トラウマ治療・カウンセリング|親子関係、心の傷を癒す段階

トラウマ治療のプロセスは、多くの場合、自己の内面への深い探求が必要です。特に、幼少期から虐待やネグレクトの経験をした人々にとって、そのプロセスは痛みを伴い、深い哀しみや孤独感、無力感に直面することを伴います。しかし、自己回復の旅はその苦しみを通り抜け、混乱と困難の中から成長、和解、そして愛を見つける可能性を秘めています。

カウンセリングとセラピー

カウンセリングは、対話を介した精神的な探求の旅です。それは心の中を理論と論理で解明しようとするプロセスで、深い洞察力をもたらすことができます。しかし、この方法は、自己の肉体的存在を見過ごし、口頭での表現に専念する結果となることがしばしばあります。それにより、感情や感覚が抑制され、不明瞭なままになる可能性があるのです。

対照的に、トラウマのセラピーは、さまざまなレベルでの体験と感受性を重視します。セラピストとの間の沈黙は、内的な探求を可能にし、その静寂の中で新たな洞察が生まれる空間を提供します。それは、自己のイメージに耽る、感情を深く掘り下げる、身体の感覚を感じるといった行為を可能にするのです。

このようにして、トラウマのセラピーは、体験自体を強調します。そのためには、理論的な言語表現だけでなく、体からの感覚や感情的な表現を含めて全体の体験を捉え、理解しようとするものです。それは私たちの身体性と深層心理が一緒に働き、体験を通して私たちがどのように世界を理解し、反応しているかを描き出すための重要なプロセスとなります。

第一の段階、トラウマから自己回復

トラウマからの回復と自己成長のプロセスは、内面の声に注意深く耳を傾け、自己への深い理解と優しさをもって取り組むことから始まります。これは、単に過去の痛みを忘れることではなく、内なる感情や恐れに真摯に向き合うことを意味します。自分の内なる声に耳を傾けることは、自分の感情やニーズを深く理解し、それに対して共感的に応えることを学ぶことです。このプロセスでは、自己を優しく抱きしめ、自分自身の経験と感情を認めることが重要です。

癒しの旅、心の傷を癒していくこと

トラウマの影響を受けた者たちが自己回復への道を踏み出すとき、その最初のステップはしばしば自身の癒しを追求することです。これは、現実世界からは離れて、一人で立ち向かう、内面への深遠な旅であり、その道のりは常に自己の内側に向かいます。

時折、この旅路は涙に覆われることもあります。大切な人の思い出にふけり、心の中で色とりどりの空想の風景を描きます。あるいは、愛する人への深い思いに心を委ね、そのまま眠りの世界に身をゆだねることもあります。

この旅の過程で、解離という特有の精神エネルギーが一種の道具となることがあります。それは、自己を癒すため、そして自己理解を深めるための極めてパーソナルなカタルシスとなります。この解離の力によって、自身を包み込む痛みから一時的に自由となり、また新たな視点から自己を理解する機会を得ることができます。

癒しと狂気の狭間で

トラウマを経験した人々は、現実世界から距離を置き、自己の内面に隠れる傾向があることがあります。このプロセスでは、神秘的な存在や概念が関与することがあり、それが幻想の世界への深い没入を促す場合があります。これは、現実からの一時的な逃避や、心の安らぎを見つけるための手段となることがあります。

この解離とは、しばしば強烈な不安からの一時的な逃避と現実の厳しい再認識という二面性を内包しています。それは一方で救いを提供し、刹那的に精神的ストレスから開放される感覚を与えます。しかし同時に、現状の過酷さや生々しさをより一層強く感じさせ、容赦なく現実へと引き戻すという特性を持っています。

解離は、さながら綱渡りのような緊迫感をもたらすことがあります。視野が狭まり、現実世界の荒れ狂う風景が全てを占めていく中、寒々とした切迫感が心に深く突き刺さります。それはまた、現実の過酷さが突きつけられ、深淵へと落とされるような経験も引き起こすことがあります。

これらの解離体験は、一歩間違えば崩れ去りそうな弱く、脆い道を歩むような感覚になります。それはまるで、凍りついた体で、細いワイヤーや薄い氷の上を進むような、極度の注意と緊張を要する状況を体験することに等しいです。その中で、自身の精神と現実とが微妙なバランスを保ちつつ進むというのは、自己と現実の連続性を深く感じる体験とも言えるでしょう。

第二の段階、トラウマの再生

自己の真の成長においては、恐れや不安に直面し、それに向かって行動する勇気が必要です。これは、自分の内面にある不安や恐れを避けるのではなく、それらを受け入れて自分の一部として認識することを意味します。自分自身の深い部分を受け入れることで、私たちは自己の完全性に近づき、真の自己実現に向けて前進することができます。

戦う逃げる・抗う力を獲得する

トラウマからの再生と成長の旅は、自らを傷つけた親からの心理的な距離を築くことを求めます。これは、自己保護のための回避能力と、抵抗する力を発展させる重要なステップです。この過程では、安全な空間を守るためのスキルや、何処かから舞い降りるような超越的な力との結びつきを深めます。

