保とうとします。その過程で、感情は次第に失われ、無心の域に達することでやっと息を吸うことができるような苦悩を経験します。手足といった体の末端からは血の気が引いていき、その麻痺する感覚がじわじわと私の体の中心部に向かって広がっていきます。

言葉を発するための口元も徐々に麻痺し、声を上げることができなくなります。体の筋力は奪われ、全身が極度に弛緩し、感覚を失って崩壊していきます。その状況では、人間としての形や感覚を失い、心の行き着く果てが見えなくなります。行き場を無くした自分は、廃人のように亡骸と化し、全てを失ってしまいます。この経験は、心は機能喪失に陥り、自分の身体の状態さえも把握できなくなり、言葉では伝えきれない苦痛を生み出します。

心に反した身体反応

喜びに満ちた反応が体に現れることを理解した瞬間、誰よりも自分自身をこの世から消し去りたくなります。心はすでに機能喪失しているはずなのに、目からは言葉にできない感情と共に涙が溢れ出し、止まりません。凍りついて身動きできなくなったため、もうただ目を閉じることしかできません。

この状況を責められるなら、生きることさえも苦痛に感じます。心の闇を抱えながら呼吸をすることは難しく、息苦しいです。生きることが耐え難い苦しみとなり、不自然な深呼吸が心の傷をさらけ出します。

加害者への服従、同一化

人は、恐怖や絶望感、強いストレスが重なり、とんでもない状態に陥った時、思考力が低下し、混乱状態や思考停止状態に陥ることがあります。その時は、皮膚感覚すら理解できず、体が受ける衝撃に対しても状況を把握することができないほど追い詰められており、考えることや動くことなど、何もかもができなくなってしまいます。            

しかし、その状態が一瞬で変わり、頭の中がゴチャゴチャした状態からまるでリセットされたかのようにクリアになることがあります。その結果、新たな情報がどんどん入りやすくなりましたが、それが正確な情報であるかどうかを判断する能力が低下します。間違った情報であっても、すべてが正しいものであると認識し、気づけなくなります。

心身の感覚を少しずつ取り戻すまで

やがて心身の状態が回復し始めたとき、初めて自分がとんでもない状態にあったことに気づきます。この経験から、恐怖やストレスが重なると、思考や判断力が低下することを痛感し、今後は自分の心身の状態に注意を払い、適切な情報と判断力を維持することが重要だと学ぶかもしれません。次第に少しの痛みにも敏感に反応できる感覚が取り戻せるようになり、適切に対処することができるようになるまで、心身の感覚は徐々に回復していきます。

性暴力の加害者との生活

自分を脅かしてくる加害者から、身を丸めてこわばることしかできず、混乱した感情が凍りついてしまい、涙が止まらなくなってしまいます。その瞬間、頭の中は恐怖と不安、焦り、逃れたいという願望で満たされ、「どうしよう、どうしよう」という思いが絶え間なく巡り続けています。もしかしたら、抵抗する力を抜いてしまえば解消されるのだろうか。弱い自分が見え隠れしています。

しかし、その時、相手が隙を見せた瞬間を捉え、咄嗟にその場から逃げ出しました。鍵の付いた個室に駆け込み、鍵をかけて閉じこもることで、追いかけてくるものから逃れることができました。鍵をかけたその時、助かったと感じて安堵し、身体が震え始めました。その瞬間に、自分が恐怖を感じていたことを初めて自覚できました。

恐怖に襲われ、逃げたいと願いながら、誰かに助けを求めたいと叫びたかったのに、声も出せず、動くこともできなくなってしまいました。私は「自分の身に何が起きているのだろう?」という思いと、苦しみから涙が止まらない状態が続くなかで、理解しようともがきました。

このわからない状態が混乱を引き起こし、冷静さを取り戻すために、その場の環境から離れることを決断しました。そして、自分の感覚を取り戻す時間を大切に過ごし、自分の心が導くままに行動しました。この過程を通じて、私は自分を立て直し、困難な状況に立ち向かう力を取り戻すことができました。

トラウマのフラッシュバック

しかし、時折あの瞬間の感覚が蘇り、過去の経験が心に重くのしかかることがあります。その時、伴っていた行為が再現されたかのような錯覚に怯え、まるであの時の空間に引き戻されたような不快感が襲ってくるのです。

この感覚は、脳内に映し出される映像だけに留まらず、皮膚や内臓など体内のあらゆる部分で一気に呼び起こされる記憶として感じられます。体中がパニックに陥り、分裂し始めるかのような嫌悪感や敵対的な不快感に支配されてしまいます。 この状態は、心身のバランスを乱し、自分自身を守る力を奪ってしまうことがあります。

