幼い頃から暴力や脅し、見捨てられるような経験を繰り返してきた人は、耐えがたい恐怖や痛みを、自分のものとして感じられなくなることがあります。身体はその場にあるのに、意識だけが遠くへ離れていく。目の前で起きていることを別の誰かの出来事のように眺めながら、何事もなかったかのように生活を続けることもあります。
学校では友達と笑い、家では親の顔色を読み、周囲から期待される役割をこなしている。その一方で、恐怖や悲しみを抱えた自分は、心の奥に取り残されているように感じられることがあります。
解離性同一性障害(DID)は、こうした解離と深い関わりを持ち、自己の感覚や記憶、意識のつながりに大きな変化が生じる精神疾患です。以前は多重人格障害と呼ばれ、現在も「主人格」「交代人格」という言葉で、異なる人格状態の関係が説明されることがあります。
当事者にとって苦しいのは、自分の中に複数の「私」が存在するように感じることに加えて、知らないうちに時間が過ぎ、記憶にない行動によって現実の生活が変わっていることです。あるときは大人として生活しながら、別のときには幼い子どものような恐怖や孤独に包まれ、自分が誰なのか分からなくなることもあります。
解離性同一性障害(DID)とは|主人格と交代人格の役割
解離性同一性障害では、異なる人格状態によって、感情や思考、話し方、身体感覚、周囲への反応が変化することがあります。ある状態では穏やかに過ごしているのに、別の状態では強い怒りや恐怖を感じるなど、自分の中に異なる意識や記憶を持つ存在がいるように経験される場合があります。
普段の生活を主に担う人格状態は「主人格」と呼ばれることがあります。学校や職場へ通い、家事をこなし、人間関係を維持しながら生活している一方で、自分の知らない時間が存在することに戸惑う場合があります。
一方、交代人格として経験される自己状態には、幼少期の恐怖や悲しみ、普段は表現できない怒りなどが強く結びついていることがあります。主人格が親に言い返すことを怖がっていても、別の人格状態では激しい怒りを表したり、危険から身を守ろうとしたりすることがあります。
また、主人格が交代人格の存在をほとんど知らない一方で、別の人格状態は主人格の日常をある程度把握している場合もあります。互いの存在を感じながら、記憶や感情を十分に共有できないこともあり、その関係は人によって異なります。
自分が誰なのか分からなくなる|自己同一性の混乱
主人格として普段の生活を送っていても、自分の内側にある感情を十分に理解できない場合があります。突然、強い悲しみや怒りが押し寄せてきても、何に反応しているのか分からず、「これは本当に自分の気持ちなのだろうか」と戸惑うことがあります。
身体は大人になっているのに、心のどこかでは幼い頃の時間が止まったままのように感じられる。年齢を重ねてきた実感が薄く、大人として振る舞おうとするほど、本来の自分が遠ざかっていくような感覚になる人もいます。
さらに、周囲の世界が薄い膜の向こう側にあるように感じられることもあります。目の前の人の声が遠くから聞こえ、物に触れていても感覚がはっきりせず、現実の中で自分だけが取り残されているように感じられるのです。
夢の中にいるような感覚の病気|解離・離人感・現実感消失症では、こうした現実感の変化について詳しく解説しています。
心を守るために生まれる「別の私」|幼少期のトラウマと解離
幼い子どもにとって、家庭は自分の力だけでは離れることのできない世界です。親から激しく怒鳴られたり、暴力を受けたり、突然拒絶されたりしても、子どもはその親との関係の中で生活を続けなければなりません。
特に、昨日まで優しかった親が突然怒り出したり、「愛している」と言いながら子どもの気持ちを踏みにじったりする家庭では、何をすれば安全なのか分からなくなります。相手の表情や声の調子を細かく読み取り、怒らせないように振る舞うことへ、絶えず注意を向けるようになります。
凍りつく身体と「もう一人の自分」
激しい恐怖に襲われると、身体が凍りついたように動かなくなることがあります。逃げたいと思っていても手足が動かず、助けを呼ぼうとしても声が出ない。目の前の出来事に圧倒されるうちに、周囲の音が遠くなり、身体の感覚まで薄れていく場合があります。
「こんな恐ろしいことが起きているけれど、これは私じゃない。ここにいるのは、もう一人の自分」
