トラウマによる心身の凍りつきと痛み

複雑性PTSD

複雑なトラウマを抱えている人は、脅威を感じると自動的に闘争・逃走モードに入ります。この状態では、身を守るために攻撃性や敵意が高まりますが、それを抑え込もうとすることで身体が凍りついてしまうのです。まるで車のアクセルとブレーキを同時に踏んでいるかのような感覚に陥り、その結果、常に体が緊張しガチガチになってしまいます。

この緊張状態は一時的なものではなく、長期間にわたって続くことが多いです。過去のトラウマによって形成された過敏な神経系が、日常生活の些細な刺激に対しても過剰に反応してしまうのです。その結果、常に警戒心を抱きながら生活することになり、心身ともに疲弊してしまいます。

さらに、トラウマを抱える人々は、過去の経験によって安全な環境や信頼できる人間関係を築くことが難しくなります。自分自身を守るために他者との関わりを避け、孤立感や疎外感を感じることが多くなります。この孤立感は、さらに自己防衛のための行動を強化し、負のスパイラルに陥ることになります。

複雑なトラウマがもたらす心身の緊張とその影響

複雑なトラウマを抱え、身体に痛みを抱える人は、無防備な状態でいることが難しくなります。彼らは、不意を突かれると、痛みがダイレクトに刺さる恐れがあるため、いつも身体をガチガチに固め、凍りついた状態でいることが多いです。子どもの頃から、周囲の人に期待したり、安心して信頼を寄せていても、その信頼が裏切られてきた経験があるため、防衛本能が過剰に働いているのです。結果として、危険を感じる対象には決して近づかないようにしています。

このような防衛的な行動は、彼らが何度も裏切られたり、傷つけられたりしてきたことに起因しています。例えば、家庭内での虐待や学校でのいじめ、友人関係の裏切りなど、過去に経験した痛みが彼らの心と身体に深く刻み込まれているのです。そのため、彼らは常に警戒心を張り巡らせ、少しでも危険を感じると身体が自動的に硬直するようになっています。

さらに、この状態は単なる心理的な反応に留まらず、身体的な健康にも影響を及ぼします。筋肉の緊張が常態化することで、慢性的な痛みや身体の不調が引き起こされることがあります。また、この状態が長期間続くと、体内のホルモンバランスが乱れ、慢性的なストレスが心身に悪影響を及ぼします。常に高いストレスレベルが続くことで、免疫力の低下や消化不良、不眠症などの身体的な問題が発生することがあります。

過敏な緊張状態と情報過多

凍りついている人は、日常生活の中で常に緊張と不安を抱えており、その結果として交感神経が過剰に働いています。特に対人場面や人が多く集まる場所では、その緊張は一層強まり、人の気配を敏感に感じ取りながら、頭の中には次々と情報が飛び込んできます。彼らにとっては、人を観察することが日常の一部となっており、周囲の状況や人々の行動を絶えず分析しています。

この過剰な情報処理は、彼らが自分自身を守るための必死な努力の一環です。彼らは他人の表情や行動、言葉の一つ一つを細かく分析し、そこから得られる情報を基に、自分にとって安全な人かどうか、また危険がないかどうかを見極めようとします。このプロセスは非常にエネルギーを消耗するものであり、常に頭がフル回転している状態が続きます。

彼らのこのような状態は、対人関係の築き方にも大きな影響を与えます。他人との交流において、常に相手の出方を伺い、自己防衛の姿勢を崩さないため、自然なコミュニケーションが難しくなります。その結果、孤立感や孤独感が増し、心の中には常に緊張と不安が渦巻いています。

複雑なトラウマが日常生活に及ぼす影響と回復への道

複雑なトラウマを抱え、凍りついてしまう人は、逃げ場のない状況に追い詰められると、身体がガチガチに固まり、強い痛みが走ることがあります。この身体的な反応から、周りの人々や出来事が非常に怖く感じられ、自分を守るために過剰な警戒心が働くのです。

このような反応が繰り返されると、人間関係が非常に難しくなります。人が怖く感じられ、再び傷つけられることへの恐れが増大します。そのため、自分の傷を掠める恐れのある状況や人々を回避するようになります。これは自己防衛の一環ですが、同時に社会的な資源を得ることが難しくなります。

こうした状態にある人々は、過去の経験に基づいて「安全でない」と感じる状況を避け続けるため、生活の質が大きく低下します。彼らは過去のトラウマから解放されることなく、常にその影響を受け続けるのです。

このような状態を改善するためには、まず自分自身の感情や身体の反応を理解し、受け入れることが重要です。トラウマを抱える人々が安全な環境で徐々に自己防衛の緊張を解放し、心の傷を癒すためには、専門的なカウンセリングやセラピーが必要です。これにより、彼らは過去のトラウマから解放され、より健全な人間関係を築くことが可能になります。

また、周囲の理解と支援も不可欠です。トラウマを抱える人々が再び安心して生活できるようになるためには、家族や友人、社会全体が彼らの状況を理解し、適切なサポートを提供することが求められます。共感と理解を持って接することで、彼らが再び心身の平穏を取り戻し、自分自身を解放する手助けとなるでしょう。

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