カウンセリングが必要な人、気軽に受けたい人

カウンセリングについてご存じない方も多いと思われますので、トラウマケア専門こころのえ相談室にて行っているカウンセリングについて説明します。

カウンセリングとは

カウンセリングとは、相談するという意味であり、依頼者の抱える個人の心理的問題、悩みなどに対し、専門的な知識や技術を用いて行われる相談業務のことです。カウンセリングは、クライエントの状況やニーズに合わせて、個別に設計されます。

通常は、心理相談室で心理学的立場からの専門家と定期的に相談することを言い、カウンセリングを行う者をカウンセラー、カウンセリングを受ける者をクライエントと呼びます。カウンセリングは、専門的な知識や技術を用いて、クライエントの状況や問題に対して理解を深め、解決策を提供します。

カウンセリングは、心理療法や精神療法と呼ばれることもあります。心理療法は、カウンセリングの一形態であり、心理的問題を抱えているクライエントに対して、さまざまな方法を用いて問題解決を支援することを目的としています。精神療法は、心身の病気や障害を持つクライエントに対して、医師や心理士などの専門家が治療を行うことを指します。

カウンセリングが必要な人は

カウンセリングが必要な人は、様々なトラブルやストレスを抱えている人です。彼らは、様々な背景や経験を持っていますが、以下のような例が挙げられます。

  • 人生の方向性に悩んでいる人
  • パートナー関係や家族関係のトラブルを抱えている人
  • 職場や学校でのストレスや問題を抱えている人
  • 自分自身に対する不安や自信問題を抱えている人
  • 過去のトラウマや傷を抱えている人
  • 精神的な疾患や障害を抱えている人

これらの人々に対して、カウンセリングは有益な役割を果たすことができます。また、カウンセリングは、これらの人々が自分自身を理解し、問題を克服するための支援を提供することができます。

トラウマ治療が必要な人は

ユング派のD.カルシェッドによると、トラウマを抱えた人々は、子ども時代に受けた外傷的な体験により、通常の感受性が圧倒され、内側へと押し込まれることに苦しみ続けていた。発達の初期段階で不安定な行動に悩まされ、その結果、打ちのめされ希望を失ってしまうかのように見えた。

彼らが心の中に閉じこもる世界は、よく子どもらしい空想に溢れている一方で、悲痛で憂鬱な様相を見せていた。彼らは自分の幼少期の経験に固執し、それは魔法のようでありながら、時代を生き抜いたものであったが、それらは彼らの成長と共に適応することはなかった。

彼らの心には成長や幸せへの憧れがあったが、より強固な部分では変化に対する抵抗が優っていた。彼らはその相反する感情の中で、自分たちの過去からの影響から逃れられずにいた。そんな彼らの内面の葛藤は、成長の道のりを複雑で険しいものにしていた。

知性と感受性に富んだ彼らは、まさにその感性が原因で、幼い頃に経験した激しい、または重ね合わさる感情的トラウマに悩まされた。早熟で自立した彼らは、成長の過程で両親との本当のつながりを断ち切り、空想の世界で自分の面倒を見るようになっていた。

彼らは自分たちを他人の攻撃の犠牲者と考えることが多く、自己防衛や個人的な成長が必要な状況でも、適切な自己主張ができなかった。外見上の強さや横柄さが、実際には彼らが恥じ入るべき秘密の依存心を隠していたため、心理療法において自己ケアの壁を取り除き、現実の人々に頼ることが難しかった。

彼らの感性と知性は、彼らに特別な個性を与えていたが、同時に過去の傷が彼らの心に深く影を落としていた。成長するごとに、現実と直面し、自分を受け入れる困難さを強く感じていた。それでも彼らは、自分たちの感性に立ち向かい、過去のトラウマを克服する道筋を探し求めていた。

ロジャースの来談者中心療法

カウンセリングには、様々な方法があります。カウンセリングの基礎理論としては、人間性心理学を創始したカール・ロジャーズの来談者中心療法で説明されることが多いです。カール・ロジャーズの来談者中心療法では、カウンセラーは3つの条件を満たすことが重要とされています。それらの条件は、「無条件の肯定的配慮」「共感的理解」「自己一致」です。

「無条件の肯定的配慮」とは、カウンセラーがクライエントを肯定的に受け入れることを指します。クライエントが自分自身を受け入れることができるように、カウンセラーは判断をせず、クライエントを理解しようとする姿勢を持ちます。