そう感じることで、耐えがたい痛みや恐怖から心理的な距離を取れることがあります。現実から意識が遠ざかり、自分だけが別の場所へ離れているような感覚になるのです。
こうした解離を幼少期から繰り返していると、日常生活に適応する自己状態と、強い恐怖や無力感を抱えた自己状態との間に隔たりが生じる場合があります。
「○○ちゃんはかわいそう」|自分の痛みを外側から眺める
耐えられないほどつらい出来事を経験したとき、自分自身を外から眺めるようになることがあります。
「○○ちゃんは、なんてかわいそうなんだろう」
自分の名前を呼びながら、傷ついている自分を別の子どものように感じる。その子が泣いていることも、怖がっていることも分かるのに、自分自身の痛みとしては十分に感じられなくなっているのです。
自分が傷ついていると認めることがあまりにつらいとき、別の子どもが苦しんでいるように感じることで、その場を耐えられたのかもしれません。
そして、普段の自分は何事もなかったかのように学校へ通い、親の期待に応えようとする。一方、怖かった気持ちや助けてほしかった気持ちは、遠く離れた場所に残されているように感じられることがあります。
慢性的な凍りつきと、心の中で分かれていく役割
強い緊張が長く続くと、自分が何を感じているのか分からなくなり、身体の感覚まで曖昧になることがあります。親の前では従順に振る舞い、学校では明るく笑い、危険を感じたときには何も感じないようにするなど、状況に応じて異なる心の状態で過ごすことがあります。
このような経験の中で、恐怖や悲しみを抱える自己状態、周囲に適応する自己状態、怒りによって身を守ろうとする自己状態などが、異なる役割を担っているように感じられる場合があります。
解離性同一性障害の形成については、幼少期の慢性的なトラウマや養育環境と深い関連があると考えられています。ただし、発症の経緯には個人差があり、トラウマを経験した人が必ずDIDになるわけではありません。
解離という心の防衛反応|現実が遠くなるときでは、こうした意識や感情の切り離しについて詳しく扱っています。
心の「盾」として生まれた人格|痛みを抱えた自己が独自の役割を持つ
幼少期に自分を守ることができなかった経験は、成長してからの感情の表し方にも影響することがあります。
本当は怒りたかったのに、怒るとさらに傷つけられるため、何も言わずに我慢していた。助けを求めたかったのに、誰も来てくれなかった。そのような経験が続くと、怒りや悲しみを普段の自分から遠ざけ、別の自己状態に結びつけて感じる場合があります。
こうした人格状態は、本人にとって心の「盾」のような役割を担うことがあります。
例えば、次のような働きがみられる場合があります。
- 日常生活を担う人格: 学校や仕事、人間関係を維持し、普段の生活を続けようとする。
- 幼い子どもの人格: 過去の恐怖や寂しさ、甘えたい気持ちが強く現れる。
- 自分を守る人格: 危険を感じると怒りや警戒心を強め、相手に対抗しようとする。
- 感情を切り離す人格: 苦しい場面でも痛みや恐怖を感じにくくなり、淡々と対応する。
それぞれの状態が異なる感情や記憶と結びついていると、本人は自分の反応を十分に理解できなくなることがあります。ある人格状態では相手を信頼しているのに、別の状態ではその人を強く警戒する。普段の自分には怒っている理由が分からず、後になって自分の言動を知り、困惑することもあります。
かつては心を守るために働いていた反応が、大人になってからは記憶や感情の断絶を生み、日常生活を難しくしてしまう場合もあるのです。
「私」と「私たち」|子どもの人格と見えない内なる葛藤
DIDを経験する人の内側では、異なる人格状態がそれぞれの感情や記憶を持っているように感じられることがあります。仕事では責任感の強い自分が前面に出て、家庭では幼い頃の不安を抱えた自分が現れるなど、状況によって自己の感覚が変化する場合があります。
特に、子どものような人格状態が現れるときには、声や話し方、表情、振る舞いが幼くなることがあります。ぬいぐるみを抱えたり、誰かに甘えたくなったり、幼い頃の出来事を現在のことのように怖がったりする場合もあります。
そのとき本人は、実際の年齢よりもずっと幼い感覚を持ち、周囲の出来事を子どもの目線から受け取っていることがあります。大人として生活している自分には理解できないほど、些細な出来事が大きな悲しみや恐怖になることもあるのです。