また、極限の生死の瀬戸際に立たされた時、内側から湧き上がる戦闘的なエネルギーを使いこなすことは、自己の進化と強化のための有効な糧となります。それは、自身を研ぎ澄ますための強力な駆動力であり、この熱量を自己改善のプロセスに結びつけることで、私たちは困難を乗り越える力を見つけ出すことができます。

これらは、人生の中で目を背けてきた真実、避けてきた問題と真正面から向き合う勇気を身につけるという、非常に個人的でありながら普遍的な旅を歩むことを意味します。それは、自己を理解し、認識し、受け入れるという途方もない努力を伴います。それぞれの段階では、自分自身との関係を再定義し、自身を中心とした世界を再構築することが求められます。

身体や感情にフォーカスする

苦しみは時として無情なように永遠を感じさせ、我々を深い絶望の渦中に引きずり込むことがあります。しかし、その痛みと闘いながら進む道のりは、新たな希望に繋がる重要な旅路となり得ます。それは時に荒波に翻弄され、自身の存在すらも曖昧になりがちなほどの苦悩を伴いますが、他方で静かな時を経て、心地良い安息を見つけることもあります。

この旅路を渡る中で、ひとつの鍵となるのは、自分自身の本音や気持ちに対する誠実さです。自分の内側にある感情を無理に抑え込むことなく、思いのままに表現し、自己がそれを肯定し、受け入れることが重要です。この開放によって、心と体の緊張が解放され、長い間自分の中に封じ込めてきた苦しみが遂に表面に現れます。それは解放の一歩であり、自己の存在を再確認し、現在の自分がどのような状態にあるのかを理解する助けとなります。

自分の身体や感情を大切にすることは、自分自身への敬意であり、それによって自己認識が深まり、自分の立ち位置がはっきりします。そしてこのような自己受容と理解は、苦しみと闘いながら新たな希望へと進む旅路を歩む上で、心に安息をもたらし、より明確で堅固な一歩を踏み出す力となります。

子ども時代にフォーカスする

内側に湧き上がるエネルギーの源は、自己の深層に存在する子ども時代の私自身と向き合い、その存在を認識し、寄り添った結果と言えます。この子どもの私は、親の巨大な存在に対して深く根付いた恐怖心を持っていることがあります。親の力が強大な場合、その影に隠れるしかなくなります。

しかし、現在の成人としての私が、その恐怖に包まれた子どもの私に対して「これからは私が守り、支える」と約束を交わしたとき、何かが変わり始めます。その約束が、子どもの私を安心させ、心を開かせる契機となります。大人の私と子どもの私、この二つの存在が手を取り合い、互いに力を合わせることで、強固な信頼関係と絆を築くことができます。そして、その信頼と絆は、より強大なエネルギーへと変換され、私自身の内側から広がります。

この内側からの力は、親の呪縛を解き放ち、自我を持つ力となります。抵抗する力は、子どもの私と大人の私が共に作り出したエネルギーであり、この力が私自身を前進させ、人生を切り開く原動力となります。

最後の段階、善と悪を統合する

そして、回復の旅の終わりに位置するのは、虐待の加害者であった親との和解、許し、そして愛の再発見です。これは、自己を苦しめてきた存在への混迷した感情、明暗交互の心情を統合し、理解することを求められます。

善と悪の二元論を越えて、すべての存在には善と悪が両方とも在ることを認識し、それを受け入れることが求められます。長年にわたる憎しみを超えて親を許し、愛を再認識することにより、自身だけでなく家族全体が癒され、その理解に至ることを可能にします。

もし虐待を加えた親が年老いて小さくなった場合、その体を直接抱きしめることも選択肢となります。しかし、親が依然として強大な存在である場合、あるいはすでに亡くなっている場合でも、心の中で彼らを思い描き、あたかも彼らの身体を包み込むような優しを感じることが大切です。そして、かつては恐怖と結びついていた存在が、時間と共に小さくなり力を失っていくという変化を体感することが大切です。

これらすべては、かつて自身を傷つけた存在との和解を通じて、自己と他者、そして世界全体との深いつながりを再認識する旅の一部です。

忌々しい対象を抱きしめる

心の中でかつて自分を虐待した忌々しい対象を抱きしめる強さとは、これは感情の渦中でも混乱や対立が存在する中でも、愛する人物や対象への熱い思いを失わず、彼らをそのまま受け入れる能力を指します。具体的には、憎しみや恐れといった否定的な感情を超え、内なる和解や許しの感情を見つけ出すことができる力のことです。

この力が育つとき、私たちは自分自身の心を広げ、他者をそのまま認め、大らかさを持つことができるようになります。これは人間関係における理解を深め、自己の成長を促すものです。

忌々しいと感じる対象が存在する場合、その対象は自己の無実を信じて抵抗したり、自己保身のために反抗したりすることがあります。しかし、この対象を抱きしめる強さとは、そのような対象の反応や行動を理解し、包み込むことができる包容力を身につけることを意味します。

