HSP (High Sensitive Person)「人一倍敏感な人」や、HSC (High Sensitive Child)「人一倍敏感な子ども」と呼ばれる生まれつきの感受性の強さを持っている人たちは、一般的な人々に比べて、様々な感覚に敏感であり、繊細な心を持ちます。HSPについては、以下のような特徴がありますが、個人差が大きく、一概には言えないところもあります。
人一倍敏感な人
HSPの人たちは、一般的な人々に比べて、光や音、匂い、その他の様々な感覚に人一倍敏感です。たとえば、強い光に対して目が痛くなったり、大きな音に驚いたり、強い匂いに耐えられなかったりすることがあります。音量や眩しさを制御する方法がないと体調が悪化します。
また、HSPの人たちは、環境の変化にも敏感です。例えば、場所や人が変わっただけでも、不安やストレスを感じることがあります。そのため、新しい場所や人との出会いに対して、緊張や不安を感じることが多いとされています。
場の空気や気持ちを読み取る
HSPの人たちは、感覚が研ぎ澄まされており、場の空気や他の人の気持ちを読みとすることが得意です。例えば、ある場所にいる人たちが、喜んでいるのか、悲しんでいるのか、不安を感じているのかなど、微妙な雰囲気の変化を敏感に察知することができます。
HSPの人たちは、他の人の感情に共感しやすく、自分自身が感じている感情と同様に、他の人の感情にも共感することができます。そのため、他の人が不安や悲しみを感じているときには、その感情に寄り添い、助けることができる傾向があります。
HSPの人たちは、場の空気や他の人の気持ちを読みとることが得意な反面、感受性が強すぎるために、ストレスや感覚過負荷を引き起こすこともあります。たとえば、周りの人々が嫌な気分であると感じると、自分自身も不安や緊張を感じ、ストレスを引き起こすことがあります。
他の人より深く考える
HSPの人たちは、深い洞察力を持っていることが多いとされます。周りの人々に比べて、深く考えることが得意であり、新しい情報をすばやく理解することができます。このような人たちは、高い知的好奇心と情報処理能力を持っていることが多く、幅広い知識を持っていることがあります。
また、HSPの人たちは、人とのコミュニケーションにおいても、相手の意見や感情を深く理解し、自分の意見や感情と照らし合わせることができます。そのため、相手の視点や立場を理解し、建設的な意見交換を行うことができます。
一方で、HSPの人たちは、深く考えるあまりに自分の考えや感情にとらわれすぎてしまい、ストレスや不安を抱えることがあります。また、情報処理能力が高いため、情報過多になり、疲れやストレスを引き起こすこともあります。
繊細で創造力豊か
HSPの人たちは、創造力を持っていることが多いとされています。繊細であるが故に、芸術や文学などの創造的な分野で活躍することが多くいます。また、子どもの頃から、空想の友達などがいて不思議な体験をしていることがあります。
用心深く慎重に行動する
HSPの人たちは、自分自身や周囲の人や環境に対して過度に反応してしまうことがあり、自己防衛のために用心深く行動することが必要です。また、自分自身の繊細な感受性によって、周囲の状況や人々の気持ちをよく理解することができるため、慎重な判断を行うことができます。
自己犠牲的になることも
HSPの人は、場の空気を読んで、無理をして明るく振る舞ったり、周りからの期待に応えようとして、自分自身を犠牲にすることが多いです。そのため、自分自身の感情やニーズを抑圧してしまいがちで、自己主張が苦手な場合があります。
家族関係
HSPの人は、家族とのつながりを大切にし、家族の問題に敏感に反応する傾向があります。特に、機能不全家庭で育つ場合、その状況に対して強い不安やストレスを感じることがあります。
HSPの人は、相手の気持ちに敏感であり、思いやりや共感を持って接することができるため、家族の問題に対して仲裁しようとすることがあります。また、家族とのつながりを深めるために、問題を解決するために一生懸命努力することがあります。しかしながら、HSPの人が家族問題に介入しすぎることが、逆に家族関係を悪化させることもあるため、適切なバランスが必要です。
親の価値観に囚われることも
HSPの人は、親の顔色を見て善悪の判断をすることが多い傾向があります。親や周囲の人たちからの評価や承認が、自己肯定感や自己価値に大きな影響を与えることがあります。親が肯定的に評価することによって、彼女たちは自分自身が良い人間であると感じることができます。しかし、その一方で、親が否定的に評価することによって、彼女たちは自分自身が価値のない人間であると感じることもあるかもしれません。
恋愛関係