また、異なる人格状態の間で記憶が共有されていない場合には、自分の知らないところで別の自分が何をしているのか分からず、不安を感じることがあります。
外からは一人の人間として見えていても、内側では複数の自己状態の間に葛藤があり、そのすべてを理解することは本人にとっても容易ではありません。
「私」はどこにいるのか|膜の向こうに見える現実と人格交代
「年を重ねてきた実感がありません。身体は大人になっているのに、心は子どものまま取り残されているように感じます。周囲から変に思われないよう、大人として振る舞い、いくつもの仮面を被って生活しています」
自分の年齢や生活を頭では理解していても、それを自分の人生として十分に感じられない。周囲の期待に合わせて振る舞いながら、どこかに本当の自分がいるのではないかと探し続けているような感覚です。
現実が薄い膜の向こうにある
解離が強いときには、目の前の景色が遠くなり、音や色、身体感覚がぼやけることがあります。
人と話していても、自分の声が遠くから聞こえてくる。身体に触れているものの感覚が薄れ、まるで世界の外側から自分を眺めているように感じられるのです。
その状態が続くと、自分が現実の中で生きているという実感が弱まり、周囲の人と同じ時間を過ごしている感覚も曖昧になることがあります。
人格交代の前後に起きる眠気や意識の変化
人格状態が変化する前後には、頭痛や強い眠気、身体の脱力などを経験する人もいます。
それまで普通に話していたのに、突然頭が重くなり、周囲の声が遠ざかっていく。自分の意識が後ろへ引っ張られ、別の自分が前に出てくるような感覚になることがあります。
意識が真っ白になったり、暗い場所へ沈んでいくように感じられたりした後、気がつくと時間が過ぎている。その間の記憶が十分に残っておらず、自分が何をしていたのか分からない場合もあります。
こうした体験には個人差があり、人格交代の際に毎回完全な健忘が起きるわけではありません。
嫌なことがあると眠くなる病気|解離による眠気とトラウマ反応では、強いストレスによって意識が遠のく感覚についても詳しく解説しています。
赤い観覧車と花畑が広がる、内面の世界
解離を経験する人の中には、現実とは異なる内面の空間を鮮明に感じる人もいます。
赤い観覧車がゆっくり回り、花畑や静かな公園が広がる世界がの中で、そこには幼い自分がいて、ときには言葉を交わしたり、一緒に過ごしたりしているように感じられることもあります。
日常生活では周囲の顔色を読み、常に緊張している人にとって、そうした内面世界は何も求められずに過ごせる場所のように感じられるのかもしれません。
しかし、現実に意識が戻ったときには、自分の知らない時間が過ぎていたり、周囲で起きた出来事を理解できなかったりする場合があります。内面では安心を感じていても、日常生活では記憶の空白や人間関係の混乱に向き合わなければならないのです。
「私の中の別の誰か」|主人格が知らない時間を生きる交代人格
日中は何とか生活を保っていても、夕方から夜にかけて疲れが強まり、人格状態の変化が目立つ人もいます。長い時間、周囲に合わせながら緊張して過ごしているため、疲労やストレスが重なったときに、普段とは異なる感情や自己感覚が強く現れる場合があります。
主人格は、自分がいつ人格交代したのかを十分に把握していないことがあります。気がつけば数時間が経過していたり、家族から「さっきは違う人みたいだった」と言われたりして、初めて自分の記憶が途切れていることに気づく場合もあります。
一方で、別の人格状態は主人格の日常をある程度知っているように感じられることもあります。主人格には覚えのない出来事を、別の自分は知っている。そのような感覚が生じると、自分の内側に知らない誰かが住んでいるように思えることがあります。
交代人格として経験される状態には、それぞれ異なる声の調子や表情、好み、感情がある場合があります。強気で怒りを表す人格もいれば、幼い子どものように泣いたり甘えたりする人格もいます。
夢の中でこうした自己状態に出会い、幼い自分が泣いていたり、怒りを訴えていたりするように感じることもあります。目覚めた後までその感情が残り、自分の中で何が起きているのか分からず、疲れ切ってしまう場合もあるのです。
「みゆ」と「かおり」|ひとつの心に宿る異なる時間
「みゆ」と「かおり」の物語は、人格状態の違いが日常生活の中でどのように経験されるのかを印象的に描いています。
