トラウマを克服する方法

ここではトラウマを克服するために大切なことを載せています。トラウマを克服するにあたって、安心・安全な環境が必要です。自分の力で脅威を遠ざけて、何かに支えられているときに効果が出ます。

トラウマを克服する方法

トラウマとは

トラウマとは、命の危機を感じるときに起きますが、誰かに助けを求めて、助けてもらう体験をすると、トラウマ化しません。しかし、誰かに助けを求めようとしても、その行動が上手く取れないと、交感神経の働きが過剰になり、心臓は拍動を強めて、血液を全身に送り、筋肉が動いて、闘争か逃走への反応が出ます。しかし、自分が脅かされることが繰り返されると、筋肉が硬直して、身動きが取れなくなり、凍りつき反応が出ます。人が凍りつくと、手足の感覚が麻痺して動けなくなり、声を出せず、叫ぶことも出来なくなります。そのまま抵抗できない場合には、死んだふりをします。一方、息の根を止められそうになると、筋肉が崩壊して、心臓の働きが弱まり、心拍数や血圧が下がって、虚脱の状態になります。虚脱状態の人は、身体の感覚が麻痺して、自分の気持ちが分からなくなり、この世界との接点が失われます。

闘争か逃走、凍りつき/死んだふり、虚脱のトラウマ反応は、過去のある場面で、生き延びるのに有効だった反応になります。トラウマを克服するには、このようなトラウマの痕跡が今もどのような形で身体に現れるかを見ていく必要があります。トラウマケアのワークでは、今までどんな怖い目に遭わされてきたかを話して、自分の力で、トラウマ的状況を踏み止まれるようにします。そして、自然に回復していく力に身を委ねて、身体の中に滞っていたエネルギーを解放します。

トラウマを克服する方法

複雑なトラウマがある人は、環境の次なる変化に対して、筋肉や内臓は危機や崩壊への不安があり、脳は防衛的な働きをして、過緊張状態にあります。トラウマを克服するには、自分の身体の怯えている部分や、怒りの部分を見ていき、なぜ怖がっているのかを理解していきます。そして、自分の身体の反応に対して距離を置いて見れるようにして、身体をケアしていきます。自分の身体と仲良くなり、身体に刻まれた傷が疼いても、その身体感覚や感情に圧倒されないようにして、自分を落ち着かせる方法を習得する必要があります。

スポーツジムで体を鍛えるというイメージよりは、ヨガや瞑想をして、しなやかで柔らかい、弾力性のある身体を作ります。自分を落ち着かさせる方法は、身体ワークやイメージワーク、ヨガ、瞑想を用いて、筋肉を伸ばしたり縮ませたりして、内臓を安心させ、神経を安定した状態にします。

身体ワークの重要性

複雑なトラウマを抱えて、解離・離人症状が出ている人は、カウンセラーが傾聴する言葉だけのカウンセリングや、これまでに採用されていたセラピーの方法では、全てが表面で滑っている感じで、心の中まで入ってこなくて、身体にも全く反応が起きません。ソマティックエクスペリエンスなどの身体ワークでは、身体感覚による実感が伴っているため、ものすごく心も身体も反応して、突然涙が出てきて、悲しんだり、良かった頃の記憶を思い出したりします。

先々の不安より好奇心に目を向ける

トラウマが重度な人ほど、脅かされる体験が繰り返されてきたため、身体が凍りつくか、虚脱化しており、感覚が麻痺して、思考が勝手に浮かんでくる状態にあります。そして、先々のことが不安になり、目の前の問題を解決したくても、不安が頭をよぎります。問題を解決したいのにできなくて、思い悩んで、考え事がいくつか頭の中を回って、大事なことが決断できません。

そのため、先々のことを予測して不安になるのではなく、好奇心に目を向けることが重要です。 解離・離人症状も治そうとか嫌な感じに乗っ取られるのを怖がるのではなく、自分の中に起きていることに興味・関心を持っていきましょう。そして、防衛的な脳を働かすのではなく、好奇心を追求できる状態にします。

身体を落ち着かせる方法

トラウマがある人は、神経生物学的な視点から、身体の状態に気づき、身体に何が起きるかを見ていくことが重要になります。今この瞬間の身体の状態に着目する方法として、ヨガや瞑想などの伝統的なアプローチが有効と言われています。ヨガや瞑想、マインドフルネス、フォーカシングを用いて、今どんな感覚があるか、次に何が起きるか、どんな変化が起きるか、その変化に抵抗せずに見ていきます。