トラウマの再体験症状

まるで生々しく滑らかで不快な蛇のような存在が、目に見えないものとなって容赦なく体内に侵入してしまいます。それは簡単に、あたり前のように体中を自由に這いずり回り、絡みついて締めつけていくのです。この侵入者によって、体中の至るところが不快感や嫌悪感に耐えられなくなり、機能が腐敗し、失われてしまいます。

本体は生きているものの、体の中は徐々に朽ち果てていくため、心まで侵略されてしまいます。それにより、心は凍りつき、表情は無になっていきます。あの感覚が再現されると、身体は凍りつき抵抗することができず、動くこともできなくなります。唯一できることは、あの感覚が立ち去るのをひたすら耐えて待ち続けることだけです。やがて、不快な感覚が立ち去った後、魂が吸い取られたかのような抜け殻の状態になります。

蛇はしばしば、性的なイメージを喚起するものとされています。蛇の侵入は、男性的なシンボルの侵略と捉えられることがあります。性暴力に曝され、抵抗できない場合、身動きが取れなくなり、局所的な場所から始まり、全身の細胞、リンパ節、血管、神経までが一瞬で破壊されるかのような感覚が再現されてしまうのです。この侵入により、全身が不快感に支配され、息苦しさや酔い、麻痺を伴い、意識が朦朧として思考力を失ってしまいます。

抵抗する力を奪われ、支配されることが当然のように感じられる状況に陥り、その感覚の世界で生きることを受け入れてしまうのです。違和感や疑問を抱くことができない状態になります。心は拒絶しているものの、抵抗した後の恐怖体験が未だに忘れられず、思い出さないはずなのに、微妙な刺激によって呼び起こされてしまいます。時空を超えたかのように、再びあの瞬間の恐怖を感じてしまうのです。現実と過去が融合し、過去に生きているかのような錯覚に陥ってしまいます。

フラッシュバックや再体験が起きたとき

痛みや恐怖を帯びた記憶が頭を過ぎるたびに、その時の空間に引き戻され、閉じ込められそうになります。これはパニックを引き起こし、現実の苦しみが耐えられなくなると、自己放棄の淵に立たされます。

自分を捨てようという思考が浮かぶと、過去の記憶が無差別に飛び出してきてしまいます。そのほとんどが辛く、悲しく、恐ろしい思い出ばかりで、それらから逃げ回りながら、一心に記憶を追い払おうとします。しかし、その暗闇の中に、小さな光の欠片がところどころに見えてきます。

その欠片に手を伸ばし、それを拾い上げると、温かさと優しい色彩が感じられます。よく観察すると、それは過去に経験した心温まる出来事の断片であることに気づきます。その欠片は小さすぎて、最初は指先くらいしかその温もりを感じることはできません。しかし、その感触は指先からゆっくりと全身に伝わっていきます。

暗闇の中で迷い込んでも、その小さな温もりは希望の光となり、私に「私自身は悪くない。失敗した日々もあったけれど、それと同じくらい、心が温まる日々もあった。だから、再び挑戦することができる」という確信を与えてくれます。

辛さや苦しみの中でも、この暗闇から抜け出すときがくるという信念を持つことができます。そして、その信念を諦めずに持ち続けることで、何度もフラッシュバックから抜け出します。それは確かに心のエネルギーを大いに消費します。

抜け出した後は、しばらく脱力感が残るのですが、暗闇の恐怖や苦痛に比べれば、それは大したことではありません。脱力感が残っている間、恐怖の中で涙を流すことができなかった分、涙が溢れ出します。しかし、その涙は、暗闇を過ぎた後の安堵感と解放感をもたらしてくれます。

緊張が解けるとき、空気はとても軽く感じられ、息を吐き出すことも楽になります。その瞬間、現実の世界に確固たる存在感を感じ、自分自身がここにいるという確信が湧いてきます。

嫌な記憶のフラッシュバックの対処法

不快な症状が現れた際には、できるだけ早くその場から離れ、自然に囲まれた場所へ身を置くことを心がけましょう。もし動けない状況であれば、空を見上げて、心を落ち着かせることができる環境を整えるよう努力します。刺激が少なく、安心できる状態を作り出すことで、心身のバランスを保つことができると信じます。

日常生活においては、不快な症状が現れにくい状態を維持するために、ストレスを溜め込まないようにセルフケアに励むことが重要です。心身の安定を図ることを目指し、リラクセーションや適度な運動、十分な睡眠や栄養バランスの良い食事を心がけます。

このような自己管理を通じて、心身の健康を維持し、不快な症状に対処できる力を養うことが大切です。今後も引き続き、自分自身と向き合いながら、日々のストレスや困難に立ち向かう力を養うことが必要です。

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トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-05-10
論考 井上陽平

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