みゆは、4歳の子どものような感覚を持つ人格です。幼い言葉で話し、平仮名を使って文字を書き、大人とは違うものを好みます。かおりは日常生活を担う人格として、現実の責任や人間関係に向き合っています。
ある日、みゆのために取っておいたお菓子が見当たらなくなりました。
そばにいる男性が兄に尋ねると、兄は食べていないと答え、「もしかして、かおりが食べたんじゃないか」と話します。
しかし、みゆにとっては、自分が楽しみにしていたお菓子がなくなったことが大きな悲しみでした。期待していたものを失ったつらさがあふれ、幼い子どものように泣き始めます。
やがて泣き疲れたみゆは、眠たそうに言います。
「兄ちゃん、みゆは寝るね。おやすみなさい」
その言葉を聞いた男性は、みゆを静かに見送ります。みゆが幼い言葉で話し、平仮名しか書けないことにも、彼はこれまで接してきた中で気づいています。
一方、かおりは大人として生活しながら、さまざまな感情の揺れを抱えています。みゆの無邪気さとは対照的に、かおりには現実の問題や対人関係の負担があり、その気持ちが不安定になると、そばにいる男性も影響を受けることがあります。
彼は、みゆが現れたときには兄のように接し、かおりと話すときには大人同士の関係として向き合います。ほかの人格状態が現れたときには、また違う感情や言葉に触れることになります。
そこには、相手を理解したいという気持ちと、どこまで支えればよいのか分からない戸惑いが同時に存在しています。
この物語で印象的なのは、みゆにとっては幼い子どもの時間が今も続いているように感じられる一方で、かおりは大人として現在の生活を引き受けていることです。
同じ身体の中に、異なる年齢や感情を持つ自己状態が存在するように経験され、それぞれの記憶や気持ちが十分につながっていない。その隔たりが、本人にも周囲の人にも複雑な問題を生み出すことがあります。
「向こう側」にいる私|記憶のない人生と理解されない孤独
解離性同一性障害を経験する人の中には、自分の人生の多くを、内面の「向こう側」で過ごしてきたように感じる人もいます。
自分の代わりに別の人格状態が話し、行動し、何かを決めている。ところが、現実に意識が戻ったときには、その間に何が起きていたのか分からず、周囲の状況を理解することから始めなければならない場合があります。
学校や職場で、思いがけない噂が流れている。知人から突然、以前の会話について話しかけられる。周囲の人が自分を避けているように感じても、その理由が分からない。
自分の知らないところで何かが起きていたとしても、その経緯を説明できないため、次第に人との関わりを避けるようになることがあります。
記憶にない恋愛関係と、自分が引き受ける責任
特に恋愛関係では、記憶の空白が大きな混乱につながる場合があります。
自分には初対面のつもりだった相手から、以前に交わした親密な言葉について話しかけられる。自分が覚えていない約束を相手が大切にしていたり、知らないうちに関係が進展していたりすることもあります。
そのとき本人は、自分の中の別の人格状態が行動していたのかもしれないと感じながら、現実に起きた出来事に向き合わなければなりません。
「私がしたことではないのに、私が対処しなければならない」
そのような理不尽さを感じるほど、本人にとっては理解しがたい状況かもしれません。相手には自分との思い出があるのに、自分にはその記憶がない。周囲からは同じ一人の人間として見られるため、覚えていないと説明しても信じてもらえず、誤解や孤立が深まる場合もあります。
自分の内側にいる「別の私」が、見えないところで人生を動かしているように感じる。その結果だけが現在の自分に戻ってくることは、当事者に強い不安をもたらします。
こうした体験を重ねるうちに、「これは本当に私の人生なのだろうか」と考えるようになることもあります。
解離性同一性障害の治療|人格の共存から統合へ
解離性同一性障害の治療では、現在の生活を安定させながら、感情や記憶の断絶による負担を少しずつ減らしていきます。
幼い頃から強い恐怖や孤独を抱え、感情を切り離しながら生活してきた人にとって、自分の内側にあるものへ触れることは、大きな不安を伴う場合があります。
治療では、まず安心できる環境を確保し、解離が強まる場面や身体反応を確認していきます。過去の出来事について話すと急に眠くなったり、現実感が薄れたりする場合には、その変化を確かめながら、負担を調整していくことが大切です。