これは決して簡単なことではありません。しかし、そうした困難を通じて、人間関係の深い理解や自己の成長を実現することができます。対立や困難を乗り越え、混乱の中でも相手を理解し、受け入れることができるこの力は、人間関係を深め、より強い絆を形成することに繋がります。

悪の中から善を探求する

相手の本質を見抜き、その中に輝く美徳を探し出すことは、感情の風景を豊かに彩る鍵となります。たとえその善が微細な光芒であったとしても、その存在に気付き、それを受け入れることで、人々の視点は、その人物に対する認識をゆっくりと変えていきます。

この善の探求は、徐々に相手に対する認識を好転させ、かつて悪い印象を抱かせた部分が目立ってしまう事実に気づく糸口となります。そしてここで重要なのは、その不完全な部分がその人全体を代表するものではないと理解することです。その不完全さは彼らの一部であるに過ぎず、それを超えた全体像を捉えるための基石となります。

善を探す旅は決して容易なものではありません。しかし、その善を小さな部分であっても見つけ出し、一つひとつ心に留めていくことで、相手の印象は必然的に良いものへと変化していきます。この微細な変化は、次第に大きな波となり、我々の見方や理解を変革し、相手に対する認識をより肯定的なものへと導きます。

最終的には

結果として、長年抱えてきた苦痛が次第に緩和し、親や家族に対する苦しみや哀しみが徐々に減退します。自然と、親や家族に対する激怒や恐怖もゆっくりと薄れていきます。無論、これらの感情を持つこと自体は間違いではありません。しかし、その感情や葛藤を超えて親を包み込み、許し、愛し、和解する力が、身体の緊張を解きほぐし、より安らかな状態に導きます。

このような治療の旅を通じて、以前は強い緊張に縛られていた自身が次第に解放され、生活に安堵感を見いだすことができるようになります。症状が薄れ、心身の自由が増すにつれて、世界は自分にとってより広大で豊かに感じられるようになるでしょう。これは、あなた自身の成長と発展のための充実した旅であり、その結果、あなたはより広い世界を全うに味わうことができます。

このように、トラウマの治療は自分自身を愛し、過去の痛みを乗り越え、人生を自由に生きる力を取り戻すプロセスとなります。トラウマからの回復とは、痛みを認識し、理解し、和解し、そして愛を見つけることで、真の自己回復へと繋がる道筋です。これこそが、トラウマ治療の目標であり、その達成は患者自身の内面的な成長と回復に深く結びついています。

トラウマ治療で重要なポイント

立ち向かうべきトラウマは、全体の一部としての光と闇を理解することから始まります。これは、私たちが抱える喜びと苦しみ、成功と失敗、善と悪、全てが一体となって人生を形成するという認識を含んでいます。その中での精神的な強さと身体的な強さが必要です。精神的な強さは、困難な状況に遭遇したときに立ち直るためのレジリエンスを表し、身体的な強さは、逆境に耐え抜くためのエネルギーと健康を意味します。

人生の多くの葛藤やそれに伴う痛みに対抗するためには、揺るぎない信念が必要不可欠となります。この信念は、自身の価値観、理想、そして目標への堅固な信頼となります。それは逆風が吹くときでもあなたを躓かせずに前に進ませ、あなたの人生の舵をしっかりと握ることを可能にする力となります。

また、人間として全体的な経験を理解するためには、対象に対する愛と憎しみの双方を経験し、自分自身に対しても愛と憎しみを認める必要があります。つまり、自分の感情全体を認知し、受け入れることから始まります。そして悪魔的な内面にも善の要素が存在することを知るべきです。このことから、私たちは全ての人間が完全に善か悪いわけではなく、それぞれが複雑な善悪の混ざり合った存在であることを理解することができます。

さらに、現実の逃避から目を覚まし、見え隠れする不安や恐怖との闘いを直視し、それらを克服することが求められます。これは、厳しい現実に真摯に向き合い、障害や不安に勇敢に立ち向かい、その全てを乗り越えるという力を持つことを意味しています。

そして、強い思いやりの気持ちから真の変容が生まれます。人間関係の中で、他者への深い理解と共感を持つことで、自己の成長と変化を促します。しかし、その成長を遂げるには、嫌悪感に震えるほどの困難に立ち向かう必要があります。これは、自分の限界を超えて挑戦する勇気が求められることを示しています。心地良い範囲でなく、自分が不快に感じる場所に踏み出し、そこでの経験から成長と学びを得ることが重要です。

この全ては容易な道のりではありません。これは、複雑さと困難を乗り越えるための粘り強さと覚悟が必要ということを意味します。時には失敗することもありますが、それら全てを通じて自分を理解し、自分自身の成長につなげることが重要です。

したがって、トラウマに立ち向かうためには、光と闇を含む自分自身と他者への深い理解、精神的な強さと身体的な強さ、強固な信念、全ての感情の受け入れ、現実と向き合う勇気、そして他者への深い思いやりと覚悟が必要です。これら全てが一体となって、トラウマに立ち向かい、その結果としての成長と変容を可能にします。

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トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2023-06-09
論考 井上陽平

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