複雑なトラウマを抱えている人が、今の身体に着目すると、最初は見ることを怖がったり、何も感じられなかったりします。それは、彼らが、戦うか逃げるか反応や、凍りつき反応の渦中にいるため、落ち着かない、寒気、痛み、震え、吐き気、不快感が出てきます。その不快感を自分ひとりで立ち向かうのは困難なので、セラピストを支えにして自分を見ていくのが良いでしょう。自分で自分を見て、不快な感覚や感情に巻き込まれず、現在の安心・安全感に意識を向けられるようにして、身体を落ち着かせることが目標になります。今ここにいて、身体を落ち着かせることができれば、神経の働きが安定して、防衛的な脳の働きも変わります。

恐怖を感じるメカニズム

身体が凍りつきから、虚脱しているときは、脳に危険信号が送られ、扁桃体が強く反応して、人は恐怖を感じます。人は、恐怖を感じても、情動脳よりも理性脳がしっかり働いている場合は、恐怖を抑制できます。また、脅威に対して、純粋に戦えているときは恐怖を感じません。脅威に対して、怯えて身動きが取れなくなるから恐怖を感じます。人は凍りつき(筋肉が収縮)や虚脱(筋肉が崩壊)した状態から抜け出せると安全感に変わります。

イメージワークと身体ワーク

トラウマを克服するには、主にイメージワークと身体ワークを併用します。セラピストがクライエントを無意識下にアクセスしやすいように誘導し、そこで浮かんできたイメージや空想を見ていって、内なる旅をしていきます。例えば、①安心するイメージや望ましいイメージをして、自分の身体を楽にする。②自分の身体の違和感に着目して、そこから浮かんでくるイメージや空想を使って自分を癒す。③心(頭)の中に浮かんでくるイメージや空想、考えを自由連想していくなどあります。

トラウマを克服する方法を一部取り上げると、こんな感じです。まずは、部屋の中で安心できるイメージをして、 その良い気配を目で見ていき、身体を楽にします。次に、部屋の中に脅威があるというイメージをして、人から傷つけられる場面を目で見ていき、全身が収縮して、トラウマを受けた時の身体の状態を見ていきます。そして、凍りつきや虚脱した状態にしながら、闘争・逃走のエネルギーを用いて、自分を守るための身体的をやり遂げたり、納得できる答えを見つけたりします。自分なりに脅威が遠ざけたり、倒したりすることで、身体に安心感が戻ってきます。トラウマ反応の一連の流れを追体験して、身体の反応と気持ちを一致させて、トラウマを癒します。

また、イメージや空想を膨らましていって、天国のイメージ(息がしやすくて、血液の流れが良くなり、至福の体)に浸ったり、地獄のイメージ(手足が冷え、息苦しく、気を失う)から逃げ出したりして、自分の心や身体に対する見方を変えていきます。一人では難しいので、セラピストと地獄のもとへ下りていって、その痛みに耐えたり、天国と地獄の間をゆっくり行き来することで、ちょっとずつ健康の層が上がり、真に変容することが可能になります。地獄に対する経験が変わっていけば、不快なことへの態度や思考を変えることができて、ストレスへの対応の仕方が変わります。

ヨガでトラウマから自由になる

ヨガは、身体の反応が鈍くなっている人がその感度を上げるために行われます。一般に、人は普段から同じようなことしかしていないので、身体をうまく使えていません。ヨガでは、身体の眠っているところを目覚めさせてあげます。普段から呼吸が浅いなら、肺を大きくして、呼吸を深くします。また、身体の縮まっているところをストレッチして伸ばしていくことで、血液の循環が良くなり、内臓が活性化して、身体が良くなります。

トラウマのエネルギーの解放

複雑なトラウマがある人は、脅かされることが繰り返されてきたため、闘争・逃走反応が失敗に終わり、身体が動かなくなってきました。身体の中には、闘争か逃走へのエネルギーが滞っており、トラウマによって凍りついた部分を解放する必要があります。

トラウマ治療では、自発的に恐怖に向き合い、追い詰められていく状況を作って、身体が固まっていくのを感じます。そして、そのプレッシャーを跳ね返すようなイメージをして、筋肉や神経に滞っているものを震わしたり、ビリビリしたり、吐き出したりして、身体の中からエネルギーを解放して、生き生きした自分を取り戻します。

トラウマのエネルギーを解放し、凍りつきや虚脱状態が抜け出ると、目の見え方が正常に戻り、感覚が戻ってきて、この世界との接点が生まれます。自分の気持ちが分かり、人生の方向性が見えてきます。トラウマを克服するには、このようなエクササイズを長期に渡り継続が必要になります。

