蛙化現象の治し方・克服|また好きになるカウンセリング

対人関係

「蛙化現象」という言葉は、一方的な恋心を抱いている相手が振り向いてくれた際に、その人への恋心が急に嫌悪感という特異な現象を指します。

「蛙化現象」に陥る人々は、通常、一方的に誰かを思い続けていたり、その人を追い求めていたりします。ここまでは特に問題はありません。しかし、問題は、その相手が突然自分に気持ちを向けてきた時に起こります。

通常、相手が自分に気持ちを向けてくれることは、喜ばしい出来事と捉えられます。しかし、「蛙化現象」の人々にとっては、そのスピードや急激な変化が圧倒的で、混乱を引き起こします。自分が追いかけていた側から突然追われる側になることで、彼らは不快感を感じることがあります。

例えば、「蛙化現象」の人々は、恋した人の行動や振る舞いに対して突如として冷めてしまう状況を示します。また、小さな出来事さえも、その人への感情を冷めさせ、好意が一瞬で嫌悪に変わることが特徴となります。

さらに、一方的な恋心を抱いていた相手が、ある瞬間、突如として魅力を失い、「蛙」のように見えるようになることがあります。これにより、かつては王子様のように見えていた相手に対して、嫌悪感や苦手意識が生まれてしまいます。

つまり、「蛙化現象」に陥る人々は、一途に相手を思って追いかけること自体は問題ないのですが、相手が自分に気持ちを向けてきたとき、その変化の速度についていけなかったり、脱錯覚が大きかったり、二人の関係が急接近することに対する不快感から、相手への感情が急激に変化し、かつて愛していた人に対する嫌悪感や苦手意識を抱くことがあります。

理想と現実のギャップ:恋愛の冷め現象

蛙化現象は、理想と現実の間に存在する大きなギャップによって引き起こされることがあります。その人が思い描いていた相手のイメージと、実際に相手から好意を向けられた時の振る舞いとが合致しないと、そのギャップに失望してしまうのです。なかでも、魔法のようなシンデレラの世界を夢見て、理想の高貴な王子様を待ち続ける人々が、この現象に陥りやすい傾向にあります。

蛙化現象の人々は、他者と深い意味での結びつきを築くことができず、この現象は繰り返し起こり得ます。そして、そうなると、恋愛が発展する二者関係を形成することなく、ひとりで孤独になる可能性が高まります。その結果、彼らの人生は、希望に満ちたものではなく、儚く孤立したもの悲しい人生になるかもしれません。

トラウマと蛙化現象:現実からの逃避と自己破壊

蛙化現象に陥った人々は、一者の段階(私だけ)にとどまり、二者(私とあなた)、あるいは三者(私とあなたと子ども)の視点へと進展することが難しいです。

「蛙化現象」に陥る人々は、幼い頃から何らかのトラウマを抱えている可能性があります。これらの人々は、深い心の傷を持ちながら成長し、それが彼らの対人関係や恋愛感情に大きな影響を及ぼします。

彼らは、しばしば親との健全な関係を維持することが難しく、この問題を避けるために仮想空間や自身の想像世界へと逃避します。スマホやインターネット、テレビなどの仮想空間や自分の空想世界は、現実とは全く異なる別の「世界」であり、彼らにとっては「魔法」のような存在となります。

心の傷を抱える彼らは、現実の厳しさから逃れ、自分自身を癒すために、この仮想的な世界に没頭することになります。しかし、この内向きの行動が長引くと、彼らは現実との接触を失い、防衛的な態度から心理的に行き詰まります。結果的に否定的な感情が募り、破壊的に変わる可能性があります。行動に走ることもあります。

このような状態になると、彼らは現実世界で自分自身の人生を創造的に生きる能力を失う可能性があります。また、現実の世界にしっかりと足をつけて立つことが難しくなり、日常生活においても困難を経験することになります。

理想化からの現実への移行と身体的反応

蛙化現象を経験する人々は、理想化した人間関係から現実の関係へと移行するときに、その変化に対する緊張感や、脱錯覚に耐えることが難しい場合が多いです。それは彼らにとって恐ろしいことで、心地よくない感情や不安が強く押し寄せてきます。

特に、異性への嫌悪感が強くなる場合、その感情に焦点が集まり、ストレス反応が活性化します。このとき、脳はストレス状態に対応するためにストレスホルモンを放出します。しかし、このストレスホルモンの過剰な放出は体に毒となり、吐き気や不快感などの体調不良を引き起こすことがあります。

このような状態では、体は自然な防御反応として毒を排除しようとします。その結果、さらに強い不快感や吐き気を引き起こすことがあります。

「蛙化現象」の克服:個性化していく成長の道筋

蛙化現象を解決するための手段として、まず最初に、カウンセリングやセラピーなどの援助を通じて、自分自身の個性化のプロセスを進めることが大切です。それは、自己を理解し、自己の欠点と向き合う勇気をもつことを意味します。

蛙化現象に苦しむ人々は、現実の困難に対処し、未知のものと真剣に戦うことが求められます。自分の限界を認識し、自分が何に対して強く、何に対して弱いのかを理解することで、未知のものへの不安感を緩和できます。

さらに、人生の困難やそれに伴う苦痛に立ち向かうための動機づけが必要となります。これは、自分自身を励まし、困難な状況を乗り越える力を与えるものです。

克服のプロセスでは、感情やストレスに対する耐性を身につけ、他人を寛大に受け入れる能力を育てることが重要です。同時に、同じ人に対して愛と憎しみの両方の感情を経験し、自分自身に対する愛と憎しみの感情も認識し受け入れる必要があります。

また、「カエル」に見える異性の中にも価値があること、つまり、外見や一時的な印象だけではなく、深いところに存在する良さを見つけることが必要です。自分の幻想を捨て去り、自分の闇の面と真剣に向き合うことで、現実の世界とより深くつながることができます。

そのためには、「カエル」に見える異性を抱きしめ、その醜さや不快さにもかかわらず、深い理解と共感を示す必要があります。これは、手足が震えるほどの恐怖や嫌悪感に立ち向かい、自分の心の底から湧き上がる思いやりの感情を引き出す作業です。このプロセスを通じて、蛙化現象を乗り越えるための心の力を育てることができます。

当相談室では、蛙化現象に関するカウンセリングや心理療法を希望される方に対し、ご予約いただけるようになっております。予約は以下のボタンからお進みいただけます。

STORES 予約 から予約する

トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-07-04
論考 井上陽平

コメント