また、異なる人格状態に結びついた感情や記憶を理解し、日常生活での混乱を減らしていくことも重要になります。普段の自分では理解できなかった怒りや悲しみについて、どのような経験と結びついているのかを慎重に整理していきます。
国際トラウマ・解離学会(ISSTD)の治療ガイドラインでは、安全と安定化を重視し、必要に応じてトラウマ記憶への取り組みを進める段階的な治療が提案されています。
2025年の治療研究の系統的レビューでも、心理療法による解離症状や生活機能の改善が報告されています。ただし、研究にはまだ限界があり、治療の進め方は本人の状態に応じて検討する必要があります。
治療における統合とは、分かれていた感情や記憶、自己感覚のつながりを育て、自分の人生をより連続したものとして感じられるようになる過程です。人格状態の融合を目指す場合もあれば、互いに協力しながら生活を安定させることを目標とする場合もあります。
過去の記憶を急いで掘り起こしたり、特定の人格を無理に呼び出したりすることは避け、本人が現在の生活を自分の意思で送れる時間を増やしていくことが大切です。
安全を土台にしたトラウマ克服のプロセスでは、心身の安定から段階的な回復までを解説しています。
「本当の私」を取り戻すために
解離性同一性障害を抱える人は、自分の内側に複数の「私」がいるように感じながら、日常生活を続けている場合があります。
あるときには大人として働き、別のときには幼い子どものように泣いている。自分の知らない時間が存在し、その間に誰かと関わり、何かを選び、時には人間関係が変化していることもあります。
自分の中にいる「別の私」を理解できず、戸惑いながら生活してきた人にとって、記憶や感情の断絶を少しずつ整理していくことは、自分の人生を取り戻す大切な過程になります。
みゆのように幼い感情を抱えた自己状態も、かおりのように現実の責任を引き受けてきた自己状態も、その人が経験してきた人生の一部分です。
かつては切り離すことで耐えてきた恐怖や寂しさを、現在の自分が少しずつ理解できるようになる。記憶の空白に戸惑っていた日々の中に、安心できる時間や人とのつながりが増えていく。
そうした経験を重ねながら、自分の感情や記憶を一つの人生の中で受け止められるようになることが、回復の大切な意味を持っています。
当相談室でのカウンセリングについて
こころのえ相談室では、解離や離人感、複雑性トラウマ、幼少期の虐待や見捨てられ体験に関連した心身の問題について、ご相談をお受けしています。
記憶が途切れる、現実が遠く感じられる、過去の出来事を思い出すと身体が動かなくなるなどの症状についても、現在の生活状況や心身の負担を確認しながら整理していきます。
解離性同一性障害が疑われる場合には、精神科での専門的な診断や治療を基本とし、必要に応じて医療機関と連携しながら心理的な支援を検討します。
カウンセリングでは、心身の安全と安定を大切にしながら、無理のないペースで自己理解を深めていくことを重視しています。
参考文献
- Dorahy, M. J., et al.(2014). Dissociative Identity Disorder: An Empirical Overview. Australian & New Zealand Journal of Psychiatry, 48(5), 402–417.
- International Society for the Study of Trauma and Dissociation(2011). Guidelines for Treating Dissociative Identity Disorder in Adults, Third Revision. Journal of Trauma & Dissociation, 12(2), 115–187.
- Griffiths, T. A., et al.(2025). Effectiveness of Phase-Oriented Treatment for Trauma-Related Dissociative Disorders: A Systematic Review. European Journal of Psychotraumatology, 16(1), 2545734.
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