「共感的理解」とは、カウンセラーがクライエントの状況や感情を理解することを指します。カウンセラーは、クライエントがどのような状況にあるかを理解し、その状況でどのように感じているかを共感することにより、クライエントをサポートします。

「自己一致」とは、カウンセラーが自分自身を素直に表現することを指します。カウンセラーが自分自身であることにより、クライエントは自分自身を受け入れ、自己理解を促進することができます。

ロジャースは、人間に対して楽観的な見方をしています。人間には有機体として自己実現する力が自然に備わっている。有機体としての成長と可能性の実現を行うのは、人間そのものの性質であり、本能である。カウンセリングの使命は、この成長と可能性の実現を促す環境をつくることにあると述べています。

ロジャースは、人間の成長と可能性の実現を促すことをカウンセリングの使命と考えています。カウンセラーは、クライエントに対して、無条件の肯定的配慮、共感的理解、自己一致の3つの条件を満たすことにより、クライエントが自己実現に向けた成長を促す環境を作り出すことが重要であると主張しています。

ロジャースは、自己成長をジャガイモの芽に喩えています。ロジャースは、子どもの頃に冬の食糧を貯蔵するための暗い地下室に置かれたジャガイモから、窓からもれる薄日に向かって伸びる芽を見たときに強い印象を受けました。

「彼らは、あまりに酷い状況を生きてきたために、その人生は異常で歪み、とても困難な状況にあろうとも、その基本的志向性を信頼することはできます。それは、たとえ十分な太陽や水がなくとも、誰に教わることなく、暗闇の中からでも光を探し、芽を上に出し成長をする力があります。それは、生命が自己を実現しようとする試みであり、成長と適応に向かいもがいている姿であり、成熟も開花もしないのかもしれない、けれども、あきらめることができないのだ」

ロジャースは、ジャガイモの芽が暗闇の中からでも自己実現を目指して成長する力を持っていることに注目しました。また、人間は生命を自己実現するために努力し、成長しようとする力を持っていると信じています。

カウンセラーの役目

一般に、心理相談室で行われるカウンセリングではカウンセラーからの具体的なアドバイスによって目の前の現実の問題を直接的に解決していくものではありません。カウンセラーは問題や症状のメカニズムを明らかにして、見立てを持ってカウンセリングを行いますが、問題解決のための正解とか答えを持っているわけではありません。明らかにした問題や症状に立ち向かうのはその人本人であり、カウンセラーは、解決する方法を一緒に考えるお手伝いをさせてもらいます。

カウンセリングを受けに来られる半分くらいの方は、カウンセラーに問題解決の方法や正しい答えを聞きたいとご相談に来られます。ただ、カウンセリングというのは、正解や答えを見つける場所というよりも、自分の欲求や感情に気づいて、意識化し、自分の本音や本当の感情を表現できるようにする場所です。そして、本来の自分を取り戻し、誰かといて幸せを感じられる自分を目指します。

ロジャースの教えでは、自分自身を受容したとき、人間には変化と成長が起きます。カウンセラーは、クライエントを無条件に受容し、尊重することによって、クライエントが自分自身を受容し、尊重することを促すのであるとされます。カウンセラーは、クライエントの気持ちに寄り添い、しっかり傾聴することが基本になります。

成長していくために必要な信念

カウンセリングやセラピーを通じて、人々が成長し、自分の個性を磨き続けるためには、人生の葛藤やそれに伴う苦悩に対して立ち向かう強い信念が不可欠になります。この信念は、自己の価値を見出し、困難を乗り越える力となります。また、この信念を持つことによって、人は自分をより深く理解し、自己の成長や変化を促すことができます。カウンセリングやセラピーは、そのような信念を築く上で有益な手段となり、人々が自分の強みや潜在能力を発揮し、充実した人生を歩むことをサポートします。

カウンセリングの効果

カウンセラーは、無批判な環境でのエントサポートを提供することができ、その人が自分自身の感情や考えに基づいて自分自身の行動を選択することを助けます。カウンセラーは、クライエントが自分自身を理解し、自己成長を促進するための支援を提供します。

カウンセリングは、個人が成長することを支援することができる力強いツールであり、心的な問題を抱えている人にとって非常に有益なリソースとなり得ます。カウンセリングを受けることで、クライエントは自分自身の感情や思いを抑えずに語り、心身の健康に役立つことが期待されます。