トラウマ専門のセラピストの姿勢は

トラウマ治療では、クライエントに対して、安心・安全な場所を提供し、自由に思ったことを話やすい態度を取ることです。 セラピストは、クライエントに無条件の肯定的配慮と共感的理解を示せるように、自己一致(純粋性)を高めていく訓練が必要です。セラピストは職業としているので、精神科医のように営利を求めて、効率性や生産性を重視している面はあります。しかし、その利己的な段階に留まっている限り、トラウマに苦しんでいる人を助けることができません。トラウマを扱うセラピストは、自分や組織の利益よりも、クライエントの利益を最大限にするように努めます。

日常生活のセルフケア

複雑なトラウマがある人は、とても辛く、とても苦しい毎日を過ごしています。日常生活がとても辛くても、そこから逃れられるように身体に着目する必要があります。今とても辛い状況にある人でも、薬を飲んだりせずに、自分の身体を落ち着かせることを学ぶことで、辛さが消えます。自分の身体を落ち着かせる方法を学べば、感情の調節がうまくいくようになり、落ち着いて過ごす時間が増えることで、数か月前とは比べものにならないくらい体調が良くなります。何年もわたって、トラウマケアのワークやセルフモニタリングを繰り返していくことが重要です。

身体感覚の麻痺を解く

トラウマや発達障害の人は 、神経発達の問題から身体に問題があり、 毎日がしんどくて感覚が麻痺していきます。 身体感覚の麻痺を解く方法は、ジャンプ、トランポリン、身体に振動を与える、身体を軽く叩く、ヴーと声を出して腹から息を吐く、体の揺れや震え、スムービーリング、楽しく全身運動など行い、ボディイメージを取り戻していきます。例えば、縄跳びするようにジャンプしたり、ヴーと声を出して腹の中から息を吐きましょう。 そして、お腹から脳に、下から上にエネルギーが流れる感じをみていきましょう。身体の感覚が分かるようになると、自分は疲れを知ることになるので、嫌なことから逃げれるようになります。

身体の凍りつきをケアする

身体の麻痺が解けていくと、痛みや凝りが表面化するので、みぞおちが苦しい 首や喉、胸、鼻が詰まる、全身が詰まる、ヘドロにまみれたような身体のように感じるかもしれません。身体が凍りついている人は、筋肉が縮まっているところを伸ばす必要があり、ヨガ、ストレッチ、マッサージ、歌、ダンス、話をするなどが有効です。また、自分を身体から嫌なもの振り落とすためのトラウマに焦点を当てたワークも有効です。人は寝ているとき、身体を動かせず固まっていくので、目が覚めたら朝食をとって、ヨガで筋肉を伸ばしてください。夜寝る前は、ストレッチで筋肉を伸ばしてあげると効果的です。

身体に良い体験を刻む

トラウマの状態から抜け出すには、安心・安全な感覚を体に刻む必要があります。日常生活のなかで、神社仏閣巡りや自然暮らし、人との交流を重ねるなど、良い経験を重ねていくことで、心と身体の変化が出てきます。

毎日続けることで身体が変わる

普段から、トラウマの身体ワークとイメージワーク、ヨガ、瞑想を毎日行って、縮まった身体を伸ばしてあげて、心地良い状態を作ることにより、血流が良くなり、手足の末端まで血液がいって、基礎体温が上がります。また、胸が楽で、呼吸がしやすく、頭がクリアになります。健康度が上がることにより、自律神経系や免疫力、ホルモンバランスなどが整い、風邪を引きにくく、不眠やうつ、PMS、過呼吸、体調不良などが緩和されて、外の世界に対して肯定的な感情が出ます。

健康な状態とは

トラウマの影響を受けていない状態とは、身体が固まっている状態でもなく、伸び切っている状態でもなく、落ち着かない状態でもない状態です。健康な状態は、自分の鎧を取り去って、防衛的な脳の働きが弱まり、社会と交流したいという状態です。今現在、地に足がついて、腹が据わり、安心や安全感を感じられて、無防備でいることも怖くなく、物事に動じない状態で、落ち着いています。頭はクリアで、視界ははっきり見えて、手足は温かく、みぞおちは柔らかいです。自分で不安を処理したり、感情の波が減って、自分で自分を調整できる状態です。就寝前のベッドでは、大の字で仰向けになり、頭がすっきり、目や顎に力が入らない、肩や首が楽、手足の力も抜ける、みぞおちがつかえていない状態です。 体重を全部マットに預けて、ぐっすり寝て、朝から身体が軽くて、思い悩むことが減って、元気な状態であればいいです。

トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2021-02-23
論考 井上陽平

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