HSPの人は、感情に敏感であるため、深い愛情を求める傾向があります。彼らは相手とのつながりを深め、共感や理解を得られる関係を望んでいます。また、相手の気持ちを敏感に察知することができるため、相手の気持ちに配慮し、思いやりのある行動を取ることができます。
しかしながら、HSPの人は繊細であり、不安やストレスがあるときには感情が高ぶりやすくなります。また、批判や否定的な言葉に傷つきやすい傾向があります。相手とのつながりを深めることを望むため、恋愛に時間がかかる傾向があり、相手を信頼するまで時間がかかる場合もあります。
社会生活
HSPの人たちは、感受性が高く、繊細な性格を持つため、特に女性の場合、男性が優位の社会の中で価値感の多様性がなく、適応しにくくなることがあります。彼女たちは男性の圧力に対して身体がカチコチに緊張し、長期にわたってストレスが続くと体調が悪化します。また、通勤時の人混みが苦手で、満員電車が不快だと感じることが多いです。職場の環境が自分に合っていない場合、仕事のある日は全力で頑張りますが、休みの日にはエネルギーが切れて動けなくなることがあります。
睡眠が重要
HSPの人は、感情が豊かで情緒的な反応が強く、物事を深く処理するため、疲れがたまりやすく、他の人より睡眠を多く取る必要があります。睡眠不足が続くと、倦怠感や疲れによって、日常生活に必要な活動や集中力が維持できなくなり、仕事や学業などに影響が出てしまうことがあります。また、睡眠不足によってストレスが増大するため、さらに疲れがたまりやすくなるといえます。
HSPの人が健康的な生活を送るためには、睡眠不足にならないようにすることが重要です。睡眠不足を防ぐためには、十分な睡眠時間を確保し、規則正しい生活リズムを維持することが必要です。また、ストレスを軽減するために、適度な運動やヨガなどのリラックス法を取り入れることも有効です。さらに、睡眠環境の整備や、就寝前のスマートフォンやパソコンなどの電子機器の使用を控えることも大切です。
空腹に耐えられない
HSPの人は、体内の感覚にも敏感で、血糖値の上下にも影響を受けやすく、空腹がストレスになり、凄くイライラすることがあります。そのため、規則正しい食生活のリズムを維持することが非常に重要です。定期的に食事を摂り、血糖値の急激な変化を避けることが必要です。また、食事内容にも注意が必要で、加工食品や糖質、カフェインを摂りすぎないようにし、栄養バランスの取れた食事を心がけることが大切です。定期的に自分自身の体調を確認し、体に優しい生活を心がけることで、より快適な生活を送ることができます。
環境が悪いと病気に
HSPの人たちは、学校でストレスを感じていると、起立性調節障害や自律神経失調症などになり、不登校になりやすいです。また、人間扱いされない環境で育つと、その後の大人になる過程で様々な精神的・身体的な問題を抱える可能性が高まります。具体的には、鬱病や適応障害、解離性障害、回避性パーソナリティ障害、慢性疲労、慢性疼痛などが挙げられます。
HSPの対処方法
HSPの人たちは、適切な環境で生活し、自分に合ったライフスタイルを構築することが大切です。彼らの幸福感と生産性に大きな影響を与えます。周りと比べて疲れやすいと感じるため、適度な運動や趣味などのリラックス方法を見つけることが必要です。 自分を大切にし、自分に合った生き方を見つかれば、充実した人生に送ることができます。
適切な環境とは、HSPが安心して生活できるような環境を指します。例えば、静かで安らかな場所や、自分がコントロールできる環境を選ぶことが大切です。また、ストレスの少ない教育サービスを提供する学校や、自分に合った生活リズムを設定できる職場を選ぶことも重要です。
HSPの人たちは、自分自身が感受性が強すぎることを受け入れ、自分の特性を理解し、適切な情報の取捨選択や、ストレスが溜まらないように自己管理を行うことが大切です。また、周りの人々にも理解してもらうことが必要であり、理解を得るためには、自分の気持ちや要求を伝えるコミュニケーションを取ることが大切です。と同時に、相手の意見や感情を理解し、建設的なコミュニケーションを行うことで、より良好な人間関係を築くことができます。
HSPが適切な環境を見つけ、自分自身の感受性を受け入れることで、彼らが感受性の強さをマイナス方向に発揮することがなくなり、プラス方向に変えることができます。つまり、HSPが自分自身を理解し、適切な環境を整えることで、自己肯定感が高まり、生産的かつ充実した人生を送ることができるようになるのです。
当相談室では、HSPに関するカウンセリングや心理療法を希望される方に対し、ご予約いただけるようになっております。予約は以下のボタンからお進みいただけます。

トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-02-20
論考 井上陽平
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