カウンセリングにおいて、クライエントがカウンセラーからの質問に答えることにより、自分自身の経験を詳細に語ることができます。クライエントが自分自身を客観的に見つめ直し、自己理解を深めることができます。カウンセリングを通して得られた洞察が、新しい体験と繋がり、古い行動パターンから新しいものへと変化を促すことがあります。

カウンセリングの回数・期間

カウンセリングは、同じカウンセラーによって週に1回以上行われます。時間や金銭的に余裕がない場合は、2週間に1回のペースで行います。1回の面接時間は90分で、前半は対話、後半は瞑想となります。毎週同じ時間に、同じカウンセリングルームで行います。

カウンセリングを行う空間は、隠された領域への旅を可能にし、地中深くに埋もれた真実を探求する場となります。健康保険を用いて費用を支払うことはできず、自費で支払う必要があります。

カウンセリングの期間は、ケースバイケースで異なりますが、通常一年以上かかることがあります。カウンセリングを継続することで、初めて自分と向き合うことができ、客観的に自分を知る場所として機能し、人生をより良く生きるための土台となるでしょう。

カウンセリングを受けるにあたり準備するもの

カウンセリングを受ける際に準備するべきものは、個々のカウンセラーやセラピーの種類によって異なりますが、一般的なものを以下に挙げます。

  • 自己紹介: カウンセラーに自己紹介をするための基本情報(名前、年齢、職業など)を準備しておきましょう。
  • 目標と期待: カウンセリングで達成したい目標や期待する効果を明確にしておくと、カウンセラーが適切なサポートを提供しやすくなります。
  • 悩みや問題: カウンセリングを受ける理由や抱えている悩みを整理しておくことが重要です。具体的な出来事や状況、感情などをメモしておくと良いでしょう。
  • これまでの対処法: これまでに試した対処法やその効果、効果がなかった理由などを考えておくと、カウンセラーがより適切なアドバイスを提供できます。
  • 質問リスト: カウンセリング中に聞きたい質問があれば、事前にリストアップしておくと良いでしょう。
  • 保険証やカウンセリング費用: 必要に応じて保険証やカウンセリング費用を準備しておきましょう。
  • 心の準備: カウンセリングは心の問題に取り組むためのものです。心を開いて、率直に自分の感情や悩みを話せる状態になることが大切です。

準備が整ったら、リラックスしてカウンセリングに臨むことが大切です。カウンセラーとの信頼関係を築くことが、効果的なカウンセリングにつながります。

初回のカウンセリングでは

初回のカウンセリングでは、カウンセラーから質問したり、自由に話をしてもらいます。カウンセラーが知りたいことには、以下のようなものが挙げられます。

  • 家族構成、父親、母親、兄弟、親にされてきたこと
  • 小学校、中学校、高校の学校生活
  • 子どもの頃の私 、理想化された私、攻撃的な私、心の中の私
  • 好きなもの、嫌なもの
  • 一日の過ごし方、社会生活、人間関係、ストレス、今困っていること、日常の楽しみ
  • 精神科、病院歴、一番初めの記憶、夢の記憶
  • 体の状態、心の様子、良くなりたいところ、治療目標

初回のカウンセリングでは、カウンセラーがこれらのことを聞き出すことで、クライアントの背景や状況を理解し、その後のカウンセリングに役立てることができます。また、クライアントが自分自身を振り返り、自分自身を客観的に捉えることもできます。初回カウンセリングは、カウンセリングに慣れることも含め、大切な時間となります。

2回目以降のカウンセリングは

生きづらくなっている人は、自分の思い込みが強すぎて自分自身を縛っていることがあります。親の価値観や世の中の常識、正しいことやこうあるべきことという規範に縛られていることが多いです。しかし、これらの規範や価値観は、世の中の金持ちや権力者が作っているに過ぎず、絶対的な価値観や正義というものは存在しません。

カウンセリングでは、クライエントが自分自身に向き合って、自分自身が納得できる答えを見つけ出し、自由に生きることを手助けします。カウンセラーは、クライエントの話を聞き、その人が抱える問題を理解し、解決する方法を一緒に考えるお手伝いをさせてもらいます。

カウンセリングを受けることで、クライエントは自分自身が持つ思考パターンや価値観を客観的に見つめ直すことができます。自分自身がどのような人間であるかを理解することで、自分自身を許し、受け入れることができるようになります。カウンセリングは、クライエントが自分自身と向き合い、自己成長を促進するための大切なツールとなります。

トラウマケア専門こころのえ相談室
公開 2021-01-28
論考 井上陽平

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